第六百七十五話
撮影が必要らしい。
俺と軍にいた元プロレーサー、違法カジノの選手も含む人たちと予定地へ。
まずはツーリング。
行政が決めてもいいんだけど、ノウハウがない。
興行主は儲かるかどうかで決めちゃうし、選手会は違法カジノの方がまだマシなくらい腐敗してた。
腐敗を一層って言うのは簡単なんだけど、民間組織だとなかなか難しい。
行政の補助金止めて、事故が起こったら解散させるくらいしかない。
ヴェロニカ派でも甘い汁吸ってる貴族もいるから宮廷工作が必要である。
甘い汁なんて表現してるけど実態は甘い汁で家畜にされてる状態だからね。
一族根切り程度じゃ一掃できないのである。
なので嫁ちゃんは、まだ選手の安全考えてる方の違法カジノを合法化することにした。
公爵会の後ろ盾で好き放題してた方の正規の団体は完全無視。
もちろん志願兵になった元プロとかは身内だ。
信用できる。
探し出して新団体に組み込む。
そりゃ借金や違法薬物で身を持ち崩したのも多い。
それは軍でわからせるとして。
軍の本気は強制貯蓄&口座ロックも可能だ……。
俺も気を付けよう。
とはいえ志願兵はまだ戦おうという気概のある連中だ。
問題ないだろう。
さーてそんなわけで、ツーリングしながらコース選定。
まだ選定初期なので写真を撮りながら軍の偵察用バイクで走る。
スピードなんて出さないよ。
まずは死人出したくないので簡単なコースにする予定。
大回りの普通のコースね。
いやいや見てよ、この海を渡す吊り橋!
クロノスが修理して大型トレーラーも通行可能な大きな橋!
海が絶景すぎるだろ!
ここの脇にスラム作ってたとかバカじゃねえの。
観光資源じゃねえか!
ホテル作るぞ!
海もきれいにしたしね。
ゴミを片付けて資源化するだけでも例の会計錬金術でアホみたいに儲かるわけでな……。
スラムの住民にもお仕事配分できるし。
パーシオンのいいところは行政が命令すると従ってくれるところだね。
ものすごーく嫌そうな顔しながらブツブツ文句言ってクソみたいな手抜きでやってくれる。
クロノスやラターニアに仕事発注するときは企業に入札かけて、ちゃんと作業員の給与水準や安全要件を満たすようにする。
なんで作業はじめるまでに時間がかかる。
だけどパーシオンでは「やれ」で終わりだ。
給料を決めるのは行政。
ただし仕事のクオリティーはクソ低い。
ダラダラやってやがる。
「ぶっ殺すぞてめえ! 仕事なめんな!」という言葉がのどまで上がってくるが飲み込む。
こういう文化なのである。
銀河帝国は日系文化。最高に相性が悪い。
オーゼンってまだ洗練された文化だったのね……。
笑顔でキレながらもダラダラ仕事させてここまできた。
ゴミを片付けるという文化がないのだけは許せない。
川にボトル投げ込んだやつは罰金な。
殴らないだけまだ優しいと思え。
明らかに仕事しないバカに意味もなく穴掘らせて埋める懲罰を科したら、生産性が上がってパーシオン人労働者の幸福度が目に見えて上がった。
怒られるかと思ったのに。
冗談で言ったら現場監督がブチ切れてて本当にやっちゃった事故なのに。
バカにちゃんと懲罰を与えるのは人民を見捨ててない証拠だそうで。
文化が違いすぎて理解不能。
あたい……パーシオン人の気持ちが何一つ理解できないわ。
とにかくいつまでも立ち退かないスラム住民を軍を動員して放り出して、掘っ立て小屋をブルドーザーで壊したら喝采を浴びた。
で、住民を仮設住宅に放り込んだら喜ばれて。
強制労働させたら喜ばれて、バカを雑に処罰したら喜ばれた。
そんなあたいのストレスが夕陽に照らされて浄化される。
クレア様の集団農場で労働者が楽しそうに働いてるのが見えた。
俺がクロノスの人間だとわかると手を振ってくる。
心の底から喜んでるようだ。
俺も手を振る。
あたい理解できないのはパーシオン軍である。
戦車向けてきたのはクロノス軍の水準まで給料上げる計画に反対する連中なんだって。
意味わからないよね!
軍人恩給制度をクロノス軍と制度だけ統合して資産運用するから増えるよって話なのにブチ切れやがった。
俺悪くないよね!
ムカついたので、資本主義導入中止。
もうね、お前らはしばらく配給と職位等級の給料制ね!
太陽を背に橋を渡りきる。
直線コースの写真を撮影。
「妖精さん、俺のヘルメットのカメラからPV作成の発注頼んます」
「ほいほーい。リコちに投げるね」
リコちたちのサークルというか会社がコンテ作ってプロレスの映像作成してる会社にさらに投げる。
できた映像はクロノス国営放送で買い取って全宇宙に放送する。
みんなお金が入って幸せ。
これをパーシオン人はミリ理解せんのですよ!
……ところでさ。
撮影班とカメラマンいるのに素人の俺の映像が使われまくってるの……なじぇ?
この撮影自体が国営放送でドキュメンタリーとして報道されてた。
パーシオン人シバきまくってるのもオープンにしてるけど、喜んでるからいいやってスルーされてる。
数十年後に黒歴史化するだろうけど、そのときは会議の議事録全部公開してやろうと思う。
俺たちが「なじぇ!?」ってなって困惑してるヤツ。
「はいOKです。お疲れ様でした!」
ルーちゃんママに言われて撮影終了。
コースは簡単すぎるけど、いいのいいの。
コケてミサイルみたいに壁に突っ込むよりは。
やりかねないからね!
特に鬼神国人!
「ねえねえ、嫁ちゃん。サイドカーでツーリングせん?」
みんな一緒に来てるのである。
そうバカンスを兼ねてね!
「いいぞ~まだ日があるうちに一回りするか」
というわけで夫婦のツーリングも撮影。
これも俺の支配地域一帯に放映される。
冷静に考えたらパーシオン人でも難しくない金のかからない遊びだ。
もしかしてとてもいいことなのでは?
なんて思いながら先日から仕込みしてたバーベキュー。
ちょっとパーシオンの現地食材はヤバいので水まで含めて持ち込み。
惑星カミシロはメキシコ文化も入ってるからソーセージもあるもんね!
牛肉はぷるぷるやぞ!
薪で低温調理した最高のやーつ!
ぐへへへへへへ!
ソースは銀河帝国の美味しいやーつ。
俺も父親になったら「ダディ、クールだぜ!」って言われたい。
トング片手に切り分ける。
「婿殿……これうまいぞ……」
嫁ちゃんもウットリ。
「どうよてめえら!」
「時間かかるから焼肉でよくね?」
「イソノこの野郎」
「ナイフを向けるな! 怖いだろが!」
「イソノ! お前だって生まれてくる子どもに『ダディ。クールだぜ!』って言われたいだろ!」
イソノは嫁さんを見る。
「レオ……バーベキューを俺に教えてくれ……」
な?
『ダディ。クールだぜ!』は漢の到達点だろ? 実績解除だろ?
②巻4/20発売です!




