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第七百五十七話

 感染症予防でガラス越しに子ネコとご対面。

 レンが抱っこひもみたいな布製の器具でお腹に乗せてる。

 小さい猫がモゾモゾ動いてる。

 俺の子である。

 俺が手を振るとレンも手を振る。

 元気なようだ。

 例の六つ子の名前から守らねば。

 五分で強制退場。

 これはしかたない。

 で、病室出てからが地獄のはじまりだった。

 まだ笑える方の地獄だから安心してね。

 まずクロノスの内務省からメッセージが届く。

 王位継承権を決めろって。

 これはクレアにメリッサにレン、それに嫁ちゃんからもアドバイスをもらって会議をするつもりだ。

 ビースト種が後継者だともめるのはわかってるんだけど……どうすんのこれ?

 持ち時間は多いからクロノス教にもアドバイスしてもらってゆっくり決めようと思う。

 で、これはわかってたこと。

 ここからが地獄の本質。

 レンを大王として崇めるビースト種連合の代表者……というかレンのとこの家老からメッセージが入る。

「お一人は次代の大王に就任されますよね?」という確認メッセージ。

 そりゃするけど……「レンの意向もあるからちょっと待ってね」と返事しとく。

 これたぶん陳情書があとで送られてくると思う。

 実はビースト種連合は政治的に力を持ったパワフル集団である。

 いまやロビー団体として最大勢力なくらい。

 予想通り、市民登録させてもらえなかったビースト種の皆さんが大量に見つかった。

 これだけ増えやすいのにこんな少ないわけないですよね!

 それが発覚して頭を悩ませてたタイミングでヘルガさんにパーシオンのビースト種を紹介してもらった。

 こちらも市民登録させてもらえない人多数。

 ぼくさ、パーシオンくんの前政権どんどん嫌いになっていくよ……。

 それでビースト種各種族の連絡会議としてビースト種連合を作ったわけ。

 そう……犬猫耳にたまに熊耳に鹿耳にウサギ耳がいるくらいかなって程度の認識だった。

 だけどそこになぜかバトルドームの獣人諸国が加入。

 いや待って国も種族も違うじゃん!

 え、じゃあ俺を王様にする?

 クロノスの子になる?

 いや勘弁してよ!

 なじぇ俺えッ?

 だって俺、獣人諸国で人気ないじゃん。

 プローンの生存選んだから恨んでるって聞いてるけど。

 すると獣人諸国の代表の亀の人に言われた。


「そもそもプローンの絶滅も世論が割れておりました。しかもレプシトール人をお妃様に迎えられるとのこと。万民の平等を目指す賢王を嫌うものなどおりましょうか!」


 その発想は完全になかった。

 いやもちろん差別する気はないけど。

 なにも考えてなかった。


「えーっと、プローンを皆殺しにしなかった件で恨まれてる話は?」


「最近ではクロノスの広報により病気による精神錯乱だったと正しく理解するものも増えました」


「それに学校や病院の建設などの事業で生活レベルの向上も著しく、民はサリア様、レオ様に深く感謝しております。お二人は神の使いではないかと言うものさえいます」


 そういややったな。

 サリアとの共同事業。

 だって銀河帝国との境界にあるちょうどいい中継地なわけ。

 そしたら宇宙船用のパーツ工場作ると便利だよねって話になるじゃん。

 工場作るんだから地域に還元する必要があるわけ。

 どうやったって多少の迷惑かけるわけでさ。

 工場の雇用が生まれるからよそ者が大量に移り住んだりとかさ。

 だからプロパガンダ兼ねて学校に病院建てて、銀河帝国とクロノスの国営メディアの放送も入る通信設備とかも整備したってわけ。

 リサイクル施設やらインフラも整備した。

 もちろん現地民雇用して。

 賄賂ですがなにか?

 権力者に賄賂渡すから怒られるわけでな。

 住民全員に薄く広く賄賂渡せば怒られねえんですよ!

 でも下衆な手段じゃないのよ。

 そもそも現地の有力者に賄賂渡さないとなにもできないような土地だったら見捨ててるわけだし。

 な、マゼラン、オーゼン、パーシオンの諸君。お前らは反省しろよ。

 本当に我慢の限界きたら切るからな!

 俺の知らぬところで好感度爆上がりだったのは予想外だった。


「我々獣人も王としてお迎えしたいと願います」


「ちょっと待ってくだストップ!」


 これはまずい。

 いや我が子が決断したのならいいけどさ、俺が決めるのは重すぎる。


「重い決断だ。こちらも軽々に返事できないことをわかってくれ」


「かしこまりました」


 通信終了。

 疲れて顔がシワシワ……。


「……助けて妖精さん」


「あなたの相棒妖精さんですよ~。えっと陳情内容と会話ログを関係各所に送りました」


「ふえええええええん! うちの子には重い使命とかいらないのに!」


「レンちゃんから返信です。ふむふむ……『ぶっ殺す』」


「ぎゃああああああああああああああああッ!」


 俺は嫌だって言ってるもん!

 そんなもめるの確定みたいな未来いらないもん!

 だいたいクロノス王位すら順位どうするっていう問題に直面してるわけでな!

 俺は嫁ちゃんとクレアの子どもが生まれてから何年もかけて話し合えばいいと思うんだよな。

 その……俺の子じゃん。

 アホの子すぎて「こりゃ無理だわ……」ってのが絶対いると思うんだ……。

 育て方の問題じゃなくて生来の気質が無理な子。

 そうじゃなきゃクレアの子で……あ、そうかビースト種差別って問題が浮上するのか。

 うおおおおおおおおおおおおおッ!

 頭が痛い!


「妖精さんどうすればいいと思う?」


「怪異レベルの政治能力を持つレオくんがわからないなら私もわかりません」


「ふえーん!」


 王とは孤独なもの。

 誰かが言った話ではあるが、俺は周りに泣きつくもんね!

 わかんねえよ。こんなもん!

 そもそもだな! クロノス王だって一代限りにしたいのに!

 数年やって安定したら「あびででるちー!」って逃げる予定なのだ!

 俺は! 銀河帝国皇帝陛下の! 婿殿で! 満足してるのだよ!

 離婚されてカミシログループからも追い出されたらキッチンカーおじさんになろうと思ってるのに!

 守らねば……俺の子どもたちを……。

 責任という罰ゲームから守らねば……。

 その後、我が子たちと対面。


「パパでしゅよ~」


 と言ってみたがまだ目が開かないらしい。


「陛下。ちゃんとにおいを憶えさせてあげてください」


 手を入れてにおいをかがせる。

 だから香水的なやつつけなかったのね。

 においを憶えさせたら面会時間終了。

 追い出された。

 パパカナシイ。

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― 新着の感想 ―
「レンちゃんから返信です。ふむふむ……『ぶっ殺す』」>誰を? レオ2の殴らせろも、どういう状況でそうなったのか謎すぎて、勢いも大事だけれど説明もねってなってる。
 良くあるハーレム物の継承問題。  成人したらトーナメント行って、勝ったら王様でいいんでないの? そう年の差ないし。
もうさぁ、皆遺伝子改造してゾークにでもなればいいと思うよ? 皆平等!
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