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第八百五十話

 北斗七星の扉は開かない。

 扉を爆破して……クロノスの大学教授さんに肩をつかまれる。


「貴重な遺産に傷をつけるな、てめえぶっ殺すぞ!」


 あ、はい。スンマセン。

 妖精さん……。


「入れません。コンピューター制御じゃないので。そちらに油圧の制御装置があるはずです」


「純粋な機械ぃ!」


 おいおい、何百年前のシステムだよ。

 えっと……電気系統を……。

 ボタンをポチポチ。

 動かねえ……。


「工兵さーん。電気の専門家さーん!」


 俺も電気系統専門なんだけど経験が足りない。

 配電盤オープン!

 ホラーゲームならヒューズ交換するところだ。

 でもブレーカーだ。

 おっと、スイッチが完全にONになってない。

 パカパカしてる。

 過電流が流れて壊れたかな?

 落雷が原因かも。

 えっと同じやつある?

 同じくらいのやつがある?

 取ってきてくれる?

 あざっす!

 主電源切って……。


「しばらく照明落ちます」


 暗くなったら戦闘服のヘルメットを被ってライトをON。


「ブレーカー交換して……」


「陛下。自分がやります」


 頭部がタコが入った水槽の人が来た。

 そういや、プローン以外にもこの人種がいたな。

 少なすぎて忘れてた。


「えーっと」


「工兵隊であります!」


「あ、ども」


 二人でサクサク交換……あ、お前は働くな。

 あ、はい。

 工兵の皆さんに近くに椅子を置かれた。

 そこに座らされて眺める。

 せめてライト係でもするか。

 ライトで配電盤を照らす。

 別のタコの人、階級章見たら軍曹が俺の横についた。


「えーっと、軍曹。雑談をしても?」


「もちろんです」


「これはセクハラではなく純粋な質問なのですが、他の人種との子どもは?」


「見た目通り望めません。体は機械ですし。それに我々はすでに生殖機能を失っております」


「えーっと、あまり見たことがないのですが……すると人口とかは?」


「自分らはほぼ滅びてますので」


「……古代人の一種なのでは?」


「滅びかけてるから古代人というのです」


「一部隊に二人いるのに?」


「私も同じ部隊に同じ人種がいたのは初めてです」


 プローンより深刻なようだ。


「種の維持は?」


「我々はすでに滅びを享受しております。幸い寿命が長いため、いまだに絶滅してませんが……緩やかに世界から消えるでしょう。それに家族がいないわけじゃありません。私もクロノスの子を二人養子にしてます」


 ……お、おう。もう手遅れなのか。

 そうか、滅びを享受しながらポジティブに生きてるのか。


「なので同情は必要ありません。同情するくらいなら給料上げてください」


「あはははは。善処します」


 下士官と交流してると声が掛かる。


「ドアロック解除! 陛下、安全区域にご退避を」


 はいはい、経営者が現場に来んなと。

 いいもん!

 ということでプレハブ小屋に戻ってライブ映像を見る。

 いきなりマッチョな暗殺拳の使い手が出たらウケる。


「油圧解除……うわああああああああああ!」


 見てすぐにわかった。

 油がブシューッと漏れ出した。

 これが何度使ってたら熱くなって危ないんだけど、今回のは単に劣化した油である。

 問題はドアが中途半端に開いてしまったこと。

 ギアが噛んだかも。


「ギアは?」


「内側からじゃないと修理できません!」


 メンテナンス性よりセキュリティー重視なのね。

 先ほど文句を言った教授を見る。


「なんですかな?」


「こじ開けないと無理ですね。もしくはプラズマカッターで壁ぶち抜いてギア修理するか」


「……こじ開けてください。なるべく壊さないように」


 古代の石棺とかなら、こじ開けないで開ける方法もあるんだろうけど。

 中途半端に機械文明的なものは一度壊れると、いったん分解するしかないんだよね。

 最新式の自己修復技術の扉なら長期保存可能だろうけど、それでも動作部分は難しいよね。

 というわけで人形重機を搬入。

 よっしゃ、俺が……。座ってろ?

