第八百五十八話
銀河連合とかいう組織の盟主にされてしまった。
内容はゼン神族との戦いに向けて連絡を緊密に取って対策しましょうって会議だ。
バトルドーム加盟諸国も連合に加わった。
今までバトルドームに加入してなかった少数民族の惑星も合流した。
かなりの規模である。
これだけ大きいと最初の会議はゼン神族の話なんかそっちのけ。
教育に文化の保護に景気に……。
生活の話が先になってくる。
特にプローンが暴れ回ってたあたりは、いまだに景気回復しておらず支援の必要性を訴えた。
つまりどういうことか?
かつてないグダグダで会議は終了したのである。
当たり前である。
銀河帝国にラターニアにクロノスに太極国、そしてローザリアは超大国なのだ。
鬼神国だって大国なのだ。
その日の食事にも困ってる国々とは見てる世界が違う。
この失敗をふまえて部会を設立。
安全保障、経済、文化、教育などに分ける。
これで話し合いは外務省に任せることができる。
烏合の衆と言えばその通りではあるが、それでも我々は戦争に備えることにした。
連合軍を作り、連携して訓練する。
銀河帝国士官学校の制度が人気だ。
銀河帝国への留学はもちろん、同じようが学校の建設と育成をお願いされてる。
まー、いいんですけどね。
銀河帝国もクロノスも軍の募集枠増員できて失業対策になる。
人手が足りないなんて幻想ですよっと。
銀河連合の最初のお仕事は文化交流かな。
そんなわけでルーちゃんママにお願いされて、クレアと庭を散策。
各国要人と庭で園遊会。
いいのいいの。
難しい話の前に顔を合わしておく。これ重要。
政治的謀略なんかはその後でいい。
まずはなにをやってる人か知ることからはじめる。
こういうとこから新発見があったりするわけ。
赤い地下生のエビとか。
そうなのである。
今眺めてるやつ。
これをクレアと首をひねりながら眺めてる。
バトルドームに加盟してなかった少数民族の国がある。
そこには半分鰓呼吸の民族が住んでる。
マーフォーク族としておこうか。
肺呼吸もできるからタコの人みたいに頭から水槽鉢被らなくてもいいタイプの人だ。
珊瑚礁の広がる惑星らしい。
挨拶したらこのエビの入った水槽をくれた。
なんでも池がポツポツあってそこで採取したものらしい。
なんでも地下鍾乳洞に繋がっていて汽水の水と共に池に流れてくるエビらしい。
2㎝もないかな? 小型のエビだ。
ヌマエビやハチエビの仲間かなって思ったらちょっと違う。
俺もクレアも生物系に興味がある。
気になってしかたがない。
実はクロノス宮殿近くの水族館は俺とクレアの趣味で集めた銀河中の水中生物の展示をしてる。
この赤いエビは初見である。
二人でじっと見てるとマーフォーク族の外交官が驚いたように言った。
「噂には聞いてましたが……本当にお好きなんですね」
「はい……とても。興味深いです」
そのヌマエビかなあ?
もう地下生物の学者には連絡済み。
あ、来た。
「へ、陛下。馳せ参じ……げへえええええええッ!」
「い、息を整えて!」
背中ぽんぽん。
急いできたらしい。
水を飲ませて仕切り直し。
「このエビなんだけどさ」
「ほうほう……エビ?」
「ですよねー」
思わずクレアと一緒に声を出してしまった。
形が違う。
知ってるエビではない。
いや大量の惑星を航行する世界だ。
分類学に収まらない生物は大量にいる。
新種は毎年大量に見つかる。
うちの実家の生き物たちも片っ端から新種登録されたのは記憶に新しい。
でもなんか違うのだ。
その知ってる生き物の変種のような……。
ジェスターの勘じゃなくて、生き物好きの勘の方。
公務そっちのけで二人でエビを眺める。
研究者も首をひねってる。
「帝国の汽水洞窟性のヌマエビと似てる点が多いですな」
「だよねー」
やはりそうか。
ご先祖様やゼン神族にテラフォーミングされた惑星かな?
それともマーフォーク族も改造されたビースト種かもしれない。
それは調べないとわからない。
とりあえず研究者に渡して水族館へ送る。
研究室で半分、水族館で半分飼育かな。
おそらく長期飼育できるだろう。
そんな難しそうな姿してないし。
味が良くて増やすのが簡単なら、水産資源として船のプラントで飼育できるかもしれない。
とはいえ小さいエビは普通のヌマエビいるからな。
淡水だけで増える種類のやつ。
エビや魚が出すフンなんかを水耕栽培施設のタンクで肥料にして野菜も育てるのだ。
水を浄化して再利用するときに硝酸が出る。
これも窒素にできる。
ということでなにを育てるかはとても重要。
我らは常に資源を探している。
あと食えなくても生き物大好き。
展示するだけでも面白い。
そんなどうでもいいことしてるように見えるじゃん。
ところがこれは評判良かったのだ。
なんでだろうね?
どうも超大国が相手にしないような小さな国の話も真剣に聞くって思われたみたい。
ただの生き物好きなのに。
クレアも小さななにもない少数民族の文化を興味深そうに聞いていた。
だって興味しかないじゃん!
俺たちはそうやって話を聞くことによって大きくなった国だもんね!
他にも別のビースト種の国の話を聞く。
この辺はレンの役目。
レンはビースト種の様々な国の話、というか陳情を聞いていた。
別にクロノスの一地方じゃないんだけど、「同じビースト種だし」って感じで話をしてた。
「留学生を送りたい」と「もめごとを解決したい」ってのが多い。
留学生は、まあ、問題ない。
問題は「もめごと」である。
地方の少数民族どうにかしろとか。
「それ俺に頼む話か?」ってのが多い。
うちの国はそういうのにはいい顔しない。
冷たく追い返す。
我らは学習しまくってるのだ。
関わって得になることなんざねえ。
恨まれるだけだ。
そりゃゼン神族との戦いに仲間は必要だ。
それをふまえても関わるメリットがない。
人道とか言いだして紛争を途中で止める気もない。
そういうのは自分たちで解決しろ。
そんな感じで園遊会やら会議やらを繰り返す日々が続く。
だって何もできることがない。
やるべきことはやってるもんね!
そしてそんなある日、ローザリアとの通信衛星に反応があったのだ。




