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第八百一話

 きなこの背にレンの子どもたちが乗ってる。

 レンの子どもたちは小さい。

 でももう動ける。

 ある程度の知能と運動性能を優先して確保するためらしい。

 動けるようになったら、今までの反動でゆっくり大きくなっていく。

 そしたら第二次性徴で急成長し帳尻合わせする。

 小学校のクラスで一番背が小さいのはビースト種だが、高校卒業頃には普通から大きい方になってくる。

 生命って神秘だわ。

 だが冷静に考えると大昔の科学者がテクノロジーでいじり倒した結果である。

 ……生命への冒涜だわ。

 それでも体を改造して開拓に成功したという実績があるので、悪役扱いするわけにもいかない。

 カトリ先生も開拓民の子孫だし。

 俺らジェスターもかつては改造人間の仲間だったはずなんだけど、今では自然発生の変種と判明。

 ゼン神族という天敵に対抗するための進化のようである。


「ぱぱ」


「はいはい、天音ちゃん。パパですよ」


 六つ子のリーダー、天音ちゃんが俺を見てニコニコする。

 猫耳の女の子だ。

 もうある程度のコミュニケーションは取れるようになった。


「ぱぱ!」


「はーい天音ちゃん」


「きゃー!」


 別の子たちも「きゃー!」と喜ぶ。

 コミュニケーションは取れてるが、意思疎通できるわけではないようである。

 ごめん……意味はよくわからない。

 というか世のパパさん……どうしてるん?

 俺が悩んでると誰かがやって来た。

 天音ちゃんの耳がピコッと上がる。


「ママ!」


 レンが来た。


「あら、パパに遊んでもらってたの?」


「キャー!」


 俺の時よりもテンションが高い。

 うん母親強いな。

 あと遊んでくれてたのきなこだと思うの。


「はいお昼寝の時間ですよ。きなちゃん、みんな連れてきて」


「キャー!」


「にゃーん!」


 こうして子どもたちが運ばれて行く。

 巨大猫のきなこはすでに廊下ギリギリのサイズだ。

 だけど家具を倒したりなんかしない。

 するりするりと避けていく。

 うちの子すごい!

 子どもたちは一日のほとんどを寝て過ごす。

 睡眠時間を多く取って成長するようだ。

 ま、そんなもんよね。

 さてうちの子たちであるが、一見すると扱いにくそうに見える。

 だけど夜泣きしないんだよね。

 というかほとんど泣かないんだよね。

 おしめ交換も泣かないで教えてくれるだけだし。

 なので徹夜仕事にならず負担が少ない。

 なんでだろうね?

 うちのババアにでも聞くか。


「レオ、お前は赤ちゃんのときから泣きませんでした」


 もはやクロノス王の威厳はない。

「母ちゃん」がいた。


「ほう、扱いやすかったのでは?」


「いいえ、動けるようになったら暴走に脱走にと問題行動を繰り返しました。なので子育てロボットに一任しました」


「ほう……英断ですね」


 今ならわかる。

 虐待ではない。

 ババアには扱えなくなったのだ。

 だって……うちの子……ハイハイでドリフト走行するし、トウモロコシに異常な執着をしてるもん。

 レンの子たちだって猫と追いかけっこ……というか猫に狩りを教わっているのだと思う。

 俺でもちゃんと育てられるか自信ないのに……。

 血の繋がらないおかんには無理だよね。

 心の底で少し恨んでたけど、今なら気持ちはわかる。

 うちの経済状態的に教育係を雇うのは難しい。

 侯爵家の家格相当の教育係の給料高いもん。

 でも……教育係あてがわれたはずの公爵会の連中ってみんな品性がなかったな。

 山猿の俺の方がまだマシなレベルだぞ。

 やはり……教育ロボット最強なのか?

