第六百九十話
フルアーマーじゃなくスーツ姿のリコちがやって来た。
「なにが起こったのぉッ!?」
そこにいたのは空腹で暴れ回る俺。
壁を正拳連打でぶち壊し、勝手に家宅捜索する。
令状? ねえよそんなもん!
「やっぱあったぞ!」
俺は壁をぶち壊しまくって壁の中に隠し部屋を発見。
壁が脆すぎる。
こういうのがあると思ってたんだよね!
中は地下室へのハシゴがあった。
シェルター?
違う違う。
「もー、待ってよ」
リコちが来て中を見て叫んだ。
「なにこれー!」
中は機関銃にロケランにパルスマシンガンに。
銀河帝国製が結構あるな。
ドローンに……ってこれ太極国製!
しかも輸出規制ついてるヤツ!
密輸じゃねえか!
……なるほどね。
「はい武器庫発見。反乱罪と密輸追加ぁ~! 妖精さん! シーユンに連絡」
「はいはーい。シーユンちゃん。あーのねー、悪いやつ見つけたんですよ~」
ということで20分くらいでシーユンが近衛隊と太極国の憲兵隊を連れてやって来る。
おそらく何日か後に太極国の警察も来るようだ。
シーユンは笑顔だったが……めっちゃ怒ってる!
「レオ様、地獄を見せて差し上げましょう」
……野球で太極国チームが点取られたときより怖い。
さてそういうわけで国際犯罪と変化した。
外交問題になりかねないので最優先。
いったん殴り込み停止。
で、銀河帝国もリコちが憲兵隊を率いて捜査開始。
クロノス警察やパーシオンの警察も人手が足りない。
というかそもそもパーシオン警察が信用できない。
そこで皇族になったアマダきゅんに通信。
「嫌な予感がするのだが……俺は新婚なんだ! 絶対そっち行かねえからな! 警察と警備会社のダブルワークだしよ!」
警備会社の方はセレネーちゃんがやってるじゃん。
ま、それは細かい話だからどうでもいいけど。
「うん。いいよ。アマダきゅん貴重なシゴデキ身内だもん。だからアマダきゅん、明日から警察トップね」
「は? え、なに?」
「だからアマダきゅんが目指してた警察のトップ就任おめでとう! 明日から!」
「待て待て待て待て~! 一から説明しろバカ」
「いやさー、パーシオンで大規模粛清しないといけなくなっちゃってさーテヘペロ」
「いやいやいやいや」
「それがさー、パーシオンの権力者どもが子どもの栄養補助の物資に手をつけた挙げ句、銀河帝国製とか太極国製の武器を買ってたみたいなんだよね~。密輸で。もう憲兵隊だけじゃ規模が大きすぎて無理なのよ~」
たぶんさー、大なり小なり高官は関係してると思うのよ。
総入れ替えが必要かな。
なんか一般労働者の定年後殺処分とかもしてるみたいだし。
いまはやめさせてるけど、これも裁かないとね。
「おい待て……歴史に残る規模の大事件じゃねえか」
「はっはー! 三カ国に裏切者がいやがるの! それもスゴイ数! どうしようかこれ?」
「まままま、待て! 皇帝陛下とルナ様はなんて?」
「嫁ちゃんは『こうなったら身内のアマダしか信用できぬ』だって。おめでとう! 妖精さんは『面倒だからパーシオン滅ぼしちゃいましょう!』だって」
「それ一手間違えたら大量の死人出るやつじゃん!」
「そう思うよね! 俺もそう思う! ヒャッハー! パーシオンに人派遣してね」
「ちょ、おま! どうすんだよこれぇ!」
「俺もわからない……とにかく頼むっす」
「ちょ、おま!」
会議終了。
解決の糸口すら見えない。
この件でわかったのは、アホの子だと思ってたレプシトールの優秀さよ!
ちゃんと新しいルールに適応してる。
国民全員使い捨てだったからカードゲーム気分で上層部切ってくるもの。
それに比べてパーシオンくんのアホの子っぷりよ。
考えてるとリコちがやって来た。
「いまのところ逮捕者300名! これパーシオン軍だけの人数ね!」
憲兵なので軍の犯罪者の数である。
「別にお小遣い程度なら見逃してもいいけど」
「もうやってる! これは児童の栄養費にまで手をつけた連中!」
「よし、殺そう」
ガキの食い物奪い取るとか命知らずすぎるだろ。
パーシオンの駐留基地の外では抗議活動が続いている。
『クロノス王! ブタどもを殺せ!』
『クロノス王陛下万歳!』
『助けてくれてありがとう!』
抗議とは……?
なんかパーシオン軍高官の人形が火あぶりにされてる。
「そりゃ子どもに関する事件で本気で怒ったんだから人気出るでしょ」
「でもさー、俺、こういう革命政権の大粛清みたいなのやりたくなかったんだよね……」
官僚機構丸ごと頂いてから自分たちのルール押しつける方が簡単だ。
でもこれは……もうどうにもならん。
というか市民が大喜びしてる。
言論の自由もなかったみたい。
それも因習村的なやり方で封じてたようである。
で、その因習村を片っ端から焼き払ってるのが俺。
とんでもない人数の被害出るけどそれも仕方なしって感じのようである。
暴れん坊大公シリーズも放送始めたし。
おそろしく視聴率が高い。
小さなころから勧善懲悪を叩き込むのはいいことだよね。
こうやって社会に理想ってのを提示しとくわけ。
そりゃここまでやるのは難しいし、どうしたって救えない人はいる。
優先順位はあるし、理不尽を社会から消すことは困難だ。
でも「社会はいい方に向かうため善処してます」ってのを常に広報しておかないといけない。
まずは悪いやつは必ず滅びるっていう社会への信頼感の構築ね。
ははッ、「法執行は正義でも倫理でもない?」。
うるせえばーか!
オラ、悪いやつをやっつけるぞ!
なんて張り切ると出てくる逆張り論調。
『必ずしも悪いとは言えない! 容疑者もしかたなく……』
うるせえ!
『昔からの慣習で悪いこととは思ってなかった』
死ね!
ということでアホどもの言い分なんか一切聞かないで検挙しまくってやった!
『物事はそう単純なものではなく、支配者は俯瞰しなければならない』
あははははははは!
アホが!
いいか起きてる事象はシンプルだ。
俺に逆らったんだよ!
このクロノス国王レオ・カミシロ・クロノスにな!
俺の命令が優先。てめえらカスの事情なんか知るかよ!
と大鉈振るいまくったわけよ。
嫁ちゃんがため息をつく。
「婿殿の選択はたいてい正しいからの……」
こうして宇宙怪獣カワゴンが暴れまくったのである。
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