第八百五十六話
焼きそばから政治を理解した俺。
とりあえずメリッサの実家の問題というか……メリッサが実家から逃げ回ってた問題が解決した。
お前王妃だろが……。
まあ俺たちに王族らしくしろっていうのが、そもそも無理ゲーなのである。
クレアなんかは実家との関係は良好なんだよね。
おかしいな。
嫁たちは子育て。
これはいい。これは自然なことだ。
むしろ幸せな話だ。
だけど、他がおかしい。
俺には兄貴たちの結婚問題が浮上し、メリッサは実家問題が浮上。
イソノん家はお義兄さんが薬物依存で入院。
カレンさんも子どもの頃からの異常な競争が原因の薬物依存で入院した。
で、直近のタスクとしてはレプシトールの薬物依存問題……なんて言ってるけどパーシオンでも絶対蔓延してる流れだ。
どちらも別の意味でストレス社会だし。
それと遺跡の件か……。
バキバキにブチ切れてるもんな。
鬼神国は陽キャだから読めないが、たぶんバチ切れだろう。
太極国も「こんなくだらない理由で攻撃されたのか!」と本気で怒ってる。
そうなのである。
ゼン神族はやりすぎたのだ。
なんかしらの戦略的理由はあるのだろうが人を殺しすぎた。
プローンや屍食鬼を暴れさせすぎた。
そんなプローンも自分たちの製法が出てきた。
やはり貝を進化させたものだ。
タコの人で頭足類の進化も成功したのだろう。
貝を進化させることもできるのだろう。
最近のプローンはすっかり大人しくなった。
宗教国家として静かな生活をしてる。
そんな彼らも相当怒ってる。
イザークくんと面談。
最近は俺のこと嫌ってないみたい。
俺とプローンは根本的に相性が悪い。
プローンは陰キャ生物。
その分真面目なんだけど、それでも相性は悪い。
価値観の根本のところでわかり合えない感がある。
その原因はプローン教。
かつての「お肉美味しい」路線じゃなくて、イザークくんたちが復活させた正統派プローン教は「人生は苦痛に満ちている。その苦しみこそが神の恩寵である」というマゾ路線だ。
どう考えても俺という「みんな幸せになろうよ!」という存在と相性が悪い。
俺は苦痛を我慢しろ路線ではなく、不満を見つけて潰していく立場だ。
問題をオープンにして「みんなで考えようよ! 大丈夫。なんとかなるさ!」っていう存在だ。
だけどプローンはとにかく苦痛をため込む。
人生は苦痛であり我慢することが神への奉仕だからだ。
そんな彼らが静かに怒ってる。
太極国の怒りとはまた違う、本気の怒りである。
そもそもプローン教の『神』は元はゼン神族だったようだ。
でも現在は正統派が座敷童ちゃんや神籬ちゃんを神、もしくは精霊として信仰してる。
単にゼン神族の化けの皮が剥がれただけだろう。
一応だけど、イザークくんに「俺が死んだ後、聖人認定とかするのだけはやめてね。俺のせいでかなり死んでるから」って言ったら鼻で笑われた。
答えは教えてくれなかったが、「お前なんか崇めるわけねえだろ。ばーかばーか!」って意味として取ることにする。
「お前がその運命から避けられるとでも(嘲笑)?」ではないはずだ。
……だよね?
そんなわけで銀河中ブチ切れ案件な中、宇宙港建設にラターニア銀行がとんでもない額を投下してきた。
銀行の偉い人の目はバキバキだった。
あたいなに一つわからないわ……。
巨額の金が動いた瞬間、レプシトールは動いた。
カミシログループを通して大量の作業員を現場に派遣。
少し遅れて太極国も多額のお金を投資し作業員を派遣してきた。
それぞれカミシログループにというか自国の建築会社にね。
大量の作業員であふれかえる現場。
それで計画を前倒し。
資材もいろんな会社が全力生産体制に入った。
レプシトールちゃん……君だけは三重検査ね。
君らの製品だけは信用できないんだ……。
嫌だったら規格通り作れ。な?
まあいいや、検査員も足りてるし。
なんか異常なほどの好景気である。
これまだバブルじゃないな。
戦争後にある人口増の前触れだと思う。
そんな中、カレンさんが退院した。
病院に迎えに行く。
そろそろ仕事がたまってる。
なぜかレプシトールちゃん、誰もカレンさんの地位に立ちたがらないし。
レプシトール的にはカレンさんの地位に立つくらいなら、カレンさんの仕事を代理する方がマシという空気だ。
そんなカレンさんはお目々ぱっちり。
キツいシゴデキメークはどこへやら。
もともと童顔なのに、さらに少女っぽくなってた。
「ご心配おかけしました」
「本当にね。これからお薬も監視させるからね」
「……はい」
実は俺もちょっとだけ怒ってる。
心配させんなよと。
これで一つ問題が解決。
薬物問題はカレンさんに投げよう。
「レプシトールの薬物の取り締りを強化して」
「御意」
なおイソノのお義兄さんはまだ入院中。
ちょっと薬がね、その、シャレにならない種類のやつみたいで……。
レプシトールのお薬は危険だけど、市販されてるやつだからまだマシな方。
銀河帝国兵士の使うやつはシャレにならないほど危険と。
ないと死ぬけどね。
そりゃ一般人に使わせないわ。
さーて、一時の危機に次ぐ危機が嘘のように内政がマシになってきた。
メリッサの家族問題も解決したしね。
平時が一番ピンチなのはいつものこととして……今回はヤバかった。
メリッサの家の問題も、イソノの家の問題も、カレンさんの薬物依存も。そこから派生した薬物汚染問題も。
数十年先に突如爆発する爆弾を事前に解除した気がする。
いろんな意味で苦しかったけど、俺たちの経験になったと思う。
そう思いながら「今日のお昼なに作ろうかな」なんて考えてたら通信が来る。
ポリーナさんだ。
「例の遺跡で保護した実験体。意識を取り戻しました」
「わかった。お昼食べたらすぐ行く」
よし、時間がない。
カップ麺だ。
油取りすぎって怒られるからノンフライで。
たしか漬物と冷凍したご飯もあったはず。
おにぎりでも握るか。
スープ代わりでラーメンなら文句出ないよね?
鮭のフレークあったかな?
なければ鰹節でおかかにするか。
それもなければ焼きおにぎりでも作るか。




