↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
853/881

第八百五十三話

 ラターニアに文書のコピーを送る。

 原書と翻訳版の両方ね。

 怖かったのでポリーナさんに先に送る。

 執務室が緊張に包まれる。

 俺は目を逸らす。

 バキッと音がした。

 ポリーナさんが署名用のデジタルペンをへし折っていた。


「これは表ルートで送ってはなりませんね。先に私から父へ送ります」


「あ、はい。お願いします」


 笑顔の圧が凄まじい。

 別に俺が悪いわけじゃないけど空気が緊張してる。

 すぐに専用秘匿通信でラターニア王から連絡が来た。


「クロノス王。我らの友情を確信している」


 ……勘弁してくれよ。

 もうね、血管がバキバキに浮かび上がって目が血走ってる。

 息も荒い。

 どうしようこれ……。


「ソ、ソウデスネ」


「……やつらは我らと鬼神国人を労働用として生み出したと」


「エエ、マア」


 どうしよう。

 ラターニア人の苦渋の歴史のほぼ全ての原因がゼン神族なんて。

 いやわかってたんだけどさ……。

 でも証拠付きで突きつけられるのは厳しい。


「管理しやすいように筋力を弱くしたと」


 なお鬼人国人は管理しやすいように筋力を強くしてアホの子にしたらしい。

 すると真っ先に鬼神国の頭脳担当が頭に浮かんだ。

 鬼人国大王サリアである。

 おそらくサリアはラターニア人を素体への先祖返りなのだろう。

 そういやあいつ……デカくてゴツイ鬼神国人にしちゃ小さくないか?

 俺より少しだけ身長低いしな。

 本人気にしてて、それを言うとかなり機嫌が悪くなる。

 基本的には俺と同じ脳筋の民ではあるのだが、論理性はラターニア人寄りだ。

 つまりサリアは……。


「あれ? サリアってゼン神族? 先祖返りだと思うけど」


「呼びましょう」


 ですよねー。

 サリアと通信回線を開く。


「どうしました? レオさんにラターニア王……怖い顔して」


「えっと、俺たちズッ友だよね?」


「なんですか気持ち悪いな。あー、また、なんかやらかしたんですね! イヤですからね! クレアさん怖いんだから!」


 いつものサリアだ。

 おそらく変な意図はなさそうだ。

 ジェイソンくんもいる。


「ジェイソンくん……」


「距離があるので絶対ではありませんが……声から害意は感じられません」


 ですよねー。

 サリアきゅんがそんなやつなわけがない。

 納得してるとラターニア王が聞いた。


「サリア大王よ……。鬼人国は我々を裏切ってないな?」


「裏切りってなんですか? なんでそんな怖い顔……ちょっとやめてくださいよ! うちの国の屍食鬼への感染状況だって調べたでしょ! もう、ハッキリ言ってください! なにがあったんですか?」


「お前、ゼン神族。もしくは古代人」


 直球のボールを投げる。

 両者は同じ民族みたいだけどね。


「は?」


「鬼人国人は筋力が強いはず。ゼン神族への先祖返りなんだ……サリアは」


「え? ちょっとそういう悪趣味な冗談やめてください……そりゃ私は背が小さくて筋肉がぜんぜんつかない体質ですけど……それが原因で王にならなくてもいいって父さんが言ってたこともあっただけで……待って、本当に?」


