1話 〜私の名前は〜
初投稿から半年以上経過した今。
当初書いていた作品を改めて投稿しようということで書いているのですが。
まぁ、半年失踪した分は上達できてたらいいなって感じ。
ルビ振りに違和感を感じるかもですが、仕様です。
仕様です!
上下に対する揺れ。
起きてすぐ感じたのはそれだった。
その後、数人の話し声と爆発音、悲鳴。
私は目を開いた。
車に乗っけられている。
全速力で走っている。
窓の外には砂漠が広がっている。
「─ここは、どこ──」
無意識にそんな声を出していた。
しかし、その声はノイズとなって消えていった。
ただ、周りがうるさいんじゃなくて。
私自身の喉が枯れている。
「よう、嬢ちゃん。
目を覚ましたか。
お生憎様、あんたのおかげでバリッバリに戦闘中だがな。」
緑の、少し硝煙の匂いが染み付いたシャツを着ている男に話しかけられる。
前の席に座ってる彼は後方に向かって銃を放っている。
それにしても……私のせい?
何が──
「悪い、あんたを不機嫌にさせるつもりはなかったんだがな。
まぁ、連れ出したのは俺らの勝手だ。
あんたさんも被害者だよ。
この戦争の。」
戦争……
どうして?
昨日寝る前まで、そんなのなかったはず。
そういや、私が着てる服も持ってなかった気がする。
こんな青いズボンに白いシャツなんて格好……
そうだ──
「─ノアは、ノアは連れ出してないんですか!?─」
「あぁ、なんてった!?
こっちはそれどころじゃないんだ。」
私の言葉は通じない。
仕方ないから、私はシートに座り直す。
ノアは、私の妹。
この世にたった1人しかいない、妹。
──どんな顔で笑ってたっけ──
そんなノイズが走る。
思い出せない。
思い出したいのに。
「こちらN106、目標の保護に成功。
ただ、追っ手が来てる。
護衛だけじゃ数的不利だ。
至急援護を頼む。」
運転席のおじさんがそんなことを言った。
……そういえば、戦争だとか言ってたな。
私は後ろを振り返る。
当たり前だが、後ろも砂漠。
だけど、この車とは別で、砂埃が立っている。
目を凝らして、それを見てみる。
「お前、危険だから下がってろ。
というかなんで起きてるんだ。」
さっき話しかけてきた人とはまた別の男が話しかけてくる。
私は彼らを知らないのに、彼らは私のことを知っている。
そんな不思議な感覚に襲われるけど、声掛けを無視して砂埃を──
「来るぞ!」
さっきの人が大声を張り上げた。
その瞬間、砂埃の中で爆発が起きた。
中からは、機械の──犬?が出てくる。
1匹じゃない。
3匹──5匹かな?
「ハリー、お前何をやってるんだ。
早く援護し──はぁ!?」
運転席のおじさんが何か喋っている。
多分、戦争に関わることなんだろうな、とは思うけど。
「……振り切るぞ。
ロイ、ありったけの爆薬を撒き散らしてやれ!」
「だが、それじゃこの後襲われたら──」
「バカ、車体を少しでも軽くするんだよ。」
ロイというのは、私の隣の男のことらしい。
さっき、私に下がれとか言ってきた人。
車のバックドアを開けて──
「ほら、喰らいやがれ。」
そう言って、バックドアに入れてた爆弾に火をつけて、投げ捨てた。
……普通に危険だよ?
引火したら全員お陀仏だよ?
お陀仏って何……?
それより、爆弾は無事に炸裂した。
炸裂して、機械の犬が破壊される。
その光景はなかなかにグロかった。
「お前ら、しっかり掴まれよ!」
その掛け声とともに、車はスピードを増して走っていく。
私も何が何だかわかんないまま、風を感じることしかできなかった。
砂漠の中の小さな小屋。
私たちはその中で一時の休息をとっていた。
私を半ば誘拐してきたおじさんたちは無線だかなんだかで話をしている。
広げられた地図には、私の記憶とは違う地形が映し出されている。
昔見たやつの面影があるような……
そんな中、私はというと──
「ここはどこなんですか!?
妹はどこにやったのですか!?
帰らせてください!」
声が出るようになって、逆にパニック状態になっていた。
それでも、周りを見ることはできていて──
「うるさい!
敵に見つかるだろうが。」
「はい─」
即刻、黙らされた。
……ノアは今頃、何をしているのだろう。
こんな状況なのだから、私が寝ている間に避難しちゃってた、とか?
