第八百六十八話
宇宙港に到着。
現状は一夜城状態でたいした設備もない。
惑星級移動要塞カミシロが近づいただけで自壊する一夜城状態。
ここで惑星級移動要塞から出した物資で工事していく。
惑星級移動要塞ってなんでもできる。
作戦の幅は無限大。……運用経験積めばね。
いまのところアイデア倒れも多数。
なんでもできるけど、なにもできない。
やはりローザリアがくれた戦術マニュアルの解析と運用実績を積むしかない。
自分たちでマニュアル作れるようにしないといけないわけである。
面白いのはゼン神族である。
ずっと監視してる。
定期的に通信で呼びかけてるが返事がない。
しかもかなり距離を取ってる。
ローザリアへの通信はいつもどおりしてる。
まだ返事はない。
レプシトールからの輸送船待ちだ。
ローザリアの持ってる鍵のまま暗号強度を高めることができるらしい。
音質は多少下がるが遠くまで呼びかけることができる。
その間、俺たちは宇宙港……というか砦の建設をする。
建築が邪魔されるのなら惑星級移動要塞を一機置いてもいい。
古いものだが外部装甲はゾーク加工されたものに換装した。
攻撃を受けてもそうそう陥落しないだろう。
ということでアルバイト。
さあ、建築するぞ!
「レオは大人しくしてろ」
ケビンに言われて泣く泣く事務仕事。
艦長だから細かいことは承認ボタン押すだけなんだけどさー。
ちゃんと読まないといけないわけじゃん……。
「建築班交流カラオケ大会」
……お、おう。
なんだこの企画。
どうせおっさんおばさんが二十五年以上前の曲を歌うヤツだろ。
若い子ドン引きだからやめ……え、ラターニアやローザリアとも交流する?
……いいじゃん。
俺の事業用口座からお金ぽちり。
メシと酒代は出してやる。
「ケビン。お酒どれだけ出していい?」
「出すな! って言いたいけどお酒飲んじゃダメな人だけピックアップしとくね」
俺も参加してバーベキューやりたいな。
無煙ロースターで……お前は参加するな?
みんな緊張する?
あ、はい。
ケビンを事務仕事に巻き込む。
そんなケビンはココアを飲んで満足げだ。
俺?
糖尿病の恐ろしさを知ってるからコーヒー、ブラックで。
自分で入れるもんね~。
最近、クロノスでも美味しいのできるようになったのよ。
子爵のおっちゃんが山ほどくれた。
特にこだわりはない。
コーヒーメーカーで入れる。
「美味しい?」
ケビンが欲しそうだったのでカップを出して入れてやる。
砂糖とポーションミルクをつける。
俺が使うやつじゃなくてケビンやリコち用のやつである。
砂糖は二つ。
俺には文句言うくせにケビンは甘党である。
「ほれ」
「ありがとう」
コーヒータイム。
休んでるとリコちがやって来た。
「なにか食べるものない?」
仕事中に食料が切れたようだ。
「ほれスナック菓子」
俺の食料箱からスナック菓子を渡す。
『一日一個。宇宙怪獣にエサをあげないで!』とケビンの手書きで注意事項が書かれてる。
「コーヒー飲む?」
「いる!」
ということでリコちも休憩に参加。
おかき、いわゆるかき餅を皿に置く。
ポリポリ食べてるとリコちがつぶやく。
「それでさー、あいつらどうすんの?」
あいつらとはずっと監視してる連中だ。
「なにも」
「なにもぉ!?」
「通信で呼びかけても応じない連中を構ってやる必要ないし。攻撃してきたら海賊扱いしてボコボコにすればいいし」
そりゃ先手必勝は世の常だ。
だけど攻撃してくると思って待ち構えるのも戦術である。
それにー、ゼン神族の国家の場所も責任者も我が国は教えてもらってませんし~。
国家承認どころか、どこの馬の骨かも知りませんし~。
星の神の関係者かどうかすらわかりませんし~。
海賊扱いしてもいいですよね~。
という論法である。
もちろん相手が攻撃してきたらの話だけどね。
見てるだけの間はなにもしない。放置する。
事故ったら助けて恩を高値で売る。
そうだな「両国間の友情を」って宣伝しまくって戦争になったら「なんという裏切りだ!」って被害者面してやるか!
「レオ、また悪い顔してる。その顔やめなよ。君は基本的に悪人向いてないから」
「お、押忍……」
「それでドローン班なんだけど、このまま探索していいかな?」
「頼むわ。レプシトールの貨物は?」
「まだかな。一応造形プリンター用の設計図来たから作ってみるね。動けばいいけど」
レプシトールへの特許料が莫大になりそう。
もともと、そういう稼ぎ方の国なんだよね。
とにかくレプシトール人は金稼ぎが上手すぎる。
合法ドラッグとか受験を煽りまくったりとかアホみたいな投資とか……。
ろくでもない商売しなければ、とっくに覇権取ってたと思うんだよね。
本人たちが「ぼくたちクロノス国民でいいもん!」って言ってるからいいけどさ~。
職人がいて銀行が搾取する……なんか心配になってきたぞ……。
帰ったら搾取してないかチェックしないと。
「ほら、またストレスため込んだ顔してる」
「わかってるけどさー」
「ボクは心配してるの~」
「俺も国の心配してるのよ~。次から次へと問題起きるし~」
「……だよね」
リコちは大人しい。
なんか嫌な予感がする。
「リコち、黙ってるってことはなにか隠してるね?」
「シテナイヨ」
「怒らないから言ってみ?」
「ダウンロード数見て」
「はい?」
嫌がらせでゼン神族に送った漫画である。
……ダウンロードの数すごくない?
ゼン神族くん……もしかして文化的汚染が始まってる?
いや概算なんだけど……。
俺はコーヒーを飲む。
「よし、俺は何も見なかった!」
ケビンも目をぐるぐるさせてる。
「ソ、ソウダネ」
リコちは目をそらして無言。
本当に気にしたら負けだ。
うん負けだ。
きっと負けだ。
そして建築が進んだある日、俺たちはいきなり攻撃されたのだ。
……薄い本作戦がそこまで効いたのか?
それがわかるようになるのはずっと先の話だった。
……と、いうのは冗談としても攻撃しか選択できないところに追い込んだようだ。
俺は専用機に乗り込む。
『殺戮の夜』、改め『黎明の光』(やっと決まった)。
殺戮の夜を素体に古代人の叡智と銀河帝国と外宇宙の最新鋭技術で設計し直した専用機だ。
設計思想は俺の動きに耐えられる機体。
んまー、殺戮の夜ちゃん。
もう採掘できない金属が使われてたのよ。
修理班も気がつかなかった。
俺が圧死しなかったのはそれのおかげ。
ゾーク加工や外宇宙の技術で似たような物を作って復元。
さんざん問題になってた俺の動きに耐えられることを目指してる。
「相棒、出撃しようぜ」
生も死もただの結果。
肩の力を抜いて行こうと思う。
明日は高確率で更新できないと思います




