第八百六十五話
まずは敵の軍艦がお出迎え。
ローザリア軍とも違うデザインだ。
一言で言うと禍々しい。
全体的に丸っこいデザインかな?
銀河帝国はシルエットが直線的なデザイン多いし。
おそらく一目見てゼン神族とわかって、強いのがわかるってデザインだろう。
毒持ってる昆虫のデザインみたいな感じ。
こういうのって開発国のお国柄が出るよね。
うち?
銀河帝国はスマートな感じ。
強さは実力でわからせればいいって感じ。
古くもなく過度に飾りがないわけでもない。
ただし機能性重視。
ほら……銀河帝国って脳筋だから……。
半分くらい俺が悪いんだけど。
クロノスは伝統を重んじてシックな装い。
太極国もそんな感じかな。
両国ともに洗練されてる。
ラターニアはシックじゃないけど伝統的。
というか軍艦を自国開発できない国はラターニアから軍艦を買ってる。
素体はシルエットだけでデザインがなく、各国が好きにカラーデザインを発注してる。
かつてのプローンの金ピカもそうである。
それらと区別するためにラターニアは伝統模様を入れてるというわけである。
まー……デザイン学んでない国のカラーは目も当てられない状態だ。
シンプルカラーでシルエットの邪魔しないデザインの鬼神国ってもの凄く優秀なんだなって思うもん。
なおレプシトールのうさんくさいサイバーパンク・インチキジャパンデザインには触れたくない。
ゲーミング坊主の方がまだマシな感じで光ってる。
金ピカの方がまだマシまである。
なお最近のプローンは留学生がデザインを学んだため、金ピカ路線ではない。よかった……。
「敵艦接近」
オペレーターから連絡がある。
まだ正式に宣戦布告されたわけじゃない。
お互い嫌がらせしまくったが双方ともに証拠はつかませてない。
神の件もゼン神族という証拠はない。
心証は悪いけどね!
「全通信チャンネルで呼びかけろ」
「応答ありません」
「うわぁ……」
俺だったら「大きいのがうちの領地に来たんで見に来ました~。あ、友好? いいっすよ。はいはい」って友好アピールしながら工作員送り込んで情報ぶっこ抜く。
仲良くしてくれそうな勢力いたらそいつらを支援しながら、同時に一番無能な勢力に多額の支援をする。
バカにテキトーなことを吹き込んで熟成させる。味噌造りと同じだ。そういやそろそろ味噌の様子見なければ。
テキトーな次期に無能にデモや暴動起こさせて現政権の足を引っ張りつつ、本命を躍進させてズッ友になる。
あとは彼らがクソ無能でないことを祈るだけ。
その間に経済で結びつき強くして「遠いし国だし相手が喧嘩売ってこなきゃいいか……」って損得感情で納得させる。
……って、ゼン神族からしたらそれをやられるのが嫌なのか。
俺と関わるのがそもそも無理なのね!
外交したら取り込まれるから!
たとえ戦争中でも外交で侵略してくるから!
そこまで警戒する必要ないのに。
敵対してなきゃ俺は優しいよ。
ラターニアのおじさんたちが約束破らなければ優しいのと同じくらいの勢いで。
クロノスも銀河帝国も信用度でラターニア銀行のお墨付きだもんね!
「陛下、呼びかけに応じません」
「攻撃は?」
「ありません」
さー、どうしようかな。
よーし、ここはあれだ。
「クロノスの国旗を外装に大きく投影。軍艦を無視して航行せよ」
秘技、「ここは誰の領地でもないもんね」作戦。
旗立てて航行するのは許されてるもんね。
もともと外装に旗を投影してるけど、デカくして表示。
堂々と航行してくれる。
じゃあ「お前らが建設した宇宙港は?」って言われたら「ローザリアの許可あるもん!」でごり押しする。
「ゼン神族からの攻撃に備えて防御態勢と乗員、関係国に警告を出せ」
「はっ!」
先に攻撃してきたら、永遠にそれをイジリ続けてくれる。
国内のプロパガンダはもちろん、外交チャンネル開かせて永遠恨み言でこすってくれる!
それに、相手の軍艦を見ても数ではこっちの方が勝ってる。
そりゃすんごい兵器とかあるかもしれないけど……。
ブラックホール発生砲とか。
そのときはそのときだ。
乗員には悪いけど、これは悪意と悪意がぶつかるチキンレースである。
どうしても命を賭け金にする必要はある。
……問題は、これ、あくまでゼン神族が自分たちと同等の知能があると仮定した場合ね。
バカだったらどうなるか知らない。
計画全体の見直しになる。
オラオラ、やって来いよ!
どうしたぁ?
こちらは攻撃してやんねえぞ!
ヒャッハー!
あとは乗員がどれだけ耐えられるかの問題。
中にスパイがいる可能性もある。
「ラターニアには『絶対に攻撃するな』ってもう一度送って」
「はッ!」
すると明らかに怒ってるポリーナさんから通信が来た。
「あなた。攻撃するなとは?」
うわー……普段言わない『あなた』だ。
こりゃ怒ってるぞ。
「向こうが攻撃してきたら向こうの有責。全力で戦争できる。こっちが攻撃したらこっちの有責って話」
「すでに我々は煮え湯を飲まされてますが……」
「現在の話じゃないし。謀略は証拠ないからね。目の前を堂々と通過して圧をかけてけばいい。これは我慢競べね」
「うちの夫が弱腰だと公然と非難されてますが!」
ポリーナさん……ビキビキと額の血管が脈動してる。
ちょっと落ち着いて。
「少し待って。嫌がらせには準備が必要なの。いいから、どちらにせよローザリアまで到達すれば戦争になるんだから。とにかく大義名分を大事に。我々は武装勢力に襲われた友好国ローザリアを助けに来た正義の使者。敵武装勢力はゼン神族かは不明。いいね。まだなにもしない。こんなカスみたいな挑発に乗ったらダメ」
あおってるの俺なんだけどね!
軍艦をカメラで撮りまくる。
さーて、やるかね。
「んじゃ挨拶してくるわー」
「は?」
主立った幹部とデッキに行く。
完全武装の戦闘服でデッキに出て並んで敬礼。
オラオラ攻撃してみろよ!
できねえだろ!
そこで指くわえて見てろ!
中指立てるなんていう下品な挑発は一切なし。
王として威風堂々と通る。
「なあレオ……」
通りすぎるとイソノが遠慮がちに声をかけてきた。
「うん、どうしたん?」
「お前が敵じゃなくて本当によかった……」
どういう意味かな?
俺は誰にも怒られるいわれはないのに、なぜか仲間たちに恐れられたのであった。




