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第八百三話

 作業船が落ちてくる。

 かなり大きなやつ。

 おそらく作業員を運ぶ輸送船もかねてるやつ。

 なんで俺が余裕かというと我が近衛隊は優秀。

 俺は危険じゃないわけよ。

 ちゃんと戦闘服着てればね。

 人型戦闘機で哨戒してた隊員が作業船を止める。

 すぐに俺のために待機してた医療チームが総合病院に連絡。

 俺はというとシャーロットたちローザリア軍の救助チームに紛れ込む。


「作業船の搬入口は?」


「内部からじゃないと開きません! 扉が歪んでるので切断して侵入します!」


 プラズマカッターを持ち出す。

 あれじゃ一時間以上かかかる。

 間に合わないだろう。

 かといって人型戦闘機じゃ大きすぎて細かい作業はできない。

 人型重機は……ないか。


「俺がやるわ」


 刀を持って俺は船外に出る。

 搬入口に着地。

 よかった。足場あって。

 いつもの体重を使っての運動エネルギーは別のやり方にしないと。

 筋力とスピードでどうにかしてみるか。

 居合。……って言いたいところだけど、そんなに得意じゃない。

 こういう精密な技術って苦手なのよ。

 でもこれが一番初撃のスピード稼げるんだからしかたない。

 集中……って、これが隙だらけで嫌いなのか。

 普段からコンビネーションに入れてれば考えないでもできるもんね。

 そうか。居合コンビネーションやればいいのか。

 と無駄なことを考えてから脳を真っ白にして……俺は考えた方がダメになるタイプね。

 剣を滑らせながら鞘から抜き斜め下から扉を斬る。

 バターみたいに柔らかかった。

 さらに両手で握って振り下ろし。

 刀を返して振り上げ。

 横薙ぎ。

 斬撃を次々繰り出していく。


「見えない……」


 シャーロットがつぶやいた。

 いや見えるのよね。カトリ先生レベルだと。

 見てから避けてるわけじゃないだろうけど。

 急所狙ってくるのがわかってるから軌道は決まってる。

 だからあとは殺気から予想しながらさばかれる。

 ヘタすると途中で巻き上げられる。

 ひどい話である。

 愚痴が頭をよぎったところでコンビネーション終了。

 バター斬ってるみたいな手応え。いけたな。

 扉がバラバラになった。

 ふう……これ練習しないといけないな。

 具体的にはコンビネーション最中に考えずに任意のタイミングでフェイント入れられるレベルにしないと。


「ば……バケモノすぎる……」


 シャーロットひどい!

 そもそもだ。

 俺は刀の邪魔してないだけ。

 ほぼ刀の性能だっての。

 すごいぞこれ。

 ゾーク加工された最強の逸品である。

 試作品だが刀の邪魔さえしなければ外壁もこの通り。

 さーて中に侵入。

 おっと搬入口に作業員が何人もいた。

 入り口に館内放送用の装置がある。


「搬入口から脱出できる! 全員避難せよ!」


 呼びかけると作業員が走ってやって来る。

 ケガした作業員を複数人で運ぶもの。

 足を引きずりながらやってくるもの。

 シャーロットたちが入ってきて運び出していく。


「すまぬレオ王。助かった! この礼は必ず!」


「いいって。仲間は助け合うもんさ~」


 できる範囲でね。

 救助はできる。

 ゾーク加工の外壁提供はリソース不足でできない。

 そのくらいの距離感ではある。

 銀河帝国もクロノスも義理人情を大切にしてるつもりだ。

 約束は守るし、できる範囲で助ける。

 あんばいが難しいよねって話ね。

 怪我人はクロノスの輸送船でケビンが勤める大学附属病院へ急行。

 輸送機の発着場あるから便利なのである。

 救急に搬送。

 俺たちはここで別れる。

 搬送時の書類は医療チームの人にお願いする。

 幸いケガだけですんだようだ。

 ジェスターの群れがいるとこういうとき安心だよね。

 俺はさらに救助……と思ったら近衛隊に宮殿に運ばれる。

 宮殿付きの医師の検査を受ける。

 なにもなし。

 ケガするような場面なかったもの。

 さーて、外壁を斬った居合を忘れないうちに道場へ。

 居合用の刃引きの剣でコンビネーションを練習。

 最初の納刀からの集中がいらんな。

 ここを省略できれば、格ゲーみたいにいきなり納刀からの居合ができるはずだ。

 コンビネーションにも取り込める。

 少年漫画のバトルシーンに出てくる居合はかっこいいこと言って集中する時間を稼ぐテクニックと見た。

 恐ろしい駆け引きである。


「なにやってんだ?」


 カトリ先生が入ってきた。


「居合を格ゲーみたいにコンビネーションに取り入れられないかなあと」


「お前……脳味噌までゲームに蝕まれてないか?」


「いやほら集中するとこを省略して、納刀素早くすればいけるんじゃねと」


「そもそも全体がパフォーマンスだろが! わざわざ納刀してどうすんだよ!」


 それもそうである。

 まったくもってカトリ先生が正しい。

 でも反論。一応反論。

 今日は面白いことできたんだもん!


「いや宇宙空間で居合で搬入口の扉斬るのに成功したんで」


「いきなり面白そうな話しやがったな。なるほど……使い方としては正しいのか」


「人型戦闘機の戦闘でも使えるんじゃないかなって」


 するとカトリ先生が俺の両肩をつかんだ。

 最高に邪悪な笑顔を浮かべながら。


「お前~。なんでそんな面白そうな話するんだよ~! やだな~!」


 今度は肩をバンバン叩かれる。


「あははははは! 面白そうでしょ!」


 近衛隊の連中が頭を抱えてる。

 この武術的に高度でありながら頭悪そうな会話について行けなくなったようである。

 そもそも足場がなければ戦闘服のスラスターで加速して斬ろうと思ってたし。

 ただしスカると扉に激突する諸刃の剣!

 それなら居合の方が安全だよね!


「はっはっはっは! ……今から実験するぞ」


「ですよねー」


 ということでまずは道場で実験。


「そもそもどうやったんだ?」


「まずはあまり練習してないんで集中……というか脳を真っ白にして刀の邪魔にならないように斬る。抜いてからはコンビネーションで……」


 と言いながら一気に抜いてコンビネーション。

 一呼吸ですべてを終える。


「ふう……」


「できてんじゃねえか」


「考えないとできないんで根本的に練習量が足りないって話ッス」


「あ~そういうことか。難しい技術は省略したいもんな」


「そういうことですね」


 そもそも居合難しすぎんのよ。

 上を目指すと高度な身体操作が必要だし。

 それを考えずにできるレベルっていうとスキルセットが居合で占められちゃう。

 今だったらやる余裕あるけど、ゾーク戦争時やこちらに来た当初じゃ無理だった。


「よし、カミシロ流を一緒に作ろうか」


 あ、悪い顔してる。

 絶対なにか企んでるなおっさん。

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― 新着の感想 ―
カミシロ王家の人間にしか伝授されない(そもそもそれ以外使えない)流派の誕生w
表がカミシロ流で、皆伝したら今度はカワゴン流が裏として待ってると
ジョニーー!!!
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