 ラターニア王とコクコクうなずいた。

 やはり知らなかったようだ。


「そういや小さい頃から周りと合わないなあって思うことが何度も……友だちも出稼ぎに来てたラターニア人ばかりですし……商売もラターニア人に習って……私がゼン神族?」


 コクコク。


「実はラターニア人を作るレシピが出てきてさ。その資料と身体データを比較すれば確定するんじゃないかと」


「ちょっと待ってください。いまなんと?」


「ラターニア人の製法」


「……大事件じゃないですか」


「うん。ヘタするとラターニアが割れる」


 ラターニア人は死んでも約束を守らせようとする種族。

 恩も恨みも永遠。

 苦難の歴史の元凶が判明したら……今すぐ殺せって話になるだろう。

「だってどこにいるかわからないもん」は許されない。

 すぐにローザリアに行ってゼン神族ぶち殺してこいって話になる。

 これ鬼神国も同じね。

 ただでさえ『神と戦ってみたい』というクソみたいな理由でクロノス軍に入隊するものが後を絶たない。

 大義名分与えたらどうなることやら……。

 味方の暴走にさんざん苦しめられてる俺、そしてそれを側で見続けてきたラターニア王とサリア。

 渋い顔になるしかない。

 さあ、どうするかね。


「とりあえず……こちらでも詰めます。父とそっち行くんで生体データ取ってください!」


「『父と』って前大王、こっちにずっといるけど」


 ほぼカミシロ流の道場の上層階の空き部屋に住んでる状態だ。

 道場生がいるから護衛つけなくていいから楽なんだけどさ。


「あんのクソ親父!」


「とりあえず、これから嫁ちゃんたちとも会議するけど、サリアもラターニア王も覚悟してね。根回しお願い」


「うむ」


 通信終了。

 あー……これからが問題だ。

 ラターニア人のレシピが出てきたってことは……。

 今度は隣の会議室へ移動。


「待ってたぞ」


 嫁ちゃんに、ポリーナさんに、ジャージ姿のカレンさん。

 カレンさんは会議のために一時退院した。

 会議が終わったら病院に直行である。

 依存症の治療だから時間がかかる。

 あと半月は病院かな。

 あとタチアナにシーユンにワンオーワンの三人にケビンも。


「これラターニア王とサリアには出さなかった追加のやつ」


 嫁ちゃんたちにファイル送信。

 カレンさんがため息をつく。


「やはり我々のレシピもありましたか」


「予測はしてたんだけどね」


「ゾークもでありますか?」


「うん、レシピが見つかった」


「医学の勉強してよかったであります。理解できるであります」


「わからないとこはボクに聞いて」


「わかったであります! ケビンお姉様!」


 医師がいてよかった。

 なお俺は技術面はまるっきりわからず。

 これが人形戦闘機の設計図なら詳細がわかるんだけどね。


「婿殿、銀河帝国人はどうなのじゃ?」


「基本的に古代人成分多めの雑種。そこから特別変異でジェスターが発生したみたい。ある程度古代人の遺伝子も入ってるみたいだけどね。クロノス人はラターニア系山岳仕様人種で古代人成分多め、奴隷化には失敗したみたいね」


 初対面の時になんか違和感なかったんだよね。

 ベルガーさんたち古代人。

 ラターニア人とかは初見だと「うお、異星人」って思うだろうけど、古代人に違和感はない。

 クロノス人も同じ系統みたいであんまり違和感ない。


「ゾークはプローンや屍食鬼と同じく実験体のようであります」


 さあ、話が面倒になって参りました。

『ゼン神族こそが神』説が蔓延する可能性もあり。


「レプシトール人は実験体のようですね」


「水槽の人は?」


 タコが本体の人。

 その話をするとシーユンが口を開く。


「彼らは本当に実験体みたいですね。我々、太極国の民は古代人の系統みたいです」


 ラターニア系だと思ってた太極国は古代人の国家だった。

 だから潰そうとしてたのね。

 ジェスターが生まれる可能性があったわけだ。


「例の鎧の人は?」


 それには嫁ちゃんが答えてくれる。


「体の再生処置をしてる。部分的に残ってたからそこからクローン処置で再生する」


 妖精さんみたいに肉体として死んでると新しく作るしかない。

 だけど部分的に残ってたら再生可能だ。

 ……銀河帝国の技術の進化が止まらない。

 俺はため息をつく。

 もーやだ!

 どうして次から次へと問題が起きていくの!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
先生!シリアスが息を吹き返しました!
君の前前前世から僕は 君を作りはじめたよ その不気味っちょなジェスター体質を 殺ってきたんだよ (ゼンゼンゼン神族)
揉め事「ちょっと次は私がレオ様と会うの!」 厄介事「なんだよ!僕が先だよ!!」 面倒事「なに言ってるんですか!私です!!」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。