第八百四十四話
カレンさんも市販薬だって!
普通に市販されてる薬!
カフェインより強いやつ!
そもそもカフェイン弱くて売ってないみたい!
そもそもレプシトールは処方薬も普通のドラッグストアで買えるんだって!
麻薬ってほど強くないんだけど、たまに異常が出るらしい。
とりあえずカレンさんは銀河帝国が誇る、人でなし装置で薬を抜く。
透析装置ね。
レプシトール人も対応。
心臓に負担かからないように半日かけて血を浄化。
肝臓やら脳に残った薬はナノマシンで排出する。
レプシトール人は基本的に薬漬けなため脳神経に異常が出てることが多いそうで……。
薬漬けって言っても違法ドラッグじゃなくて、クロノスだとアウトなんだけどレプシトールならドラッグストアでも売ってる薬ね。
レプシトールでは医療とは目の前の症状を解決するのが目的であって、寿命への影響など考慮に値しないのである。
文化の違いって恐ろしいわ……。
今回はクロノスの法律違反かというと難しい。
そもそも今回の薬、クロノスで扱ってないのよ。
どうもクロノスでは未知の薬品なんだってさ……。
本当に評判悪い薬は取り締まってるんだけど、この薬は新製品で未チェックだったらしい。
だからさー!
なんでレプシトールって二歩も三歩も技術で先行ってるのに運用が残念なのよ!
そんなカレンさんは厳重注意……する前に入院になった。
正直言っていつ退院できるか誰もわからない。
いや症状はすぐよくなったんだけど、しばらく教育入院ね!
変なお薬は使わない!
レプシトール人は骨格が華奢でそんなに強い体じゃないんだからさ!
現在カレンさんはレプシトール忍者隊が厳重に見守ってる。
……というか……忍者隊、お前らも交代で入院な!
ということで薬の乱用問題が降りかかった。
レプシトールは論外だけどな!
もうね、クロノス王の権力使ってやる!
法律を作って一気に厳しく取り締まるしかない。
ハードランディングするしかねえよ! アホが!
もうね、銀河帝国くらい厳しくした。
クロノスよりもかなり厳しい。
これに喜んだのはラターニアである。
もう少ししたら「レプシトールの薬が入ってきて困ってるんですけど~」って言ってくるところだったようだ。
そういうのはさっさと言って!
サクッと言って!
こっちは知らないんだから!
「へ、陛下が来たぞ!」
ドアを蹴破ってレプシトール企業合同軍の基地に殴り込む。
レプシトールは国軍もあるんだけど、陸軍は企業が合同で出資した軍が守ってるんだって。
面倒なので国軍にする予定だ。
もうさすがにレプシトールのやりたい放題は許さん。
俺にも我慢の限界があるのだ。
逆らう兵をクロノス軍で片っ端からボコボコにして、物資倉庫へ乗り込む。
やはりあった。人でなし薬品の数々。
思考力奪って死にかけても戦えるようにするやつとか多数。
「よしお前ら、全員検査入院な」
「そんな! 銀河帝国とクロノスは我らのテクノロジーを奪うつもりだな!」
企業群の基地責任者、役職は店長ね……。
店長が俺にキレ散らかす。
俺はそれに怒鳴り散らす。
もうね、レプシトール人の扱いはなれた。
あいつら頭いいのよ。
だから店長レベルでも詭弁をわめき散らしてごまかそうとする。
だからこっちはヤクザみたいに怒鳴り散らかす。
「いらんわこんな技術! てめえらが乱用してるとこっちにまで被害出るんだよ! ドアホ!」
はい逮捕。
と言っても刑事じゃなくて、強制入院の保護措置ね。
クロノスで市販薬すべて把握するまで年単位でかかるだろう。
もうやだ……優秀極まりないのにモラルがカスすぎる……この一周回ってアホの集団……。
汚職は当たり前、設計無視して差額を懐に入れる、薬は好き放題作る。
昔ながらの危ない薬まで普通に売ってるんだもん!
本当にバカなのかな!
それさえなければとっくに覇権国家なのに!
ラターニアと銀河を二分してただろうに!
「全員逮捕して病院突っ込め!」
「は!」
なおこの強制措置であるが、なぜかレプシトール市民は大歓迎してる。
「もうそろそろ限界だよね」ってみんな思ってたようだ。
というか普通の市民からしたらドラッグストアの商品が安全になるだけでも大喜びのようだ。
「クロノス王万歳!」
「クロノス王! 一生ついて行きます!」
「もうクロノスに併合されたい!」
最後!
嫌でゴザル!
俺の身が持たない。
ストレスで死ぬ。
処方箋制度を導入と。
……なぜ自分たちでできない!
作戦後、ドラッグストアの社長たちも呼び出して制度を押しつける。
各社のオーナーはこれに大歓迎。
反対意見ないのぉ?
「その……そろそろ限界かなと我々も思ってまして……」
「誰かがやってくれたら弊社も従おうかなと」
「そうそう! 責任取りたくなかっただけなんですよ! はっはっは!」
こいつら殴っていいかな?
一列に正座させて端から殴っていきたい!
俺の胃は着実にダメージを蓄積していったのである。
これでレプシトールは解決。
一方、嫁ちゃんはたいへんだった。
会合に次ぐ会合。
こっちはある程度使用に正当性がある。
論理的に必要性を唱えられる。
俺も会議に参加してるが、まだ話が通じる。
話が通じるだけ。
意見は通らない。
こっちは専門家が必要性を訴えるのだ。
今回は軍の医トップのさらに上、厚生省の文官が納得しない。
先ほどから痛み止めに必要性を訴えられる。
「だけどさー、除隊後の生活が破綻する例が多すぎんのよ」
俺も一兵士として反論。
「それでも戦闘の継続に痛み止めは必要です」
「わかるんだけどさー、そのもうちょっとアルコールを少なくするとかさ……」
「酒も飲まずにやっていけるとでも」
「俺はナノマシンだけで乗りこえたけど」
「特将閣下が特別なだけです」
そう言われたら反論は難しい。
だって俺は妖精さんによって五百年前のスーパーソルジャー作る薬を投与されたのは事実だ。
あとで検証したらとっくに禁止されてるやつだった。
薬に適応できずに死亡する確率が無視できない数字だそうで!
妖精さん、あいつ!
本当にあいつ!
オドレなにしてくれたんじゃ!
そのせいで痛み無視して戦うバーサーカーになれたんだろうけど。
「でもさー、除隊後も生活を維持してくれないと治安悪化の原因になるわけじゃん。実際、海賊行為の件数増えてるし」
「勝たねばそれすらも言ってられません!」
そうなんだよねえ。
本当にそれなんだよねえ。
勝ったから言える話なんだよね……。
嫁ちゃんも黙ってる。
だって文官も正しいもの。
カワゴンの胃にダメージ。
「ふむ、除隊後のケアや教育を充実してやれ。予算は用意する」
「その案に異論はございません」
「嫁ちゃん……俺ストレスでハゲそう……」
「妾もじゃ……」
難しいよ~。
俺は悩むのだった。




