第92話 準決勝前
第四章
第92話 準決勝前
控室。
「おつかれー」
のんちゃんが椅子へ座る。
「疲れた」
れんかも座る。
本当に疲れていた。
精神的に。
◇
「勝ったは勝ったなぁ」
たにし。
「勝ったねぇ」
ひーちゃ。
「舞台直すの大変だろうけどな」
たくろー。
一回戦突破。
結果だけ見れば順調だった。
結果だけ見れば。
◇
「あっくん」
たくろーが呼ぶ。
「ん?」
あっくん。
「次から料理禁止な」
静かになる。
「なんで?」
本人は本気で分からないらしい。
「試合中だからだ」
「あ」
今気付いた。
◇
「ひーちゃ」
「なぁに?」
「よそ見禁止」
「はーい」
「お喋り禁止」
「はーい」
「威力絞ってくれ」
「はーい」
返事だけは良い。
◇
その時。
控室の大型モニターに次の組み合わせが映る。
準決勝。
虎牙市チーム
対
ルノアチーム
歓声が外から聞こえてくる。
ドラちゃんチームだった。
「まぁそうなるか」
たにし。
「強かったもんなぁ」
のんちゃん。
全員、観客席から試合は見ていた。
虎牙市チーム。
順当に勝ち上がってきた実力者集団だった。
◇
「じゃあ決めるぞ」
たくろーが紙を広げる。
全員が見る。
「まず一対一」
その瞬間。
「あいり!」
「こはる!」
幼女二人が同時に手を挙げた。
「却下」
たくろー即答。
「えぇー!」
「えー!」
不満だった。
とても。
◇
「一対一は」
たくろーが紙へ書く。
れんか
「えー…」
れんかがしぶる。
「のんちゃんは温存したい。他は不安だ…察してくれ」
れんか、メンツを想像して。
「わかった…」
渋々了承。
◇
「次」
たくろーが続ける。
「二対二」
すると。
「あいり!」
「こはる!」
また挙手。
「却下」
「やだー!」
「でるー!」
大騒ぎだった。
◇
「あいりとこはるで戦うー!」
「たたかうー!」
うるさい。
とても。
◇
「お前らは秘密兵器で…切り札だ」
たくろー。
「秘密兵器あきたー!」
「あきたー!」
幼女達は暇を持て余していた。
「さすがに限界か…」
たくろーが目を閉じる。
少し考える。
そして。
ため息を吐いた。
「分かった」
静かになる。
幼女二人が見る。
「二対二」
たくろー。
「お前達だ」
静かになる。
数秒。
そして。
「やったぁぁぁ!!」
「あいりでるー!!」
「こはるもー!!」
大歓喜だった。
◇
「ちょっと待って」
のんちゃん。
「大丈夫なのぉ?」
ひーちゃ。
母二人が心配そうに見る。
当然だった。
「まぁ勝てはせんだろうな」
たくろー。
「それはいいんだけど」
「危なくないぃ?」
「確かにさすがにじゃないか?」
たにしも心配する。
「大丈夫だ。危険なことにはならない」
たくろーが言う。
「あんた達、始まったらすぐ降参って言いなさい!」
「やだ!あいり強いもん!」
「がおー!」
やる気満々幼女。
心配そうなママ二人。
「こいつら一回出さないと収まらんだろ」
「それはそうかもだけどさぁ」
「俺が秘策を授けるから信用してくれ」
ママ二人、まだ不安そうだが頷く。
「まぁたくろーがそう言うなら大丈夫だろ」
たにしも頷く。
◇
「最後」
たくろーが紙へ書く。
たくろー
のんちゃん
たにし
「三対三はこれで行く」
「俺よりひーちゃのがバランス良くない?火力ならあっくんだし」
「それはそうなんだが、多分あっちは、ドラちゃんが出てくる」
「あっくんもひーちゃも初見になるからな」
「ああ…確かになぁ」
「手の内知ってる私らのがいいかもね」
のんちゃんも納得した。
◇
準決勝。
相手はドラちゃん率いる虎牙市チーム。
ルノアチームの布陣が。
決定した。




