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第七百八十四話

 恐ろしい勢いで劣勢から優勢へと状況が変化した。

 あたい……戦場をコントロールなんかしてないわ……。

 ただ流されるままに生きてただけだわ……。

 本当に歴史上の名将ってコントールしてたの?

 同盟相手や属国ってシミュレーターより思い通り動いてくれないんだが。

 とりあえず将来政治的に対立してもローザリアにだけは喧嘩売らないようにしようと思う。

 相手の攻撃を利用してムリヤリ角度調整、そこからの精密射撃。

 ……それを惑星級要塞でやりやがった。

 操船のレベルが違いすぎる。

 いや同じ大きさの化物相手だからできたんだろうけど……。

 それを成してしまうのが化物すぎるのだ。

 俺は自分の心の中にある「喧嘩売っちゃダメな人リスト」にそっとシャーロットの名前を書込んだ。

 なおピゲットとヒューマさんは入ってるが、カトリ先生は入ってない。

 わかるな。

 これが威厳、普段の行いというものだ。

 カトリ先生はリスト入りしてないのだ!

 ラターニア軍は地上部隊を投下したようだ。

 とうとう彼らは学習してしまった。

 銀河帝国宇宙海兵隊名物。バイクによる地上軍投下を。

 なんで銀河帝国軍の悪い因習を学習しちゃうの!

 さらにラターニア軍は銀河帝国から人型戦闘機を購入。

 カミシロ重工業の開発した標準機だ。

 しかも例の無理ゲーシミュレーターセットで。

 一世代前の機種ね。

 これはしかたない。

 最新型はまだ生産間に合ってないもの。

 あれほどまでに同族の血を流すことを忌避していた彼らが、とうとう血を流すことを決断した。

 それは周辺国へ驚きをもって伝えられた。

 ミサイル戦術以外も取り入れたラターニアは優秀だった。

 筋力に劣るラターニアは近接戦闘は苦手……というか経験がない。

 そのためアサルトライフルによる中距離を主力にする至極真っ当な戦術を取り入れた。

 銀河帝国がおかしいだけなのよ!

 そのため一番オーソドックスなエディの戦闘方法を研究。

 そのためミニエディの集団みたいになった。

 まだ荒削りだけど、正直言って強い。

 ゾークにだけ通じないだけだもん。

 オーソドックス大事。

 おかしいのはうちとクロノス、それと鬼神国!

 なお太極国は戦艦偏重なので評価は難しい。ランキング除外!

 で、投下作戦をしたラターニア艦隊が今度は後ろから惑星級屍食鬼へ攻撃を開始した。

 ラターニア艦隊はいつものミサイル。

 ただし手加減ゼロ。

 イナゴコロリの毒ガスミサイルも用意。

 霧状の毒が屍食鬼の皮膚に入る。

 うまいこと消化管や血管に入ると毒に変わる。

 イナゴと屍食鬼の唾液や血液はほとんど同じ成分とのことである。

 ただ「惑星級ってどこから酸素供給してるの? そもそも宇宙怪獣の外皮から毒入る?」っていう疑問などがある。

 結論は「わかんにゃい」。

 解剖しないとわからないので一応試した。

 ラターニアが期待してるのは信頼と実績のミサイルである。

 中継機能あればジャミングも試したい。

 中継機のコアがまだ余ってるし。

 電波ソングで「あ、あたまばかになっちゃうううぅッ!」って追い込んでみたい。

 そのくらいの悪意は許されるだろう。


「ラターニア軍ミサイル攻撃開始!」


「俺たちも行く!」


 さあ、攻撃だ。

 タチアナから通信が入る。


「レオの兄貴! 装填完了! ぶっ放す!」


「無理すんなよ!」


「わかってるよ!」


 そう言いながらタチアナは浮遊砲台で屍食鬼の戦艦を撃ち落としていく。

 すげえ……器用すぎる。


「こちらワンオーワン! 太極国復帰! 予定通り艦隊による総攻撃を開始する!」


 太極国も持ち直した。

 ワンオーワン配下のドローン部隊が援護する。

 ……あれ?

 やっぱりワンオーワンとケビンって強くない?

 やっぱり将来的に銀河帝国はゾークになって終了じゃね?

 銀河帝国の看板はそのままで中身だけ変わって終了。

 哀れ我らホモ・サピエンスはネアンデルタール人と同じ運命を辿るわけだ。

 な、別にいいか。

 痛いわけでも苦しいわけでもないし。

 知らんうちにビースト種やゾークに置き換わるだけ。

 戦争に勝ったのは銀河帝国だが、種としてはゾークの勝利。

 うーん、諸行無常。

 最初に女性型ゾークをデザインした存在は優秀だな。

 はっはっは!

 たとえ敗北だとしても誰も何もできない。

 ゾークと再び戦争?

 バカ言っちゃいけない。

 大義名分はない。

 なにより俺が嫌だ。

「種としての魅力で負けたから虐殺します」なんて真面目に言えるかよ。

 そのうちこっちの銀河もビースト種とゾーク……それとジェスターであふれるさー。

 なんて余計なことを考える余裕ができた。

 真面目になりすぎてはいけない。

 スポーツ気分でいいのだ。

 惑星級屍食鬼攻略作戦の作戦ポイントに到達。

 さーて、射撃射撃。

 すでにエディやエッジたちが待ってた。


「おせーぞ、レオ」


 エディはそれほど怒ってない。

 お約束だ。


「悪ぃ。本気で負けるかもってレベルのピンチだった」


「ああ、よくやった。それで。これから俺たちはどうする?」


「そりゃ最終的には惑星級屍食鬼に乗り込むことになる。中になんかいるだろ」


「だよなー!」


「あきらめろ……これもゾークに勝利した英雄の宿命」


「それまでは狙撃で嫌がらせする」


「嫌がらせかよ」


「まあな。結界効果あるけど豆鉄砲だしな」


 屍食鬼は半分ほど体がばらけていた。

 だがまだ余裕がありそうな気がする……。

 たぶん。

 俺はスナイパーライフルを構える。

 スコープが表示された。

 いやー、楽だね。

 のぞき込まなくてもいいのは。

 腰だめでも精密射撃できる。

 一応姿勢制御のために肩に銃床の末尾を肩に当ててるけどね。

 レオニダスくんの機体なら肩につけて砲手が撃てばいいだけなんだけどさー。

 やっぱ気分の問題があるよねー。


「あ、ほいさ!」


 惑星型ゾークから垂れ下がった水が入った器官に当てる。

 弱点部位かなって思うのはゲームのやりすぎか。

 水疱が破れたときに意味がわかった。

 小さな屍食鬼が宇宙空間に投げ出され、数秒で絶命した。

 おそらく体内の水分が沸騰したのだろう。

 すべての屍食鬼の元。

 増えた屍食鬼も元を辿るとこいつから産み出されていた……。

 ゾークマザーとも意味が違う。

 本当の意味での母。

 ……そうか。メインランド。

 後ろの惑星じゃない。

 こいつがメインランドか。

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― 新着の感想 ―
種の混血が起きるなら、雑種が勝利する そして優勢遺伝子が表面化する…でも女性型ゾークはそんなに増えないのでは? 単性生殖出来ないだろうからゾーク遺伝子は内包しても励起されない限り劣勢遺伝子みたいですし
細々といくつかの惑星は純血を継いでいくんやろな
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