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ロリコン勇者の再就職  作者: 音無 奏
村おこし編
31/40

プロローグ

 樹齢など想像もつかないほど巨大な木々が、灰を被った葉を広げる。

 終わりは勿論、その最果ても想像ができない、道なき道を少年は進む。

 そんな最中、大樹の根に足を取られた。

 土に塗れた服と、すり傷を刻んだ体。重たい鉛を背負っているかのような錯覚を異形の右手で振り払う。

 

 もう何処を歩いているのかも分からない。

 滴る汗は命の雫だ。

 一滴、また一滴と命をすり減らして少年は歩み続けた。


「…………はぁ……はぁ……まだ、だ…………まだ……」


 まだ、止まれない。

 歪んだ右手が一度、ドクンと跳ねた。

 赤黒く染まり、巨大化したそれはもう人の手とは言えないだろう。

 握り潰してきた深紅の血が、足跡を刻むように、ぽたりとぽたりと落ちる。


「……待ってて…………」


 全身の血が沸騰するかのような錯覚が少年の身を襲う。

 痛覚を伝える神経を鈍器で叩かれているかのようだ。

 でも――


 痛くない。

 こんなの、全然痛くなんかない。

 村の皆は僕なんかより苦しんでいる。

 今の自分よりも遥かに。

 

 これ以上誰も死なせないんだ。

 もう、これ以上は絶対に。


「待ってて、すぐに戻るから」


 少年はまた一歩、足跡を刻んだ。

 

 

第二章まったり開始。

不定期更新は変わらずです。

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