2話 〜私が原因らしい〜
この作品、AIとの戦闘より、アイリスの心情を中心に描きたいなぁとは思うんだよねぇ。
いや、戦闘も頑張って描写しますよ!
もちろん!
また、砂漠を走っていた。
軍のバギーとやらに乗せられて。
以前の私ならば、ノアの世話に読書に、いくらでも暇を潰せていた。
……そんな気がする。
でも、"戦時中"じゃダメ。
起きてすぐみたいなドタバタもないので、あくびをかくぐらいしか本当にすることがない。
ガルヴィスさん達のいう"戦時中"というものは、どうやら人とAIで戦争状態だということらしい。
そんなSF小説みたいな話、信じたくない。
……けど、信じるしかないよね。
見ちゃったもんね、あのロボ犬。
それにしても、私が切り札と呼ばれてたり、本当に謎だ。
私みたいな一般市民のどこに利用価値があるんだろう。
私を連れ出した軍人さん達3人のことはある程度信頼できそうだけど、軍自体は信頼できそうにない。
「あぁ……嬢ちゃん、そろそろ着くから。
船酔いする心構えだけはしとけよ。」
「……船酔い?」
何、このバギー捨てて小型船にでも乗り換えるのだろうか?
なんとなくだけど、敵に痕跡を残すようなことはしないほうがいい気がするけど……
「そりゃ、軍艦に乗るわけだからな。
ここら辺の海域は波が荒いから、訓練してないと死ぬほど気持ち悪くなると思うぞ。」
ダグラスさんがそう言った。
全然、私の予想とは違った。
普通に軍艦だった。
そりゃそうだよね、正規軍だもんね。
「そういや、艦についたら俺らの上官に敬礼は忘れるなよ?
軍人にしても民間人にしても、それだけは礼儀として大切なことだ。」
……そうなの?
いや、多分そうなんだろうな。
軍人さんって、命をかけて戦ってる人たちのことだもんね。
特に、今が一番危険そうだし。
「………」
「アイリス、そろそろ落ち着いてきたか?
お前も──人間だ。
だから……すまなかった。」
ガルヴィスさんはそう言った。
……思い出させないでほしかった。
私はさっき、怒ってしまった。
怒って、余計な心配をさせてしまった。
どうやら、私が最後に眠りについてから、すごい年月が経ってしまった、という話。
こーるどすりーぷ?ってやつで、私は50年近く眠らされていた、みたいな。
……なんのために?
「もう、怒ってないですよ。
むしろ私こそすみませんでした。
ガルヴィスさんの善意を踏み躙るような真似して。」
ノア、今どうしてるんだろう。
私がガラスの筒の中で眠ってる側に、もう一つ筒があったって話だし、先に起きてもう避難してる……んだって、信じたい。
信じさせてほしい。
そんなものが作られてたなんて記憶もないけど……
今の私が何を言っても意味ないよね。
記憶も確かじゃない部分あるし。
「ほら嬢ちゃん、あっち見てみろ。」
ダグラスさんが指差す方向を見る。
見えてきた海岸線を追ってみる。
そこに黒い戦艦が──ない!?
「ダグラスさん、私のこと揶揄いました!?」
「いやいや、そんなわけないじゃないか。
しばらく見てみな。」
私はじっくりと見つめてみる。
……ガルヴィスさんが何か言ってるような気がしたけど、多分、気のせいかな。
って、その瞬間。
「ほら、きたぞ!」
ダグラスさんがそう声を上げた瞬間、黒い何かが──戦艦が、海中から姿を現した。
"何度見てもテンション上がるよな、ロイ"
"軍人なのですから、もう少し落ち着くべきじゃ──"
とか言ってる中、私は──
「……宇宙戦艦ですか?」
静かにそう言った。
いや、宇宙戦艦って何?
えっと……本で読んだっけ?
そんなSFな小説とか……記憶にございません。
潜水艦みたいな戦艦を楽しむ暇もなく、私は合流することとなるのだった。
そして、今はというと──
「ちょ〜〜暇!!」
文字通り、超のつくほど暇をしている。
だって、よくわかんないうちに真っ白な部屋に入れられて、そこで待機するように言われたんだもん。
一応鍵はかけないでくれたとはいえ、下手に外に出るわけにもいかないじゃん!?
この部屋、窓ないから空も海も見れないし……
船の振動で誤魔化すのも、流石に限界だよ、ほんと。
「私、本当になんのために──」
こんなとこに乗せられてるんだろう。
"切り札"ってなんのこと?
私に戦術的価値があるようには思えない。
そこにあったとして、なんで今まで放置されてたの?
それに、ノアが私を放置してどこか逃げるなんて、想像もできない。
あるとしたら、その価値のせいで──
「うっ。」
やばい。
変な想像しちゃったのと初めての船で気持ち悪くなってきた。
普通にトイレ行こう、うん。
部屋汚すわけにもいかないし……
それぐらいなら退室許されるよね!
多分真っ当な理由になるよね!
ってことで、私は部屋を後にする。
もちろん、どこがどこかなんてわかるはずもないので、とりあえず軍人さんをとっ捕まえて聞いてみる。
「あの、すみません!
