第六百八十六話
というわけで台無し作戦。
戦場に降り立つ。
突然現われた俺の姿に止まる皆さん。
ドローンで補給破壊されたパーシオン軍人たちすら固まっていた。
「はーいクソ真面目に戦ってる皆しゃーん! いまからパーシオン軍の全隊演習を開始しま~す! かかってこいやああああああああああああああああ! 最後に立ってもんが勝ちじゃああああああああああッ!」
キーンッと音が割れる。
「ちょ、ちょっとレオ! なに考えてるの!」
一番真面目に考えてたクレアが叫んだ。
「だまらっしゃい! オラ、パーシオン! ここにクロノス王がいるぞオオオオオ!」
すると俺たちじゃない輸送機がやって来た。
あーあ、来ちゃったよ。
「ぐはははははははははー! 面白そうなことやっているのう!」
はい、サリアパパ登場。
一目で鬼神国前大王専用機とわかる機体である。
ですよねー!
サリアパパいたんですよねー!
そしてもう一人。
「レオきゅーん。尊敬する師匠に相談しないなんて悲しいなあ!」
はいカトリ先生。
そしてもう一人。
「婿殿! 皇帝陛下が根性叩き直せとご下命されましたぞ!」
あ……ピゲット。
どうしよう。
さらに別の輸送機がやって来る。
地上軍がワラワラ出てくる。
「あー、クロノス王陛下。ヒューマです。個人的にはものすごく嫌なんですけど、今回の件……罰として二ヵ月うちの部隊の二等兵に降格だそうです」
一度も体験せずに出世してしまった下士官に殴られながらの士官生活ぅッ!
よ、嫁ちゃん……ほ、本気だ……。
本気で怒ってらしゃる。
「あ、あの……嫁ちゃん……?」
「なんじゃバカ二等兵」
「ヒューマさんまで出すのはさすがに反則ではないかと……」
「うるさいバカ!」
だってさー、ヒューマさん!
ヒューマさんの部隊!
銀河帝国宇宙海兵隊の特殊部隊ですぜ!
するとヒューマさんが本当に嫌そうにと声を出す。
「あのね! 俺だってね、お嬢のとこに帰りたいんですよ! でもね、人手が足りないってこっちにいるんですからね!」
だって優秀なんだもん。
もうヒューマさん、銀河帝国下士官総指揮って名目で大佐にしようって案があるくらいだし。
断られたら少将だって。
「なんかスンマセン……」
ヒューマさんだけには素直に謝罪しておこう。
ヒューマさんだけは被害者だ。
「おいレオ! 師匠に謝罪は!?」
「あー、はいはい」
「てんめえええええええええええ!」
「我は楽しいなら何でもいいぞ」
大王が一番素直。偉い。
「はい、皆さん。我々の戦いにみなさんを巻き込みますが、がんばって逃げくださいね」
どーんっと音がした。
リコち降下完了。
「レオ、どいつぶち殺せばいい?」
「お好きに暴れてくださーい!」
さらにタチアナ機がシュタッと着陸。
「おめーらのせいで口内炎が治んねえんだよ!」
じゃきーんと浮遊砲台が数百機出す。
いつもの十倍くらい出してる。
待て、いくつかが俺の方をロックオンしてるのだが?
「てめえら反省しろオオオオオ!」
あ、らめ!
「あ、タチアナてめ! 俺まで攻撃しやがった!」
カトリ先生までロックオンされた。
よし、タチアナいいぞ!
やっておしまい!
「タチアナ! なぜ俺まで巻き込まれ……」
ピゲットも巻き込んだ。いいぞ!
「ぎゃあああああああああああああッ! れおおおおおおおおおおお! レオてめえ! 終わったら殴るからな! 二等兵としてこき使ってよるからな!」
ヒューマさんの叫び声。
だけどそれ以上にフルボッコにされたのはパーシオンの戦車隊である。
ボコボコである。
大風の中のプラごみのように破壊されていく。
「あ、ほい! ホイ! ソリャ!」
俺はヒュンヒュン避けていく。
だってタチアナ対策ちゃんとやってるもんね!