それならそれが一番なんだけど。
「ミーティングだ、集まれ。」
運転席にいた男が手を叩いて合図を出す。
それに呼応して集まっていく。
「ほら、嬢ちゃんもこい。
最悪死ぬことになるからな。」
「えっ、はい。」
私は彼らの輪の中に入る。
多分、難しい話するんだろうなって思いながら。
「まずは状況の把握からだ。
俺たちはAIに対する"切り札"を回収できたわけだが……」
……AIって、さっきのワンちゃんのこと?
切り札って、私の家にそんなものあるわけないし……
「しかし、その"切り札"のおかげで俺たちは追いかけられているってわけだ。」
「……私!?」
私に視線が集まっていたので、思わずそう返してしまう。
いや、本当にわかんないんだけど。
「そもそもとして貴方達はなんなのですか?
私を誘拐した理由は?
そもそも、外はどうなってるのです──」
「おっと、そこについては……
順を追って話そう。」
リーダーの男がテーブルから離れていく。
私たちはそれを黙って見てる。
いや、本当に何?
「俺の名前はガルヴィス・アレシス。
この"N.O.A. Code"のN106小隊長を──」
「ノアって言った!?」
私は気がつけば男の方に体を運んでいた。
彼に聞きたかったから。
「どうして、その組織はそんな名前に──」
「落ち着け!?
"Neutralization Organization Against AI"。
略してN.O.A.だ!」
……本当に、そんな偶然あるのだろうか。
いや、そんなことは今はいいや。
「……続きは?」
「あぁ、この若いのがロイ。
こっちのおじさんが、ダグラス。」
「おいおい、おじさんって。
俺はまだ29だぜ?」
"うるせ〜、アラサーはおじさんだ。"
"まだアラサーじゃねぇ〜"
とか、本当に仲が良いのが伺える。
なんか、微笑ましいような──
「おっ、嬢ちゃんが初めて笑ったぞ。」
「えっ、すみません!
真面目な会議中なのに──」
「いやいや。
こんな時代だからこそ、笑いってのは必要になるんだよ。」
ダグラスさんはそう言った。
そもそも、こんな時代って、どんな時代なんだろう。
「あぁ……時代とか話す前に。
まず、前提として聞いておきたいことがあるんだが……」
「はい、なんでしょうか?」
私はガルヴィスさんの方を見る。
彼は頬の辺りをポリポリと掻きながら──
「お前、自分のこと覚えてるか?」
……一体、何を言ってるんだろう。
自分のことなんだから、覚えてるに決まってる。
「まず名前から、言えるか。」
「はい、私の名前は──
名前は──ア……アァ?」
出てこない。
昨日まで妹に呼ばれてたはずの名前が。
瞬間、頭が割れるような痛みに襲われる。
私はその場に蹲ってしまう。
正気を保てなくなりそう。
「痛い、イタイ、いたい、痛──」
「落ち着け、何も考えないでいい!
深呼吸しろ……」
私は言われた通りに息を吸い上げる。
それすら肺に刺さるような感覚がする。
「はぁ……
すみません、無理です。」
「いや、俺こそ悪いこと言ったな。」
"こうなるのなら、真面目に正体いっちまうのも不味いかもしれないな。"
と言っているのが聞こえた。
聞こえただけで、それを理解はできない。
したくない。
正直、まだしんどい。
でもそんなこと言ってられないよね。
もういちど、息を吸い上げた。
「はぁ………
私の名前、貴方達は知ってるんですか?」
「あぁ……それは──」
言葉を濁される。
そりゃそうだよね。
「あぁ、教えてやるよ。」
「おい、やめろ─」
ロイさんが声を上げた。
一体何を──
「このタグをお前の部屋で見つけた。
見ればわかる。」
私はそれを投げられる。
キャッチして、見てみる。
「A I L I S……アイリス?」
「……は?」
私の言葉に、ガルヴィスさん達も驚く。
いや、なんで?
それはそれとしてロイさんはというと──
「そう読めるなら、それがお前の名前だったんじゃないか?」
「うーん……違うような、そうだったような……」
わからない。
わからないけど、わかるまではアイリスを名乗ることにしよう。
記憶がなくなってても、私は私なのだから──
ちょっとネタバレというか世界観
この世界は他に上げてる堕天使と世界観が共通だけど、ストーリー的な繋がりは薄い。
地球とは別の惑星だが、過去に一部文化が移って来たことがある。
それはそれとして、AIがシンギュラリティを迎えるぐらいには発展してる。




