4話 〜もし機械人形ならば〜
今回短いなぁ。
空を飛んでいる。
高く、高く、空を昇っていく。
多分、あの戦艦を4台ぐらいは積めそうな高さ。
私は、周りを、海を見た。
「綺麗………」
思わず、そんな声を出してしまう。
空も、海も。
こんな景色、見たことなかったから。
けど、すぐに現実に戻される。
黒い粒と緑の粒が目の前を飛んでいる。
黒い粒は人の形をしているのと、鳥の形をしたものが大半、時々赤いのも混じってる。
緑のはちっちゃい飛行機。
多分、そっちが味方。
私は急降下し始める。
もの凄いスピードで黒い粒に近づいていく。
そして、はっきり見えるようになった鋼の鳥を──
──撃ち抜いた。
多分、撃ち抜けた。
私はマシンガンを乱れ撃っていた。
それは黒い鳥に当たり、鳥は真っ逆さまに墜ちていく。
……なんか、できちゃった。
マシンガンの撃ち方なんてわからないのになんで!?
いや、トリガーを引くってのは知ってたけど──
「ちょっ、危な!?」
そんな思考をしている間に、黒い粒から弾丸が放たれる。
私はそれを避けようとする。
避けようとしてそれで──
「痛!?」
もろに受ける。
スーツのおかげで、胴などに到達はしてないと思う。
わかんない。
でも、衝撃はもろに受け取るから、どっちみち痛い。
それに、左腕の装甲が"バキッ"とモゲて、海に落ちていった。
「……痛い。」
もう一度、それを呟いた。
それで、わかった。
肌で感じた。
撃たなきゃ、墜とされるって。
私はその場から動き出す。
できるだけ早く。
でも、黒い粒を認識できる程度に抑えて。
黒い粒は私を追ってくる。
一体、二体とその数は増えていく。
後ろから、炸裂音が聞こえてくる。
多分、弾道上に、私はいて──
「今だ!」
そう、声にしていた。
私は真上に向かって急旋回する。
そこで一回転して、銃口で敵を追う。
トリガーを引く。
そして、銃弾をばら撒いた。
……ばら撒いた、だけ。
乱れ撃った弾丸のほとんどは当たらず、碧に吸い込まれていく。
鋼の鳥の翼には当たったらしく、一羽、二羽が海に墜ちていく。
そう、鳥は。
人型の黒が、私に近づいてくる。
近づいて、私の目の前に銃口を突きつけて──
「……」
わかんない。
何も、本当に。
気がついたら、海に墜ちている。
さっきのAIが私の方を見下ろしている。
人肌のない顔なのに、私を憎しむような表情が読み取れた。
……私、撃たれたのかな。
だから今、落ちているんだよ。
このままじゃ、海面で落下死しちゃうな。
……じゃない。
ノアを探さないとなんだ。
私は生きなきゃ──
私は、背中についてるロケット?を噴射する。
勢いが、殺せない。
私は海に叩きつけられた。
その事実だけを認識して、意識を、失った。
豊かな緑、鮮やかな青の中。
白いワンピースを着た少女が笑っている。
頭にのっけた麦わら帽子を抑えながら、私を手招きしている。
私はそれに応じる。
「ねぇ、お姉ちゃん。
平和だね〜。」
少女はそう言った。
私もそれに答えようとする。
のに、答えられない。
そのせいか、少女は寂しそうな表情になる。
「お姉ちゃん、戦争になっちゃうのかな。
東の国とまた揉めてるんだって。
朝の新聞に載ってたんだ。」
……違かった。
戦争……って、何?
東の国ってことは、AIとじゃない。
「私、嫌だよ。
お姉ちゃんと離れたくないよ。
お母さんみたいに。」
……そうだ。
私たちのお母さんはもういないんだ。
昔から身体が弱かったの。
だから──
「ノア──」
妹は私が守らないとなんだ。
私はノアに手を伸ばす。
彼女の手を取るために──
……目を覚ます。
目の前には薄暗い白が広がっている。
伸ばした腕は、空虚を掴んでいた。
「いい、夢だったな……」
自分でも意味が分かんないけど。
そう、呟いていた。
何を掴もうとしてたかすら、覚えてないのに。
「……あ!」
今更思い出した。
私、撃ち落とされて──
海に落とされて──
顔の側面が痛む。
掴み損ねた方の手で触ってみると、そこには包帯が巻かれている。
多分、撃たれたんだろうな、そこに。
……それどころじゃない。
もし、まだ戦ってたら。
私、邪魔にしかなれてない。
回収とか色々考えると──
「……痛い!?」
身体を動かすと、背中が焼けるように痛んだ。
そりゃ、そうか。
私、高所から海に落ちたんだし。
「脚、動くのかな?」
私は下半身の方を見る。
足は──全然動いてる。
足の指でグーパーできてる。
ということは、脊椎は大丈夫そうかな──多分……。
……いや、我ながら冷静だなぁ、私。
だって、動けないし。
動けないままパニックになる方が無利益だし。
「はぁ……」
せめて、外の様子さえわかればなぁ。
と思った矢先、スライドドアが開く音がする。
誰かの鼻歌が聴こえてくる。
……また、女性の兵士さんかな。
「あれ、起きた?」
私は顔だけ動かして、声の方向を見る。
白い服を着てて、小箱を持っている──軍医さん?
「おはよう、切り札ちゃん。」




