第七百五十二話
嫌な予感がキュピーンした。
レオニダスくんにニンジャ隊をつける。
すぐに公安がつけたスパイとかち合って殴り合い。
クロノス王都警察の機動隊が出動する騒ぎに。
黒服の銀河帝国公安部隊とこれまた黒服のレプシトールニンジャ隊が胸倉つかみ合ってる。
「なにコラタココラ」
「なにがコラじゃコラ」
俺が来たときには既視感のあるやりとりをしてた。
なので持ってきたピコピコハンマーでまずは身内!
レプシトールニンジャ隊を叩く。
後頭部にピコッ!
「なんじゃコラ! ……ってお館様!」
なんかムカついたので顔面にピコッ!
「クロノス国王陛下!」
公安も俺に気づいたのでピコッ!
なぜかコラコラに参加してたウタ義姉ちゃんの頭にピコッ!
「ぬおッ! 誰じゃ! ……って義弟くん!」
俺は笑顔で健康サンダルを差し出す。
「あの……それなんかエグい突起がついて……あ、はい。履きます」
全員健康サンダル履かせて「休め」の状態でお説教。
酒と焼肉で内臓に深刻なダメージが入ってるウタ義姉ちゃんの顔が青くなっていく。
公安のおっさんたちも激痛に顔を歪ませる。
お前ら……肝臓大事にしろよ……。
涼しい顔してるのがレプシトールのニンジャども。
こいつら主食が米と魚と野菜だからな。
酒も節制してるし。
俺はアホらしい質問する。
「ねえ、なんで喧嘩するの?」
「いや管轄奪いに来たのかと思ってつい……」
管轄争いで殴り合いになったと。
軍だったら友軍とはとりあえず仲良くするのに……。
だって後ろから撃たれたら怖いもん!
俺だって無能上官が無謀な作戦しようとしたら仲間と一緒に始末するし。
友軍が無能なうえにでしゃばったら後ろから撃って始末するし。
「ほう……ウタ義姉ちゃん! あんたが全部悪い!」
「あ、あたしっスか!?」
「あーたねえ、レオニダスくんのことどう思ってるのかな?」
「彼氏ぃ?」
首をかしげやがった。
びっくりするだろ。
俺より年上なんだぜ。
「当のレオニダスくんはどう思ってるか考えてみよう?」
「自分の女ぁ? 焼肉おごってくれるし?」
だめだこいつ。
友だちから進まねえわけだ。
「ところで足裏の肝臓の部分から激痛が……」
「えっと妖精さん。レプシトールと太極国の足つぼマッサージ連チャンで予約して」
妖精さん召喚。
「はいはーい。なるべく痛いやつですね」
「あとリコちが使ってるトゲトゲマット。取り寄せられる?」
トゲトゲの上で寝るやつ。
筋肉へのリラックス効果が高いんだって。
これはただの嫌がらせ。
理論的にはそこまで効果はない。
酒飲まないと寝られない人には多少効果あるのかも?
まあいいや。
「はいはーい」
「あと内科の予約。一番厳しい人」
「ケビンちゃんじゃないですか~。軍人ですし」
「じゃあ公安全員分予約で」
「流れるように嫌がらせしてきた! しかも断れないやつ!」
「お黙り! 成人病は手術すればいいってもんじゃないのよ! ナノマシンも限界があるんだからね!」
なぜかお局口調でぶった切る。
回復量を上回る勢いで壊したら治療もできない。
本当に必要だったのはカウンセリングだったというのはあるあるなのだ。
酒パワーを借りて限界超えて仕事してたとか本当にあるある。
「えー……」
ということで全員検診。
レプシトールの連中もついでにレプシトールの総合病院で検診。
ついでにレンがビースト種用の検診サボってたのが発覚してレンも病院に。
ヘルガさんは一度も検診受けたことがないと恐ろしいこと言われた。
しかもパーシオンではビースト種は使い捨て。
身体情報すらなかった。
ほんとさー、そういうとこやぞ!
ぶん殴るよ。本気で。
ということで身体情報の取得も……エロい話じゃなくて本当に医学のために検診に。
ふう、アホどもの処理は終わった。
俺とレオニダスくんは許された。
「リコちとレオくんとレオニダスくんの検診も追加で。レオくんとレオニダスくんは激しい戦いの繰り返しでの脳へのダメージと超能力使いすぎの影響を考慮して脳ドックも追加で。タチアナちゃんとアリッサちゃんも追加で」
「ひーん!」
こうして悪は滅んだ。
俺も精密検査である。
ケビンが勤務する国立クロノス王都病院へ脱走防止の鉄格子付きの装甲車で運ばれる。
腰紐つき。
エディが腰紐を握ってる。
なぜかヒューマさんとスペース・レイダースが銃を持ってる。
ぐ、脱走不可能!
「言っときますけど俺たち護衛ですからね。陛下に逃げられると始末書書かなきゃならんのですよ。あんたも軍人なんだから俺たちの苦労がわかるでしょ!」
クソ!
なにもかも正しい!
これじゃ逃げられない!
ここで襲撃でもあれば死ぬ気で逃げるのに。
こういうときに限ってなにもない。
外では王様用の護送車なのを知ってる連中が写真撮ってる。
てめえコラ、見せもんじゃねえぞ!
……いや、王様だから基本的に見世物なのか。
人間社会の珍獣枠で。
「あー、ヒューマさん。逃げないから腰紐取って」
「そう言って逃げるんでしょ?」
「そうじゃなくてぇ、外で撮影してる人がいるんで腰紐つきじゃまずいでしょ」
「どうしてあんた、そうやって変な気を回せる常識あるのに逃げるんですか!」
「今日は逃げてないじゃん!」
ということでお着替え。
野郎しかいないから目の前で着替える。
芋ジャージから軍の制服に。
白い手袋をつけてっと。
靴もいつものエンジニアシューズというか安全靴から軍の革靴に履き替える。
さあ、検診である。
笑顔で見物人に手を振りながら優雅に病院へ入る。
入るとレオニダスくんとウタ義姉ちゃんが嫌そうな顔して待ってた。
レオニダスくんもウタ義姉ちゃんも軍の制服だ。
作戦時の戦闘服じゃなくて事務仕事用のやつ。
「やっほー!」
「元凶が来た!」
「元凶は君らで巻き込まれたのが俺よ」
「ねえねえ、レオピー」
それはそうと、レオニダスくんに話しかける。
「似た系統の顔の親戚に言われるとムカつくんでやめてもらえます?」
「んじゃ呼び捨てでいい? 俺も呼び捨てでいいから。いとこだしさー。な、レオニダス」
「レオさん」
「レオ」
「あーはいはい! レオ」
レオニダスにウザ絡みしたところで健康診断である!
がんばる必要はないが……脳へのダメージはかなり怖いのである。
カワゴンは気を引き締めた。