タチアナが戦車を殲滅していく。
いやー、タチアナの浮遊砲台でよかったわ。
狙いが超適当。
超精密な操作ができるケビンだったら死人が出てるはずだ。
でも戦車は見た目は悲惨だけど乗員が死ぬような壊れ方はしてない。
リコちが一番余裕。
巨大な盾で防いでる。
あれ本当にどうやって倒せばいいんだろ?
機体もヤバいんだけど、パイロットに弱点がないのよ!
リコちはウルミを出す。
ぱーんっとタチアナの浮遊砲台を叩き落としていく。
よしリコちを盾にしよう。
位置取りを……ドゴォッ!
裏拳でぶん殴られた!
「な、殴ったね! 最近殴られてなかったのに!」
「背後を取るな」
リコちが殺し屋みたいなこと言ってる!
そして大量の浮遊砲台を撃ち過ぎてタチアナ機がエネルギー切れでストップ。
本人も超能力使い過ぎてダウン!
ざまぁ!
そんないつものグッダグダな光景だが、このときは違った。
空気を読まない大王が後ろの倉庫に射撃。
最後の物資を爆散させた。
「さて……両陣営ともゴチャゴチャうるせえぞ! これで勝負はついた。あとはわかるな? 双方降りて殴り合え! 最後まで立ってたものが勇者だ!」
大王がそう言うならと素直にいそいそ降りる俺。
拡声器を持って。
「拳で語れぼけどもおおおおおおおおお!」
全員降りてくる。
「女子は万が一のためにローザリア救護班にいてくださーい」
リコちが不満そうである。
「ここからは男の子どうしの秘密よ♪」
「気持ち悪いわ!」
はい、追い払った。
コキコキ指を鳴らす。
「全員かかって来いや! ぼけがあああああああああああああ!」
もうね全員で殴り合い。
陣営?
敵味方?
知らねえよ!
銀河帝国軍にクロノス軍に太極国軍に鬼神国有志の皆さんに、なぜか飛び入り参加のローザリアに。
バトルロイヤルの開幕。
拳と拳で語り合う。
中将も参加。
「てめえ! 話し合えつってんだろ!」
俺のボディブロー!
「もうどうにもできなかったんだ!」
顔面にフック。
顔を回して衝撃を逃がす。
「それでも話し合え!」
顔面にエルボー。
よっしゃ!
だけど中将も歴戦の戦士。
胸倉つかまれてヘッドバットが飛んできた。
「できなかったんだよ!」
ガツンと目に火花が散った。
あー、これヤバいヤツ!
でもここは意地である。
俺も胸倉つかんでヘッドバッド!
「それでもやれ! 軍隊じゃ上官命令は絶対だろが!」
がつん!
そしたら中将の額が割れて血が流れてくる。
それでも中将はやめない。
ヘッドバット!
「よそ者が出しゃばるな!」
がつん!
「そのよそ者を巻き込んだのはてめえらだろが!」
がつん!
さすがに効いたのか、中将は今度は殴ってくる。
「なんだてめえヘラヘラしやがってよ!」
どごぉッ!
ぐあ、効く。
おっさん……すげえハードパンチャーだぞ!
「うるせえ! こっちはご先祖様が芸人なんだよ!」
俺も本気でぶん殴る。
「なのにこんな重い拳しやがって!」
「あんたもな!」
俺のフックが芯をとらえた。
中将がふらつく。
俺は背後に回って胴に手を回しクラッチ。
「寝てろボケえええええええええええええ!」
そのままバックドロップ!
中将を沈めた。
「オラァ! 次だ次!」
俺たちのファイトクラブは夜まで続いた。
リザルト……。
死者ゼロ……男性兵士全員重傷。
中将、入院!
カトリ先生、右肩脱臼、左手骨折、鎖骨骨折。(折ったのほぼ俺)
大王、肋骨三本骨折、前腕骨折、打撲多数。(満足げ)
俺、すべての肋骨骨折。指数本骨折。額の切り傷。あと……中将のヘッドバッドで鼻折れた。鼻血止まんない。
優勝、ピゲット。(タチアナが脱落したあたりで遠くに離れて傍観してた)
事件に関わったもの。
全員一定期間二等兵に降格。
なおクロノス王は便所掃除一ヵ月とキッチンの使用を禁止する。……だってさ!
……泣きそう。
明日からぽく二等兵!
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