 ……はい。

 無になって座ってる。


「バナナでも食ってろバカ」


 イソノの野郎がバナナくれた。


「ウキ! ウキキキキキ!」


 お礼を言う。


「人語で喋れ!」


 バナナを食ってると人形重機がやって来て扉をこじ開ける。

 びたーん!

 思ったより絵面が強引だった。

 スペースレイダースが突入。

 伝説の暗殺拳のマッチョが襲ってくる……ということもなく資料庫についた。


「陛下。書類が保存されてますが片っ端から劣化してます」


 すると教授が俺につめ寄る。


「私も行かせろおおおおおおおお! 軍が資料を破損する前に入らせろおおおおおおおお!」


「わーったから! ベルガーさん準備はどうですか?」


「準備できました」


「一人追加でお願いします!」


 もうね、研究者怖い!

 研究者が入った。

 もうね、目が血走りまくり。

 あたい怖いわ!

 まずは資料の保存。

 何時間かかるんすか?

 あ、年単位。はい。

 じゃあ奥見て。

 ここからはドローンが活躍。

 ドローンで奥を探索して危険がないか確認する。

 音波や赤外線で生命反応がないか確認しながら進む。

 北斗七星は死を表す神の象徴。

 死が悪神かと問われるとそうでもない。

 死と再生は表裏一体。

 壊して作って世界はグルグル回る。

 まるで経済学だね!

 そういう意味では、ここは死の神殿とも言える。


「生命反応あり!」


「勘弁してくれよ」


 死の神殿の奥に生命反応。

 どうか敵対的な生物じゃありませんように。

 って祈ってたわけよ。

 するといきなりカメラが吹っ飛んだ。


「ドローン破壊されました! 敵性生物と判断。スペースレイダース突入します」


 やだー!

 いきなりクライマックス!

 問答無用で戦闘かよ!

 すぐにスペースレイダースとドローンの複数画面に切り替わる。


「自爆ドローン発射!」


 外じゃないからスピードが遅いヘリ型ドローンだ。

 外なら飛行機型でミサイルみたいに攻撃できたんだけどな。


「射撃ドローン発進!」


 こっちは銃のドローン。

 戦車型とヘリ型。


「追尾マインを投げろ」


 今度は最新兵器。

 次期主力手榴弾である。

 自動追尾してくれる爆弾だ。

 昔からあるんだけど、ゾーク戦争時のは微妙に追尾性能が悪く、同士討ちも発生する微妙なものだった。

 ハッキングされて自分に迫ってくるなんて笑えない話もあったし。

 それがケビンの操作を学習することで飛躍的に精度が上昇。

 ゾークの外皮も貫通可能。

 これもゾーク戦争による技術発展である。

 ラブ&ピースってわけにはいかないのよ。


「着弾!」


 爆発起きたんだと思う。

 だけどもうね、ビリビリとした存在を感じていた。

 無力化できてねえわ。

 いきなりぶ厚い壁が壊れた。

 おいおい……。

 大きさは熊のビースト種の全裸山くらい。

 スペースレイダースが片手で持ち上げられてる。

 鎧を来た人の形をした生き物だった。

 もしくはロボット。

 鎧には北斗七星の絵が描かれてる。

 片手で画面に向かって手招きする。

 ヨシ。


「行ってきま~す」


「待て、落ち着けバカ」


「ありゃ俺を呼んでる」


「なんだその妄想!」


 いやなんとなく。

 でもそうだろうな。

 それしかないわー。

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― 新着の感想 ―
自分のとこの王様に暴言吐いてでも研究優先する大学教授いいね
同情するなら…金をくれ! 遺伝子解析しても子孫を増やせないレベルなら自然絶滅はしかたないよね。 クロノスの技術だと精神(魂)保全は可能だから、クローン再生はできるのだけどね。
体に北斗七星が刻まれているから暗殺拳の継承者だな!
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