 少し悩む。

 考えてもわからんな。やめとこ。

 モヤモヤしながら執務室に戻る。

 すると嫁ちゃんがいた。


「おう、待ってたぞ」


 永遠がいない。

 仕事の話だな。


「どうしたん? 遺跡の調査の結果出た?」


「そっちはまだじゃ。足場組むだけでまだかかる予定じゃ」


 そりゃそうだわな。

 リソースが足りない。

 ローザリアとの中継用の宇宙港とコロニーをいくつも建設中だし。

 戦争での経済の落ち込みとか「その設定知らないです~♪」って感じで人手不足だもんね。

 工場とかも全力稼働中。

 かと言って宇宙港建設後の需要落ち込みが予想できる。

 工場新設は少し落ちついた。

 あとは工場作って、廃止しても負債にならない程度の利益予想ができればいいんだけどね。

 工場はどうしても環境系の反対派がわくからね。

 彼らを黙らせるために金を落として……うーん、これが一番経済に悪いのかな?

 変な民間団体に金落とすのは地下経済へ金出してるのとほぼ同じなんだよね。

 クロノスの技術なら公害問題ないだろうし。

「電気代高くなるだろがボケ!」は正当な意見として。

 問題は経済団体や学術団体にもタックスイーターが出現してきたことだろう。

『間違った方向に経済政策誘導して自分の懐に利益を転がり込ませる』とか『税金で研究するけど社会を間違った方向に誘導しようとして自分の懐に……』とかの連中ね。

 産学協同なのに論文しか書いてなくて数年前から商売止まってるの連中の多いこと!

 クロノスの前政権がアホだった……というか民主主義は腐敗とは切り離せないのか。

 誰も責任取らないから。

 やっぱり最終的に首をはねられる君主制の方がマシなのか?

 でも君主制だと王がアホだと全滅するわけで。

 立憲君主制ですら王がアホで滅びる運命なわけで。

 かといって将軍綱吉みたいにアホの子だろ思われてたけど、ただの改革派で幕府の延命に成功した例もあるし……。

 でも新技術開発を許可制にしたせいで周辺国から技術が遅れたのとヤバい思想集団が出て最終的にコケたんだよな。

 かといって定期的に革命起こすと国が疲弊するし。

 だから新陳代謝で言えば国が時間経過で意図的に革命を起こす民主主義が強くて……。

 でも今度は国民がアホだと詐欺師が横行して国が滅びるわけで……。

 よし、わけわからなくなったぞ!

 とりあえず『自己犠牲をいとわない』を美学として推進しよう。

 国の偉い人も腹を切る。

 あれ……?

 理想ってレプシトールなのか?

 いやでもあいつら……モラルがなさすぎて経済破綻したんだよな……。

 ふえぇ……政治経済難しいよぉ!


「完璧な政治体制くだちゃい!」


「なんの妄想じゃ! いまのところ経済は回っておる!」


「それじゃ、どうしたの? なにかあったん?」


「ローザリアとの通信じゃ。現状では呼びかけても反応がない」


「遠いからね」


 まだ無理じゃない?


「だがのー、通信用の衛星くらい用意してると思うのじゃ」


 なんか雲行きがあやしくなったぞ。


「えーっともしかして……」


「ローザリアは本当に滅んでるかもしれぬ」


 うわああああああああ!

 知ってたけど……とうとうヤバい話になってきた!


「シャーロットを気にかけてやれ。頼むぞ。じゃーのー」


 嫁ちゃんはそう言って出て行った。

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― 新着の感想 ―
なるほど、子育て集団がいるわけじゃ無いから24時間体制でカワゴンの養育をしないと行けなかったから無理だと判断されたわけか…確かにこんな子供達を四六時中油断無く相手しろって一人や二人では務まるわけはない…
嫁ちゃんシャーロット引き込む気満々やな てかジェスター×ジェスターってかなりヤバいのが生まれたりしないのか? 伝説のスーパーカワゴンとか
まさかのロボ育成が正解だった件
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