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第七百五十話

 戦闘服のテスト。

 俺だけじゃなくて仲間たちも犠牲になってもらった。


「そんな目しないでください! ちゃんと研究部で実験済みです!」


 きゅーん。

 絶対これ怪我するやつだよぉ……。

 仕様表読んでも理解できないやつを着て新型のパルスライフルと装備を背負ってランニング。

 春の山だから楽だよね。

 なんだろう「カワゴン専用」って書いてある切り出された丸太が置いてあるんだけど。

 あとそれぞれの名前が書いてある丸太がずらり。

 女子は免除されてる……と思ったらリコちとレンだけありやがんの!

 針葉樹か。杉の仲間かな?

 結構大きいな。

 取っ手がある。


「……俺は何も見なかった」


 丸太から逃げようとするとスパーンッと頭を叩かれた。

 ツッコミ役はヒューマさんである。

 ……とうとう俺が素直に言うこと聞くのヒューマさんだけと知られてきたな。


「なにスルーしてるんですかね」


 拳骨でグリグリ。


「あまりのビジュアルの暴力に逃げようとしただけであります!」


「素直だな! 筋力アシスト機能のテストしてください!」


「えー……」


 嫌々丸太を担ぐ。

 ほう……本当に筋力アシストすごいな。


「どうだ?」


「自分は歩兵ではないので、あくまで感想ですがとてもいいかと」


「なに他人事みたいに言ってるんだ」


「はい?」


 コックピットから脱出できなくなったときに地力で脱出する用だぞ。


「お前らも丸太持て! なにふざけてんだよ!」


 俺は嫌々丸太担いだ勢に怒鳴り散らす。


「あ、裏切りやがった!」


「一番閉じ込められそうなのが自分だと判断しやがった!」


 うるさい!

 俺もうすぐパパになるんだもんね!

 安全のためなら悪魔に魂を売っても惜しくない!

 ということで丸太担いでランニング。


「ヒザへの加重が少ないのがいいですね」


 ヒザは重要だ。

 限界が来るとすぐに動けなくなる。

 ふくらはぎや腿も痙攣すると動けなくなる。

 下半身全体への負荷が少ない。

 いくらでも走れる。

 そしてお調子者の男子が丸太持ったままジャンプする。

 それすら問題なし。

 すげえな。

 だが……俺はそれよりもイソノの姿に感心してた……。


「最初にジャンプするのがイソノじゃない……だと……」


「レオ……そっくりそのままお前に返すわ」


 自分たちの成長になんとも言えないものを感じる。

 人はこうやって大人になるのだろうか?


「いやレプシトールニンジャの頭領にお祭り男がなに言ってるの?」


「お黙り中島!」


 どうしてそうやって余計なこと言うのかな!

 俺だって好きで宇宙怪獣とニンジャやってるわけじゃないのよ!

 そのまま丸太担いでランニング。

 リコちはフルアーマーだ。

 なんかキツそうだ……。


「ふ、ふへ……原稿忙しくて動いてなかったら筋力は落ちてないのに心肺機能があっというまに落ちて……げふ!」


 あーた……基礎訓練までサボったのね……。

 だから訓練だけはサボるなとあれほど……。

 動かないとすぐ息が上がるようになるよね……。

 カナシイ……。

 リコちもゴールして休憩。


「どうよお前ら。新しい戦闘服」


「有用なのはわかるが慣れるまで時間がかかりそうだ」


 エディが冷静に言い放った。

 それなー。本当にそれなー。


「普通の歩兵とか海兵はこれがいいんじゃね? シールド容量も大きいみたいだし」


「リコちどうよ。大丈夫そ?」


 大の字で寝てる。


「明日からちゃんと走る……」


「そういう感想じゃなくてだな」


「深夜のカップ麺やめる」


「食ってたんかい!」


 そりゃ最速で走れなくなりますわ。

 メリッサがゲラゲラ笑う。


「これで女子最強クラスなんだから世の中って不平等だよな!」


 ツボに入ったのか足をバタバタさせてる。

 レンは芋ジャージでペットボトルのお茶をくれた。


「私も少しなまりましたね」


「うそだー! レンがぶっちぎりで一位だったじゃん!」


 メリッサがさらにゲラ笑い。


「あ、メリッサ! なんでそういうこと言うの!」


 仲がよろしい!

