第六百七十二話
よくわからないがシャーロットに呼び出された。
「はいはーい。食べる?」
駄菓子セットを渡す。
「食べる」
もう取り繕う必要もない。
「それで本当のことって何よ?」
「我が国のことじゃ」
「ゼン神族と戦争してるんでしょ?」
「あれが戦争と呼べるのならばな」
「それほどまでに強大?」
「ああ、強大じゃ。戦闘にならんのだ! 病気にテロにクーデターに……いつもやることが卑怯すぎるのだ」
「あー、うん。いつものやつね」
「だが我らも無能ではない。道化の力で敵の拠点を潰していった……だがやつら……強力な兵力を温存しておるし、拠点を次々と変えていくのじゃ!」
「あー、うん。相手国内部に寄生して中から崩せばいいから領土自体必要ないのよね。あいつら」
「それで我が国は道化を支持する貴族と平民で世論が二分し、領土が割れてしまったのじゃ」
「あー……そういう感じ」
それは銀河帝国やクロノスだと起こらないのよね。
領主はコンビニ店長。
領地が滅びるときは領主一族も住民も滅びるとき。
それをわかってるから領主が多少バカでも住民は協力してくれるってわけ。
クーデター起きても代替わり程度。
外部勢力や反社会思想タイプのクーデターは基本ミサイルで焼き尽くすしね。
だからゾークは公爵会っていう特権階級を産み出して社会を切り崩しにかかったわけだ。
うーん、冷静に考えるとゾークって手強いよね。
で、ゼン神族はテロ特化型。
好き放題やってやがる。
「それで、戦況は? 当然二分したからには戦争してるんでしょ?」
「よくない。そこでカクメイ勢力側に忍ばせたスパイから、こちらの宙域に英雄が誕生としたと聞いたのじゃ。そこでクロノス王、お主を籠絡し味方につけようとしたのだ」
「籠絡って素直に頼めばいいじゃん」
「交渉材料として差し出せるものが道化のこの身一つしかないのだ! それに……本国が未だ存続してるかすらわからぬ」
「えー……悪いけど嫁さん間に合ってるんで……」
と断ろうとするとドアップで妖精さん出現。
「ふふーん! ベロニカちゃんどうぞ!」
「入るぞ」
そして嫁ちゃんも部屋に入ってくる。
嫌な予感しかしない。
「うみゃい棒もらうぞ」
「へいへい。なに飲む?」
「炭酸の!」
「はーい……という感じで夫婦仲は良好なのよ」
オレンジの炭酸ジュースを渡す。
「シャーロット何飲む?」
「あー、あのどピンクの……」
「あーはいはい。フルーツパンチの……」
罪深い味のヤツ。
俺は麦チョコを開けて会議室に常に置いてある紙皿にドバー。
みんなの前に置く。
他の紙皿も出してチーズ味のスナック菓子も置く。
俺はお茶。
嫌な予感しかしないからね。
「で、嫌な予感しかしないけど話して。あと嫁が増えるのは反対」
「ああ、亡命政府を作ればいい。あと嫁の話は今さらじゃ」
「嫁ちゃん……ぼく、嫁ちゃんとの子ども欲しいな」
「あーはいはい。西条も結婚したし、そろそろ頃合いじゃな。航路を逆にコロニーを作っていってローザリアまで行くしかなかろう」
「了解。作業手伝ってね。それとさークソパーシオンだけどさー」
人のこと暗殺しようとしやがった!
ぜったい許さねえ。
「コロニー建設の労役に処せばいいじゃろ」
「反乱起こして余計面倒にならない?」
「最新技術を学べるチャンスって移民の募集かければいいじゃろ。それでコロニーに定住させて、パーシオンとの縁を遮断。他の民族と所帯を持たせればいい。そのうち目的を忘れる。パーシオン人団体はスパイを入れて監視対象にして懐柔しつつ、難癖つけて弾圧せよ。構成員はギリギリ孤立させないようにして他の宗教に取り込んでしまえ」
「こ、これが……帝王学……」
嫁ちゃん……しゅごい。
「……クロノス王も化け物だが……銀河帝国皇帝もまた凄まじいものよの」
「壊れかけた国を建て直してたら嫌でも身につくわい!」
「それで婿殿はどうするのじゃ? 切り崩し戦略は婿殿の十八番じゃろ?」
「え、パーシオンくんは基本遊んでくれないから無理。呼びかけても返事してくれないし」
「降伏してなおそれじゃからのう……」
パーシオン人は口開けてご飯が入ってくるの待ってる系。
ほぼ全員が無気力で飼い慣らされてる国民性だ。
呼びかけても「はあ」とか「へえ」とかしか返ってこない。
一番苦手なタイプだ。
野球もサッカーもしてくれないしさー。
軍人もやる気ないから練度低いし。
タチアナに言わせると「ダメな方のコロニー民そっくり」だそうである。
うーん……。
「とりあえずパーシオンくんわからせ編いく?」
「なにをする?」
「乱暴なやり方なら太極国人の行政官置いて犯罪者を宦官にする。恐怖政治を敷いて協力するようになるまで締め上げる」
「それは婿殿が耐えられんじゃろ」
「それねー。だから徹底的に遊ばせようかなと。ほら例の公道バイクレース。パーシオンで開催するのはどうよ。労働者にスパイを大量に紛れ込ませてうちの有利なように政治をいじり倒しちゃおうかなと」
「……な? シャーロット。息をするように謀略するじゃろ?」
「う、うん。恐ろしいな」
「嫁ちゃん……俺は……悪意はないよ。楽しく生きたいだけで」
「悪意がないから恐ろしいのじゃ!」
というわけで次はバイクレース。
まずはカミシログループ経由で銀河帝国のバイクメーカーと交渉。
え? 買収した?
買っちゃったの?
あの渋いデザインのやつ買っちゃったの?
え、造形プリンターのデータくれる?
本当に!?
ひゃっほーい!
ということでまずは銀河帝国とクロノス、そして友好国へとバイクレースが告知される。
場所はパーシオン。
太極国のち●ちんないない軍団が大会共催者兼行政官として現地入り。
いきなり暴動が起きたがもう甘い顔なんかしない。
容赦なく弾圧。
俺はパーシオンに呼びかける。
「いままでクロノスも太極国もパーシオンには甘すぎました。私の暗殺を企んだ連中は徹底的に弾圧します。私に従うものには職と賃金と生活の安定を。独裁者でもなんとでも言いやがれ!」
恐怖政治のはじまりでゴワス。
でもいいもんねー。
暗殺しに来るタイミングわかってるもんねー。
バイクレースだもんね!
オラァ! 来るなら来いや!
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続刊したいのでよろしくなのじゃー!
あと今日は板橋にプロレス見に行きます




