第六百八十四話
ラリーの最終日。
いやラリーやってよかったわ。
初日でリタイアしたパーシオンも二日目で猛追。
健闘しまくってる。
で、イソノの野郎がほぼ砂漠状態の荒れ地でタイヤがパンク。
タイヤ交換で手こずってレプシトールに抜かれて順位を落とす。
そりゃ~、ね~。
レプシトールさん、パーシオン側の惑星が似たような地形だもんね。
タイヤもこの辺の荒れ地に最適化されたやつがあるよねって話。
空気入ってなくてホイールで衝撃分散させる仕組みのヤツ。
下見しておきながらパーシオンの荒れ地を甘く見てたイソノチームは一番頑丈なタイヤに交換。
でも速度を落としてゆっくり。
タイムを落としていく。
しかたないよねー。
なれてなければそうなるよねー。
イソノの野郎がイライラしてる。
ヒャッハー!
イソノにはストレスだが番組的には超盛り上がってるぞ!
特にレプシトールが盛り上がりまくってる。
なお大人しいのは太極国。
野球とサッカーじゃなければ彼らは大人しい。
でもエンジニアでもない人まで集まってタイヤがどうとかモーターがどうとか話し合ってる。
次回以降はっちゃけることが予想される。
彼ら……真面目だもんね……。
荒れ地を抜けた三日目にはイソノは順位を落としてたが、そこから猛追。
レプシトールチームを追い上げる。
なお、二社とも俺の会社。
俺のメッセージボックスは「もう……生産が……追いつきません……助けて……」という悲痛なものであふれかえってる。
工場増設計画出したけど今すぐは無理だよねって話でしかない。
造形プリンターでやるより工場産の方が耐久力あるもんね……。
採算度外視かつ気合さえあれば作れるけど。
なんて俺の明日からの地獄が予想される中、イソノは走る。
ラリーは上限速度があるから常識的な範囲だけどね。
そして猛追するが結果は準優勝。
でも完走という目的は達成したわけである。
レプシトールが優勝。
勝因はタイヤ性能だな。
パーシオンは恥をかかない程度で終わった。
次回は……申し込みが異常な数入ってきてる。
別の大会も作れってさ!
俺は優勝決まって休んでるイソノの野郎と通信。
「イソノ! お前が大会運営やれ!」
「やだね! 俺は選手だもんねー!」
まだ選手やるつもりかこの野郎!
俺はバイクレース強制引退だぞ!
ということで分散、元締めはカレンさんと……シーユン?
なぜかやりたそうにしてる。
正装までしてこちらに来た。
「シーユンできる?」
「はい!」
ということでシーユンに投げた。
カレンさんも国民や企業から「はよ次回!」とせっつかれてるようだ。
さてシーユンも帰って、一息ついてお茶飲んでたタイミングでクレアから通信が入る。
「やっぱり来たよ。パーシオン陸軍中将がクーデター開始」
「本人と通信!」
すると頭をそり上げたおっさんが出る。
もうね、知ってるおっさんだ。
「おっさん! なに考えてるの!?」
「部下たちを裏切れません」
うっわー……西郷隆盛パターンか。
なるべく組織を残す方針だったけど、どうしても排除しなきゃならん人が出るわけ。
上から下まで強火で俺を殺せって主張するやつは辞めてもらうしかないでしょって話。
でも上層部からしたらその人たちも身内なわけ。
それで神輿にされて身動き取れなくなったと。
「勝てないのわかってるよね?」
「理解しております」
「そっちの主張は!? ある程度は妥協するからさ!」
配給増やせとかなら聞くからさ。
除隊回避は難しいけど、恩給増やして生活安定させたり除隊人数減らしたりできるわけでさ。
「国王陛下のお命であります」
「あのさー、じゃあパーシオンいますぐ返す? 俺は撤退してもいいのよ」
再三に渡り言ってるが、俺はパーシオンなんかいらんのである。
医療や衛生面の支援だけして撤退したい。
「この国の文化、伝統を守る責任が我らにはあります」
「じゃあ自分たちで統治してよ!」
「私個人としては陛下のお言葉こそ正当と理解しております。ですが部下たちは納得しません!」
「あんた、もう軍事作戦始まっちゃったからそう言ってるだけでしょ! なんとか説得できないの!? 要求出してくれれば聞くよ!」
「もう、さいは投げられたのです」
「あー、もう! なんでそうかな!」
交渉が下手すぎる。
俺は話し合ってさえくれれば妥協すると言ってるのに……。
「私からの個人的なお願いがございます。家族らは許して欲しいのです」
「だからー! 俺言ってるじゃん! 要求出してさえくれれば聞くって! なんで話し合わないの!」
クレアが会話に入ってくる。
「中将、あなたはどうしたいの?」
「正妃様……この機に我らを一掃し、権力基盤を安定させるべきです。いまから名簿をお送りします。我らの支援者や後援者の情報です」
クレアがため息をついた。
「レオ……もうあきらめなさい。向こうも本気よ」
「でもこんな自殺みたいなことされてもさ……」
「それは私たちの言い分でしかないわ。私たちにまかせてレオ」
「いや責任取るのは俺で……」
「おそらく彼らはあなたの光に耐えられない。彼らを邪悪とまでは言わないけど……ふさわしい場所で葬ってあげなければならない」
「なんでシーユンとこの正妃みたいなこと言い出すのよ!」
「それは私があなたの妻だからよ。士官学校生のときはわからなかった。でもいまは理解できる。あなたの言うことは正しい。でもそれは彼らは受け入れられない」
あー!
もう!
「わかった! クレア、叩きつぶして!」
「うん。エディくん、あらかじめ編成してた討伐部隊を派遣して」
「了解!」
もう用意してたのね!
「太極国支援隊準備待機しております」
シーユンからも連絡があった。
「レプシトール義援軍も準備完了してます」
……もしかして知らなかったの俺だけかな?
「銀河帝国軍出撃できるぞ」
嫁ちゃん……。
「なあに、婿殿はどっしり構えておけ! 我らが最強の兵の活躍を見よ!」
俺のパワーダウンを計算してたわけね。
なるほど。
「我は知らんぞ」
シャーロットからも通信があった。
ローザリアはそうだよね。
というわけでジェスター抜きでの内戦が始まってしまったのである。
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