表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オフ会してたら異世界に飛ばされたのでゲーム脳で生き抜いてみる  作者: 元 智
そして進む

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
105/105

 第94話 準決勝 第一試合 後半

第四章


 第94話 準決勝 第一試合 後半



試合が始まった。



カヌレが杖を振る。


速い。


詠唱無し。


空中へ赤い魔法陣。


同時に青い魔法陣。


二つ。


いや。


四つ。


六つ。


次々と展開される。


観客席がざわついた。


「同時展開!?」


「六陣!?」


「前期首席は伊達じゃねぇぞ!」


歓声。


拍手。



「行きますわ!!」


炎槍。


氷槍。


同時射出。


一直線。


れんかへ襲い掛かる。



れんか。


無言。


杖も出さない。


右へ一歩。


左へ半歩。


紙一重。


全て回避。



「全て避けますか…」


カヌレ。


「避けれた」


れんか。



だが。


カヌレは止まらない。


再び魔法陣。


炎。


氷。


炎。


氷。


絶え間なく撃ち続ける。



「おぉ」


たにしが呟く


「強いな」


たくろーも頷く。


「強いねぇ」


のんちゃんも微笑んだ。



ドラちゃんは腕を組む。


「カヌレの本気だ」


虎牙ベンチ。


全員真剣だった。



中央舞台。


爆炎。


氷柱。


轟音。


白煙。


もう普通の魔術師同士の試合ではない。



その中で。


れんかが初めて口を開いた。


「強いね」


カヌレ。


止まる。


ほんの少しだけ。


「……っ!」


嬉しかった。


たぶん。


本人も気付いてないくらい。


「と、当然ですわ!」


さらに魔力が上がる。


「わたくしは!」


炎。


「あなたを超えるために!」


氷。


「必死に勉強して!」


炎。


「必死に魔法を学んで!」


氷。


「必死に努力してきましたの!!」


炎と氷が交差する。



轟音。


爆発。


会場が揺れる。


「おぉぉぉぉ!!」


観客席が沸いた。



れんかは初めて杖を構える。


歓声。


さらに大きくなる。


「れんかが杖持ったぞ!」


「本気だ!」



「珍しいな」


たくろーがつぶやく。


「出すのめんどくさい。しか言わないもんな」


たにしも頷く。


「矢出すのめんどくさいっていうママそっくりだねぇ」


ひーちゃ、無意識にいじるタイプ。


のんちゃん苦笑。



中央舞台。


れんかが静かに詠唱する。



「氷壁」


一言。


巨大な氷壁。


出現。


カヌレの魔法を正面から受け止める。


観客席がどよめく。


「一言だと!?」


「短縮詠唱か!?」


「七行詠唱を一言か。めんどくさいから短縮した。とか言いそうだわ」


ドラちゃんが苦笑する。


その通りなんです。


「…」


虎牙ベンチ。


静かになる。



カヌレも理解していた。


だから笑う。


「そうですわよね!」


嬉しそうだった。


「それくらい!やっていただきませんと!!」


炎。


氷。


炎。


氷。


れんか。


氷。


炎。


雷。


風。


魔法が空を埋める。


準決勝。


その名に恥じない戦いだった。



数分後。


カヌレの肩で息が荒くなる。


対して。


れんか。


まだ余裕があった。



「れんか、魔力総量上がってない?」


たにしがのんちゃんに聞く。


「ルノアフラペチーノ作りまくった時、上がったって言ってた」


のんちゃんが答える。


「とんだ副産物だな」


たにしが笑う。



「くっ……」


カヌレは理解する。


届いている。


昔より。


ずっと。


でも。


まだ。


届かない。


「でも…まだ…ですわ!」


れんかを見る。


その視線を受け、れんかが杖を上げる。


「終わり」


静かな声で複数の詠唱。


巨大な氷柱。


カヌレの周囲を囲む。


逃げ場。


無し。


その頭上には20を越える魔法陣。


最後の魔力を振り絞り、カヌレが障壁を展開しようとする。


「くっ…」


が、儚く霧散する。


膝をつくカヌレ。



「勝負あり!!」


レフェリーが手を上げた。


「勝者!!」


「れんか!!」


大歓声。


拍手。


口笛。



カヌレは悔しそうに唇を噛む。


数秒。


そして。


深く息を吐いた。


「私、負けましたわ……」


「!」


その言葉にれんかが、はっとしてわずかに微笑む。


「なっ!なんですのっ!まだまだとでも!」


カヌレが悔しさに拳を握る。


「違う」


れんかが否定する。


「じゃぁなんですの!その笑み!」


「回文」


「カイブン?」


「ワタシマケマシタワ」


「逆から読んでも」


「ワタシマケマシタワ」


「……」


「生で聴けた嬉しい」


れんかはくるりと背を向ける。


「……」


カヌレはなんとも言えぬ感情に。


「……わ、わたくしとの戦いの感想がそれですのおおおおお!!」


カヌレが叫ぶ。


「れんかさん!!」


れんかが振り返る。


「覚えてくださいまし!」


プライドとか、もう何もかもがぐちゃぐちゃだった。


ただ真剣だった。


「…」


れんか。


少し考える。


「カヌレ」


カヌレの顔が明るくなる。


「は、はぃ!」


声が裏返る。


「覚えた」


れんかが微笑む。



挿絵(By みてみん)



数年越しだった。


もう追いつけたと思った。


でも、まだ遠かった。


ただ、視界に入る距離には来た。


そして。


また、追えると思った。


カヌレは何かがスッと軽くなるのを感じた。


「たぶん…」


と、れんかはスタスタと歩き出す。


静かになる。


カヌレ。


固まる。


「たぶんですのぉぉぉぉぉ!?」


悲鳴が闘技場へ響く。



ルノアベンチ。


「やっぱ煽り上手いよねぇ?」


「母親が言うから間違いないな」


「本人に自覚無いのが一番ひどい」


「精神系の魔法かもぉ?」


違うだろ。



準決勝第一試合。


ルノアチーム先勝。


敗北以上のダメージを受けたカヌレだった。



挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