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第六百七十一話

 ローザリア帝国第三皇女、ハミルトンの娘シャーロット。

 つまり私は思い悩んでいた。

 なんなのこいつら!

 人型戦闘機の大会は2回目。

 第1回大会で専用機を派手に壊したらしい。

 そのため量産機搭乗がルールに追加されたとのことである。

 なに言ってんのお前ら。

 それも納得だった。

 レオ王は壊すまで戦い……というか太極国皇帝による切り崩し戦略と包囲網を抜け……。

 太極国皇帝もスポーツだとしてもたいがい化け物だが……。

 レオ王……あれはなんなの!

 数名の仲間と二機の浮遊砲台型……我らにはない技術の新型を倒した。

 いやパイロットは道化と道化から進化した賢者だぞ!

 しかも賢者の方は我らのデータにない強力な超能力の使い手であった。

 あんなの反則だろ!

 いあやルール内だが……おかしいだろが!

 それを倒しただけではなく、そのままローザリアの誇る騎士団を蹴散らした。

 私は出なくてよかった……恥をかくところだった。

 さらにシステム停止した生き残りが生身で殴りあい、反則行為で失格になった。

 最終的に優勝したのは賢者の超能力で壊れた機体を修理して再起動した騎士と……。

 準優勝は修理できなかった異種族の学生。

 保護統治下の惑星の異種族、人間ではない知的生命体も参加資格があるのか……。

 種族が滅びないように教育まで施しているとか。

 懐が深いとかそういうレベルではない。

 人間の器が大きいと言えば大きいのだろうが……こいつら正気か?

 後の世になったら復讐するに決まってるだろが!

 軍事まで教えおってからに!

 ぶ、文化が違いすぎる……。

 さて……優勝した西条であるが「納得できない」と怒っていた。

 当たり前である。

 西条とレオ王の特別マッチを望む市民の声が日に日に大きくなっている。

 ……それは見たい。

 さて、そんなグダグダな試合であったが、一番得をしたのは太極国皇帝シーユンだろう。

 クロノスに留学中の彼女は銀河帝国皇帝の直弟子とのことだ……。

 やはり銀河帝国はその……少し……慈悲深すぎるのではないか?

 なぜ手の内を晒す?

 だが……銀河帝国皇帝の夫であるクロノス王が外交だけで数カ国を滅ぼしたという話を聞くと……。

 決して油断してはならぬ化け物だな。

 その弟子である太極国皇帝シーユンは絆で結ばれてる一騎当千の騎士を次々籠絡。

 半分を自軍に引き込んだ。

 試合とはいえ……恐ろしい策士だ。

 そのため自国、太極国では皇帝の偉業を祝う祝賀パレードが行われ、国と各領主から振る舞い酒が提供されたそうである。

 その皇帝シーユンもレオ王の嫁になる予定との噂がある。

 つまり現在、レオ王は銀河帝国皇帝、太極国皇帝の二人の策士……そして化け物じみた騎士団を要し、広大かつ強大な経済圏を持ちながら支持率の高い……頭痛くなってきた。

 しかもいくつもの犯罪組織を合法化。

 実際、クロノスは国王が自転車で買い物に行けるほど治安は良い。


「ねえねえシャーロット。お菓子買いに行くけど、ついでになんか買ってくる?」


 食堂で悩んでると花柄エプロンが現われた!


「ああ、うん。甘いの頼む」


「へーい。作る?」


「うむそれも欲しいが……市販品も試してみたい」


「市販品の物価調査ね。へいへい、データ渡そうか?」


「いいのか?」


「べつに。公表されてるデータだし。国家統計も渡そうか?」


 この国は異常だ。


「市販品は甘いやつね。グミとキャンディーどっちがいい?」


「わからぬ。当方はあまり菓子文化が発達してなくての……」


「んじゃ適当に買ってくるわ。あ、近衛隊に酒飲むか聞いてくれる? 飲み会参加するでしょ?」


 頭痛が治まらない。

 話を聞けば聞くほど頭痛が激しくなる。

 なんだろうか。

 この異常なコミュニケーション能力は……。

 道化はもっと孤独で孤高の存在ではなかろうか?

 我々の知っている道化とは違いすぎる。

 すでに我が親衛隊とは顔見知り。

 飲み会に参加は当然といった状況だ。


「ちわーっすセルバンテスです」


「へーい、お酒置いてって。つまみは?」


「持ってきました!」


「あざっす!」


 受け取りサインをする。


「それ宮殿の誰かの仕事じゃないか?」


「だって俺ら個人の買い物だし」


「いやだからプライベートを管理するのが侍従であってだな!」


「おっとポテチはあるな、かさばるから助かったわ。んじゃ買ってくるからよ~。んじゃのー」


「聞けー!」


 つ、疲れる。

 護衛の騎士も自転車らしい……。

 って待てよ。


「待てクロノス王! 車で行けばいいのでは?」


「それだ!」


 妾は乗用車は思い浮かべていた。

 だがクロノス王は軽トラと言われるコンパクトな荷物運搬用車両で出かけた……。

 うむ……軍人だしな。

 軍人だからそうなのだろう。

 たぶん。


「おそれながら姫様……普通の王はトラックをご自分で運転されません」


 近衛に言われた。


「だよなー! おかしいよなあいつ!」


 そう言えば剣術大会のときも戦車を奪ったとの情報がある。

 ……操縦できるのか。

 本国からは「くさびを打ち込め」と言われたが……無理だ。

 結束力が高すぎる。

 なにせ競技大会での造反と包囲網が笑いごとですまされるのだ。

 ローザリアではそうはいかないだろう。

 そもそもだ。

 故郷の食べものを作りたくて裏切った自分の妻に専用キッチンをプレゼントするような男だ。

 その妻は喜んで香辛料だらけの謎の食べものを作ってる。

 神のように崇められてはいない。

 これだったらいくらでも策はある。

 だが同じ仲間として信頼されている。

 これを切り崩すのは困難だ。

 それをするくらいなら国王を籠絡した方が……難しいな。

 あれは妻たちを大事にしている。

 ゼン神族との戦いが迫る中……どうにかして強固な関係を構築せねばならないのだが……。

 だが私に彼らを操るのは……無理だ無理!

 素直にお願いしよう!

 帰ってきたレオ王に会いに行く。


「うんどうしたの?」


 レオ王はツノのある大男にヘッドロックしていた。

 おおかた喧嘩を挑んで倍返しにされたのだろう。


「うむ……我らが来た本当の理由。腹を割って話した方がいいと判断した」


「えっと……食べながらでいい?」


「うむ……頼む」


 またもや頭痛が。

 もはや理解の範疇を超えた存在だとあきらめよう。

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― 新着の感想 ―
おそいくるずつうのなか しゃーろっとはせいかいを みいだした!
その頭痛ってジェスターのなんかなんじゃないの?
だって本物の"道化"から成り上がった一族だぞ? この王様。
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