 あまり戦闘に参加したがらないレンであるが、はっきり言って女子最強である。

 たぶん軍人じゃないヘルガさんも身体能力で上位に食い込むはずだ。

 それほどまでに我々とビースト種の間には差がある。

 というか普通に上位種族だよな。

 能力の振れ幅が大きすぎるだけで。

 上位の能力者は人間なんて足元に及ばない。

 下位は開拓地のワーカーとしても少しキツいって感じかな。

 平均したら人間よりも強い。

 そんなビースト種の代表者と和解した嫁ちゃんは名君だよな~。

 権力構造に組み込んじゃったもの。

 だって問題放置したらいつか俺たちがやられるもの。

 いまはまだ普通種の方が多いから有利なだけでさ。

 なんとなく同じ種族って枠組みで協力し合えたらいいと思う。

 で、新戦闘服は着ても死なないとわかったので俺が許可を出す。

 最初は銀河帝国に配備かな……。

 クロノスと共同開発!

 すげえ、いきなり最新装備だ。

 なんか俺の能力に巻き込まれるのを最初から回避するかのような動きだ。

 たぶん意図的なんだろうけど。

 京子ちゃんがやって来た。


「どうですか新戦闘服」


「いいと思う! 凄いよ! ありがとう!」


 ここは素直に褒めておく。


「ニンジャ隊へも支給するの?」


「ええ、ニンジャ隊にはゾークの光学迷彩をつけます」


 お、おう。

 本当に凄い装備だ。


「陛下の場合、殺気や気配で察するので無意味ではと言われましたが」


「さすが宇宙怪獣」


「お黙りイソノ!」


 もー、この坊主頭!

 余計なこと言いやがって!


「話し合いの結果、陛下相手でさえなければ大丈夫だろうという結論に至りました」


「まるで俺が変態かのようなひどい話!」


「変態っていうか宇宙怪獣な」


 もはや人間扱いすらされてない。

 なぜだ!


「それで、今度は殺戮の夜ちゃんか……」


「ほぼ新型機ですが。でも宇宙最強の機体という評判は重要ですので」


 要するに新型よりも殺戮の夜で俺が戦った方が士気が上がるわけである。

 それでバラバラにされる殺戮の夜ちゃん。

 何度も壊した俺が言うのもなんだけど……かわいそう……。

 いままでリニアブレイザーみたいな変態規格の機体に乗ってきた。

 その中では一番まともだもんね!


「それとレオニダスさんの専用機を作ります」


「ほう」


「射撃が苦手なレオニダスさんのために複座型。肩にミサイルや砲台をつけられるアタッチメントつきです」


「いいんじゃない?」


「それとウタさんですが」


 京子ちゃんが人間の話をするなんて珍しい。


「ほいほい」


「館花家からレオニダスくんと結婚まだかと問い合わせが……」


「……当事者で解決して!」


「聞いた話では超高速で外堀が埋まったようです! うちにまで問い合わせがあったんですからね!」


 うっわ……すげえな館花家。

 するとメリッサがゲラ笑い。


「いやほら姉ちゃんってあの性格だろ。親父たち結婚あきらめてたからさ! もう放さねえぞって感じでさ!」


 兄弟みたいな存在であるレオニダスくんに「あきらめろ」って言ってやりたくなった。

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― 新着の感想 ―
筋肉が限界を超えると動きたくても動かんのよねー。
館花家からレオニダスくんと結婚まだかと問い合わせが…… ならせめてあの(タカり癖)を何とかせい。
殺戮の夜ちゃん、バラバラにされて中身入れ替えられたらもう別機体じゃん。テセウスの船どこじゃないじゃん。 ズゴックだと思ってたら中身ジャスティスみたいなもんじゃんw
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