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プロローグ
樹齢など想像もつかないほど巨大な木々が、灰を被った葉を広げる。
終わりは勿論、その最果ても想像ができない、道なき道を少年は進む。
そんな最中、大樹の根に足を取られた。
土に塗れた服と、すり傷を刻んだ体。重たい鉛を背負っているかのような錯覚を異形の右手で振り払う。
もう何処を歩いているのかも分からない。
滴る汗は命の雫だ。
一滴、また一滴と命をすり減らして少年は歩み続けた。
「…………はぁ……はぁ……まだ、だ…………まだ……」
まだ、止まれない。
歪んだ右手が一度、ドクンと跳ねた。
赤黒く染まり、巨大化したそれはもう人の手とは言えないだろう。
握り潰してきた深紅の血が、足跡を刻むように、ぽたりとぽたりと落ちる。
「……待ってて…………」
全身の血が沸騰するかのような錯覚が少年の身を襲う。
痛覚を伝える神経を鈍器で叩かれているかのようだ。
でも――
痛くない。
こんなの、全然痛くなんかない。
村の皆は僕なんかより苦しんでいる。
今の自分よりも遥かに。
これ以上誰も死なせないんだ。
もう、これ以上は絶対に。
「待ってて、すぐに戻るから」
少年はまた一歩、足跡を刻んだ。
第二章まったり開始。
不定期更新は変わらずです。




