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第八百五十四話

 サリアは検査の結果、古代人の先祖返りだとわかった。

 大王妃になったキールティちゃんも一緒に来てる。

 本人も安心したらしい。

 ゾークは共和国人のはずだけど、なぜレシピがあったのかは不明。

 そそのかされたのか……。

 なんかしらの介入があったのだろう。

 あいつら政治工作得意だからなあ。

 直接交渉してくればまだやりようがあるんだけどね。

 最終的に共和国は国民総動員からの強制改造と。

 共和制とは?

 共和制は崩れたときが怖いな。

 いままで縛りプレイしてたぶん容赦がない。

 スパイによる陽動でここまでなるのか。

 真相を知って一気に銀河の地獄レベルが上がってしまった。

 さーて、さーて、誰だが知らないけどリーク発生。

 いや……おそらくラターニアだろうな。

 政治的根回しと今後の予定が固まったからわざとマスコミにリークしたのだろう。

 最近のラターニアは隙がない。

 同時に太極国も古代人系の人種というニュースを発表。

 こっちはダメージがないだろう。

 無改造だったのね。

 ゼン神族から見れば、ゲート内に封印された伝説の魔族である銀河帝国我らも「古代人の末裔」と発表。

 だいぶ元と違ってるみたいだけどね。

 レプシトールはラターニア人ベースのビースト種なのはわかってる。

 調べた研究はすでに山ほど存在。

 学術的な興味?

 レプシトール人がそんなちゃんとした連中なはずがない。

 おそらく同胞扱いしてラターニア銀行と取引しようと思ったのだろう。

 そこでラターニア人を納得させられるだけの証拠が必要だったというわけ。

 そういうところ、嫌いじゃないよ。

 カレンさんは病院に直行。

 まだしばらくかかるみたい。

 なんでもレプシトール人は小さな頃からの厳しい競争に勝つために、眠気を取る薬に、脳のブースト薬に、精神安定剤なんかを服用するのが当たり前らしい。

 銀河帝国も大概であるが、レプシトール人は終着点まで到達してるような気がする。

 そんな子ども時代からの常識を覆さないとカレンさんの寿命は長くないだろう。

 実際、レプシトール人の平均寿命はラターニア系としては明らかに短い。

 治安が悪すぎるのもあるけどね。

 シャーロットの検査もした。

 古代人系だった。

 銀河帝国人とは微妙に違う系統らしい。

 なんだろうね。

 ジェスターの発生には、なにか法則性があるのかもしれない。

 さて、このタイミングでさらに状況は混迷を極める。

 まずメリッサの兄貴たちがやって来た。

 婿が流派を立ち上げ、館花流の居合を実戦で使ったという情報が来た。

 だとしたら一噛みせねばって話だ。

 メリッサの兄ちゃんズは俺の元で文官もしながら統治も学ぶそうである。

 ……俺から学ぶぅ?

 大丈夫、変な癖つかない?

 俺、統治上手じゃないよ。

 ということで婿殿は館花家にも頭が上がらなくなったのである。

 わかるね。

 嫁ちゃんの尻には喜んで敷かれてる。

 クレアの実家にはカミシログループ関連でお世話になりっぱなしだ。

 当然尻に敷かれてる。

 妖精さんは俺を殺しかけたが、それでもいないと困る。たぶん過労で死ぬ。

 物理的に存在しない尻に敷かれてる。

 そこにメリッサが加わったわけだ。

 はっはっは!

 ハーレムの現実ってこれよね。

 喜んで尻に敷かれよう。

 メリッサは終始、嫌な顔してる。

 実はもう一つ……問題が発生した。


「松姉……」


「久しぶり。メリッサ。いえメリッサ王妃様」


 館花松。

 メリッサの姉ではなく、ほぼ家族みたいな感じの親戚らしい。

 ほぼ姉ちゃんみたいな人。

 メリッサパパの弟の娘さん。

 俺たちが惑星館花奪還作戦で助けられなかったザンマさんの奥さんだ。

 その松姉ちゃんが、今後生まれるメリッサの子どもの乳母候補として研修しにやって来たのだ。

 メンタルよわよわなメリッサが落ち込む。

 ここでいったん挨拶でだけで別れる。

 帝国領土奪還では、当時の俺たちの能力じゃ救えなかった人がたくさんいた。

 現在の科学力なら救えた人たち。

 現在の俺たちなら死ななかった人たち。

 俺たちのやって来た道は血で染まっている。


「なんかごめん……」


「隊長が謝ることじゃないよ……悪いのは親父」


 たった数年前だけど、世の中はずいぶん変わった。

 科学は爆発的進歩を遂げ、経験を積んだ俺たちは強くなった。


「一回話し合ってみようか。そうだな嫁ちゃんやクレアやレンも一緒に」


「う、うん」


 ということで嫁ちゃんにクレアにレン、それにメリッサを連れて食事会という名目で外のレストランで会うことにした。

 クロノスにも銀河帝国風料理を出す店が増えた。

 というか、銀河帝国の偉い人がやって来ることが増えて必要になったから出店した。

 俺の店である。

 利益よりも味と格式重視。

 予約のみの店である。

 イソノたちも仕事でよく使ってる。

 プライベート?

 プライベートで使う店じゃねえ……。逆に疲れるわ!

 銀河帝国風。

 別名和食。

 俺たちは自作する。

 ニーナさんはこっちの食材の説明やそのレシピ集をカミシログループから発行してる。

 かなり売れてるらしい。

 そのお店で松さんを待つ。

 松さんは和服でやって来た。


「あたし似合わないんだよなあ……」


 メリッサがつぶやいた。


「道着は似合ってるんだからシルエットの違いじゃない。今度仕立てる?」


 すると嫁ちゃんがほほ笑む。


「妾も欲しい」


「はいはい。クレアもレンもね」


 なんて喋ってると松さんがやって来た。

 メリッサのお兄さんたちと一緒だ。


「よ、みんな!」


 メリッサは無理して明るく振舞った。

 胃がキリキリしてきた。

 みんなを見たら同じようだ。

 一族の重い話だもんな。

 なかなかつらい。

 なおリコちであるが積極的に参加したがった。

 お前はダメだ。

 どうせ取材だろ!

 こうして緊迫感のある話し合いが始まったのである。

 いや別に遠慮する必要はないんだけどさ。

 メリッサが乗りこえなきゃいけない壁だからさ。

 俺は……そうか。

 俺は仲良くなった人や敵側でも尊敬できる人が何人も死んでるのか。

 みんなも同じだ。

 それでも乗りこえた来たのだ。

 今度はメリッサの番だろう。

 松さんは挨拶すると言った。


「私はメリッサ王妃様を恨んでおりません。夫は銀河帝国と館花家のために立派に戦って散りました」


 思わずため息が出た。

 よかった……。

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