第七百九十一話
消費期限に追われながら料理を作りまくる。
はっはっは!
ハラヘリ状態じゃなければ我は無敵!
フライヤーでポテトフライを大量に揚げて……。
「戦勝おめでとう会開催!」
「屍食鬼! たおしたどー!」
イソノが両手にビールジョッキを持って立ち上がった。
みんなで「うぇーい!」と喜ぶ。
これでおそらく屍食鬼のメインランドを潰せたはずだ。
もう悩まなくていい!
あんなアホみたいな生物との死闘が終わったのだ。
まだゼン神族はいるだろうけど、距離的に遠い。
ローザリアに行って要塞作りまくって膠着状態を作り出してやる!
はっはっは!
悩め! 疲弊しろ!
奥歯にできた虫歯のように国を少しずつ蝕んでやる!
戦いなんて俺の代で終わらす必要はない。
ゼン神族への嫌がらせを国家事業化して利権まみれにしてやる。
ドローンで自動化して殉職者も最小限に。
ゼン神族くんは終わらない戦いにどこまで耐えられるかな!
その間にもローザリアの診断でジェスターは増え続ける。
ゾークもビースト種の優秀な兵も増え続ける。
さあ古代の亡霊よ! ゲームをしようじゃないか!
終わらない戦いと利益のない勝利、踏みにじられる超越者の自信。
首脳部はどこまで耐えられるかな?
俺たちみたいなタイプの生命体とは限らないけどね。
ということで今は祝う。
イソノとハナコさんが朱華ちゃんを連れてきた。
「ぎゃわッ!」
メリッサとリコちが叫んだ。
メリッサは子ども欲しいガチ勢。
リコちは子どもは欲しいんだけど今は無理派。
それでも子どもは好きなようだ。
ま、そんな感じか。
メリッサはアークちゃんと永遠ちゃんを見て「ぎゃわッ!」と喜んでた。
もちろんベビーカーに乗せられたレンの六つ子も見て悲鳴を上げる。
ヘタな柵だと乗りこえるのですぐに乳母さん軍団に子どもたちを渡す。
さすが我が子! 自由を求めて脱走するぜ……。
そこにとうとう真打ち登場。
現われたのは西条くんのお姉さん。
乳母軍団の名目上のトップはうちのおかん。
実務トップは西条くんのお姉さんである。
アマダんとこは別の人に引き継いだようだ。
西条くんのお姉さんは和風美女。
シスコン気味の西条くんに「手を出したら殺しますので」とささやかれた。
「俺をなんだと思ってるのかな?」
「ハーレムキングですが」
間違ってないが実情とかけ離れすぎてる。
「西条くん、君もわかってるだろ? たしかに俺は女癖悪いけど、半分は嫁ちゃんの陰謀だからね……」
「その陰謀の矛先が姉に来たら殺しますので」
西条くん……大正浪漫風メイド服で凄むのやめて。
美人の凄味は本当に怖いから!
「それ嫁ちゃんに言って!」
「我が家は皇帝陛下の忠臣です。ですがクロノスの家臣ではない!」
「あー! そういうこと言うんだ! 俺ならなに言ってもいいと思ってるんだ!」
「そうに決まってんでしょ! この怪獣カワゴン!」
「ひどすぎる!」
ということで我が輩に王の威厳はない。
我が輩の器はヤキソバ屋台の大将が限界だと思う。
いや……王なんかより九割潰れる飲食店の大将の方が上位存在!
キッチンカー戦国時代を生きぬく方が屍食鬼を倒すよりも難しいはずだ。
ということでヤキソバ!
今日はヤキソバ入りのお好み焼きにしようっと。
俺が食いたいんだよ!
念願の焼き鳥も作る……ニーナさんが。
焼き鳥それは……無限の宇宙……。
すでに肉は串打ち済み!
国王引退したらテイクアウト専門の焼き鳥屋でもやろうかな。
レプシトール相撲会場の地下に焼き鳥工場と作って……いかん!
規模が大きくなりすぎて引退後の話じゃなくなった!
シャーロットも打ち上げに参加。
女性型ゾークの皆さんと楽しそうに話してる。
名前でもめる焼きそば入りお好み焼きと焼き鳥盛り合わせを配膳ロボットに乗せてレッツゴー。
今回はロボットの支援と西条くんや他の連中も配膳してくれるのでサクサクタスクが終わる。
「お料理お持ちしましたワン!」
犬型ロボットである。
かわいいのー。
みんなビールやらお酒様を飲んでる。
リコちも日本酒。
嫁ちゃんにクレアにレンは妊娠中飲めなかったせいかさすがに飲んでる。
俺は料理終わったら発泡酒かな。
なんかビールそんなに好きじゃないのよね。
嫌いでもないけど。
レプシトールの戦士たちも招待した。
今回の敢闘賞である。
ワンオーワンやタチアナにシーユンもいるが大人しい。
シーユンはやらかした自覚があるのだろう。
ただ止められたかと問われれば……正直難しかったと思う。
シーユンは国民に敵討ちを約束した。
敵討ちは国民の総意だ。
鬼神国みたいに敵討ちが美徳ってわけじゃないけど、それでも国民感情的をどうにかすることは難しい。
シーユン本人も復讐鬼状態ではある。
太極国は友好国であって属国じゃない。
今回の暴走に関して抗議をする気もない。
だって俺はその可能性を見逃してたから。
間抜けだったのは俺ってわけ。
肝心なところで人の心を見逃してる。
神様……どうやったらサイコーの軍師になれますか?
「あ、座敷童ちゃんの分ね」
「アリガトー」
座敷童ちゃんに料理をプレゼント。
えっとなんだっけ?
急に前後の記憶が飛んだぞ。
サイコーの料理人だっけ。
半分望みは叶ってるような気がする。
別に高級店作りたいわけじゃないし。
「手術終わった~。おなかすいた~」
お疲れのケビン先生にも料理を支給。
うん、もうなんでもいいや。
すると微笑みながらメリッサがやって来る。
「どうしたん?」
「赤ちゃん欲しい」
「直球ですね」
「子作りしてないわけではないので、そのうちできるのでは?」
検査で異常が出たわけじゃないし。
健康で若いからそのうちできるでしょ。
「隊長って目を離すと日常生活で死にかけるから……」
「ごめんね!」
心配かけてた!
そして同じ立場のレオニダスくんもウタ義姉ちゃんに世話されてるのが見える。
館花家ってわりと過保護みたい。
俺たちの日常はこうして続く。
次は探索パートだよね。
メインランドと思われる惑星はラターニア軍が占領してる。
岩石と砂漠の惑星だ。
大気は薄く、生活には適さない。
過去の住民のものと思われるドーム上の建築物の存在が確認された。
採掘場の跡地かな?
地下になにかあるのではってラターニア軍が探索中。
そのうち結果が出るだろう。
俺たちはそれまでは日常を楽しもうと思う。
レンのお肉を焼いて……俺も半分もらおうっと。




