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第七百九十八話

 バイクを没収された。すでに何回目かわからない。

 ちゃんと軍のものになってるのに!

 今回は折りたたみ式。

 歩兵の携行品を目指して開発中のものだ。

 戦闘用ではなく移動用で安定性重視のもの。

 最高速度よりもオフロード性能が高い。

 悪路でも走行可能なやつだ。

 それで例の刃引きの刀を持って女性型ゾークの反政府組織をボコボコにしてやった。

 そしたらなぜか怒られた。

 理不尽すぎる!

 例の女性型ゾークの剣豪であるが宗春(むねはる)さんという名前らしい。

 末堂伯爵家。滅亡した惑星。

 帝都星から近い地方都市惑星で主にベッドタウンになっていた。

 主な産業というほどのものはない。

 帝都で引退した老人が暮らす介護施設が多い……。

 帝都の大学の系列医院が多数存在していた。

 実質これが主な産業か。

 軍閥のため海賊の被害はない。

 それがまずかった。

 メリッサのところと同じように真っ先にゾークに狙われてしまったのだ。

 メリッサのところはゴリゴリの軍人が多数在籍。

 足手まといはいない。

 それでも全滅一歩手前の惨状だった。

 メリッサはあの性格だ。

 ゾークのへの恨みは深いだろうが……それでも女性型ゾークが被害者であることを理解してくれてる。

 感謝しかない。

 末堂伯爵領は老人たちを守りながらの防衛戦を強いられた。

 その結果が全滅だ。

 誰も守れず誉れを失った。

 マゼラン、オーゼン、パーシオン人の気持ちが一番わかるのは宗春さんかもしれない。

 さて、シバき回した反政府団体の連中は収容してる。

 五人部屋だけどしかたないよね~。

 数多いもん。

 近衛隊を連れて軍の収容所に行く。


「ハルハル! 王様が来たぞ!」


 ポニーテールの女性型ゾークが声を上げる。


「ハルハルはやめろって言ってるだろ!」


 宗春さんはそう言われるとあわてる。

 なるほどハルちゃんか。

 包帯だらけだ。

 あれだけやっても死なないのだから……ゾークってやはり強いよな……。

 ケビンとか本気出せば男子より強いもんな。


「ハルちゃん&お前ら。今日からパーシオン勤務な」


「話が飛んで理解できないのですが。あとハルちゃんはやめろ」


「じゃあハルハル。パーシオン軍は現在絶賛崩壊中。あいつらの気持ちをわかってやれるのは……たぶんあんたらだけ。パーシオン軍を立て直してもらえるか?」


「ていのいい追放ですかな?」


 ハルハルが俺を見据える。

 だから言ってやる。


「そう思ってもらっても構わない。俺は言い訳しない。俺ができるのは責任を取ることだけだ」


 ハルハルが俺をじっと見続けてた。


「ふ……、伯爵閣下があんたほどの男なら負けなかったでしょうな。いいでしょう。俺は行きましょう」


 ポニーテールがあわてる。


「お、おいハルハル! あんたらなんでわかり合ってんだよ! もうちょっと説明しろよ!」


 ハルハルは「ふっ」と笑う。


「この旦那がクロノス王、レオ・カミシロ・クロノスだからだ。一国の王が命令するんだから責任は取ってくれるってことだ。何を言われてもかまわない。それがクロノス王ってことだ。陛下、クロノス王の直臣ってことですよね?」


「おう。給料は期待して。うちは貴族不足なんだわ。下士官も不足してるからアテがあったら頼みますわ」


「たまに挑んでも?」


「疲れてるときじゃないならいいよ。あと挑戦者多いから順番ね」


「剣聖カトリもいるとか? 他にも強者がいるんでしょうな?」


「エッジと嫁のアリッサにニンジャのハットリさんにサリアに鬼神国前大王にイソノと中島のバカコンビに西条くんにメリッサに……あー、レンは子育て中だから喧嘩売ったら本当に殺されるからやめてね。あとヘルガさんも強いぞ」


「なんだその地獄!」


 ポニーテールが叫んだ。

 ほんとそれなー。


「それらの強者が口をそろえて最強って言ってるのがレオ陛下だぞ」


 ハルハルナイスツッコミ!


「じ、地獄大帝……」


 ポニーテールがガクガク震える。


「帝王じゃなくて国王な~」


「クソ……ハルハルだけ行かせたら騎士の恥。このソーン・バーク。ハルハルと行くぜ」


 ソーン・バーク……あれ?

 なんか聞いたことある名前だぞ。


「そもそも拒否権ないけどな~。えーっと帝国剣術の有名人?」


 俺がそう言うとソーンが女性型ゾーク特有のでかい胸を叩く。


「おう、全国競技会三位。せっかく女になったし、ブリアナって呼んでくれ」


 三位……あー!

 そうだ。

 エディの持ってた剣術雑誌に出てた人だ!

 カトリ先生とかは別枠として。

 競技の選手だった人だ!

 ……その……ポリゴンみたいに四角かったのに……あまりにも小さく可憐になってしまって……


「ソーン……前から言おうと思ってたが……お前……ブリアナって顔じゃない」


 ハルハルが冷静にツッコんだ。

 まー……小さくてかわいい系だもんな。

 そのガタイのいいモデルみたいな名前じゃ似合わないな。


「な、なんだってー! か、かわいいだろが!」


「俺がハルハルならお前はブリブリだろう」


「ブリブリはやめろ!」


 ということで強制的に女性型ゾークを仕官させた。

 嫌とは言わせない。拒否権はない。

 すでに仕官してる女性型ゾークと同じように心機一転、人生を楽しんでもらいたい。

 アイドルになるとか、子ども育てるとか。

 さーて、俺たちはクロノスに帰る。

 嫁ちゃんもクロノスに帰還する。

 銀河帝国のお仕事を持ち帰ってね。

 さーて、次はクレアとレンな~。

 なんか今までやってきたことの総決算みたいになってきたな……。

 だいたいさー、軍人なんだから軍事だけやらせて欲しいのよ。

 その征服王的な意味じゃなくて、採用枠が軍人でしょって話。

 それが王様って意味がわからない。

 俺は大きくため息をつく。


「もう……レオニダスくんに押しつけるしか……」


 容赦なく実質マイブラザーをあてにする。

 そもそもだ。

 俺に内政押しつけようというのが間違っているのだ。

 俺だぞ!

 貧乏侯爵の三男坊だぞ!

 あれ……?

 上様属性が生えてきたぞ。

 おかしい。こんなはずじゃ……。

 もうどうにでもなれ。

 ゼン神族ぶっ殺してやらあ。

 お前なんて怖くねえぞ!

 どこかの悪役みたいに逆ギレしながら俺はサンバを踊るのだった。

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― 新着の感想 ―
あぁ恋せよアミーゴ 踊ろうセニョリータ 戦さえ忘れて 踊り明かそう
ゼン神族って、どんなふうにキャンと言わされるんだろうね。
こいよ!ゼン親族!銃なんて捨ててかかってこい!
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