お手洗いってどっちでしょうか?」
「えっと……
アイ──リスちゃんだっけ?
お手洗いはあっち行って右に曲がったらあるよ。」
目の前の彼は、指を差しながら親切に説明してくれる。
……のはいいんだけど、"ちゃん"付けはやめてほしいかな、子供じゃあるまいし。
いや、子供ではあるんだけど。
もう15なんだし恥ずかしい……
そういや私、寝てたから本当は65〜67──
ダメ、これ以上考えるのはやめよう。
私は言われた通りのルートを歩く。
白めの壁には色々な装置が取り付けられている。
……触る気もないけど、触ってしまうのが怖いので真ん中を歩こう。
それにしても、忙しそうにしてる軍人さんたちを見てると、本当に大変な時代なんだなって思うよね。
……私語彙ないな〜、そういえば吐き気治ってきたし──
その時、地面が──船体が大きく揺れた。
「きゃっ!?」
思わず、尻餅をついてしまう。
痛い……し、何!?
船体が波で揺れただけじゃ──
「敵襲、敵襲。
各員、持ち場についてこれに対処せよ。」
そんな警報が艦内に響いた。
さっきまで廊下を歩いていた軍人さん達が、一斉に走り出す。
私は思いっきり"邪魔"になる。
ので、途中から端に寄った。
……え、敵襲って言ってた?
今更だけど、それって──
いや、深く考えなくても私のせい……だよね。
いや、私のせい以前に私の意思じゃない部分しかないけど。
……ねぇ?
えっと?
私、どうした方がいいのかな?
部屋で待機……も何かあったら危険だよね?
最低限、情報だけでも手に入れられるようにするには──
……艦橋かな。
どこにあるかもわかんないけど、何もしないよりかはマシだと思う。
ただ行くだけなら。
半分迷路みたいになってる艦内を歩く。
「こっちかな……」
そう言いながら、右折したその時。
ふと、視界の端に地図のようなものが映る。
艦橋に食堂に……
……艦内の経路図じゃん、これ。
あるんだ、いやあるか。
もう、わかんないや、そういうとこ。
私には常識の"じょ"もないし。
……とか言ってる場合じゃないね。
私は経路図をなるべく覚えてから、走って向かう。
途中、複数回の揺れに襲われる。
でも、足を止めてられない。
「ここを左行って!
真っ直ぐ!」
思わず、声を出してしまう。
それが原因で見つかったのか──
「貴様、何故ここにいる!?」
軍人さんに、怒られた。
そりゃ、そうだよね。
元々部屋に居ろって言われてたんだし。
「えっと……私は……」
「はっきりしろ、非常事態なのだぞ!」
「部屋に戻るのは危険だと思って、情報を手に入れられそうな艦橋を目指してました!
すみません!」
いや、怪しいよね私!
この言い回しなんか含みありそうじゃない!?
そう思われても仕方な──
「……分かった、ついてこい。
余計なマネだけはしてくれるなよ。」
「えっ……あっ、はい!」
ため息をつかれながらも、入室を許可される。
……なんで!?
私が"切り札"……だからかな?
もう切り札切り札うるさいな私!?
しゃあないじゃん、その内容もわかんないままここにいるんだから!
「お前は少し、ここで待っていろ。」
気がついたら、艦橋の前まで着いていた。
エレベーター乗ったりしてた…っけ?
多分、うん。
これ覚えるの大変そうだな。
じゃなくて……
私は言われた通りに待つ。
"失礼します"と言って、中に入ってく軍人さんを。
"入れ"と言われるまでに時間はかからなかった。
本当に一瞬のことというか、そう言われたのも聞き逃しちゃいそうだった。
いや、普通にぼーっとしかけてるのもあったけど。
「失礼します……」
私は中に入る。
……その空気は地獄だった。
艦長がけたたましい声で指示を出す。
それに合わせて乗組員が動いている。
そこまでは、いいんだよ。
そこじゃなくて──
「N105-4と5、反応ロスト!
続いて、N109、半壊!」
そんな声が聞こえて来た。
救援がなんだとか、そんな声も聞こえて来るけど、そんなのどうでもよかった。
人が、死んでいる。
その事実だけが理解できた。
ただの予想でしかないけど、私をここまで連れてきたせいで、人がたくさん死んでる。
私のせい。
多分、本当に。
……N106は?
私の息が荒くなっていく。
自分のことなのに、それが他人事のように観察できた。
分かってる。
本当は邪魔したらダメなんだって。
でも──
「N106小隊はどうなってるんですか!?」
声に出してしまった。
声に出さなきゃ行けなかった。
だって、信じたくなかったから。
私のせいでガルヴィスさん達が──
「N106-3、反応ロスト!」
死んじゃうなんて。
別に名前が話に関わるわけでもないけどまぁ、出しとこかなってね。
戦艦レグルス
─この空輸がメインとなるこの作中においては珍しい輸送手段というか
年代ものではあるため、同型機の一部はすでに運用を止めて解体されてたりする
謎に潜水できたりハイテク




