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第六百七十話

 私、西条蒼空(そら)は困惑していた。


「西条くん! 人型戦闘機大会優勝おめでとう!」


 男子たちに胴上げされる。

 どうしてこうなった!?

 私はここ数時間の出来事を逡巡する。

 そもそも原因を作ったのは中島さんだろうか。

 アリッサの暴走で中島さんの機体がコロナ爆発の直撃を喰らって撃墜。

 コントロールを失った中島機が私の機体に飛んできた。

 それを避けられず衝突。

 そのせいで機関部が故障してしまった。

 メイン戦闘エリアからかなり遠くまで飛ばされてしまった。

 そこでなんとか予備バッテリーに切り替えてスラスターで停止できた私は、降参しようと星間通信をオンにする……。


「な! 通信機まで壊れた!」


 だけど私はこれでも皇帝陛下の近衛騎士。

 どのような状況からも生還できる訓練は受けている。

 コントロールボックスを開ける。

 標準機はメンテナンスが簡単なようにユニット交換式になっている。

 予備の通信ユニットを取りだして交換。

 これで通信が復旧するはず……。

 電圧低下!?


「外か!」


 巫女服を脱いで船外作業可能な戦闘服で外に出る。

 パワーユニットの交換だ。

 こればかりは操縦席からできない。

 まずは脚部の予備ストレージからパワーユニットを出す。

 背中の緊急レバーで装甲を外す。

 するとユニットが出てくるので交換。

 入れてから回して、ストッパーをかけて……緑色のランプがついた。

 おそらくこれで動くだろう。

 交換した前のユニットはランプがオレンジ色に点滅してる。

 マニュアルを確認するとバッテリーの不具合のようだ。

 激突時に制御基板が損傷したのかもしれない。

 あとで技術部にレポートを上げねば。

 操縦席に戻る。


「こちら西条! 戦線に復帰する……あれ?」


 返事がない。


「こちら西条!? レオさん?」


「ウキー! ウキキキキキ!」


 がしゃーんッと音がした。

 嫌な予感がする。

 すると別の通信が入る。


「銀河帝国士官学校分校イザーク学生であります! 機体トラブルで動けません! 救援求む!」


 おっとイザークくんだ。

 たいへん真面目な生徒で分校ではみんなの兄貴分みたいな子だ。

 いくら優秀と言えども機体トラブルの修理は難しい。

 最初からできたレオさんがおかしいだけだ。

 なんであの人、工兵の上級資格まで持ってるんだよ……。


「こちら西条、すぐ救援に向かう!」


 イザークくんの元に行くと足が折れた機体がいた。


「イザークくん無事か?」


 通信をするとイザークくんが出た。


「ローザリアに撃たれて操縦不能に陥りました!」


「システムチェックかけて!」


「電圧低下。システムダウンします!」


 しかたない。

 ここから先は学生では難しい。

 足のストレージを……。

 壊れてる方の足だ。


「イザークくん! 工具はあるか?」


「ストレージの中です!」


「ですよねー!」


 こりゃひどい設計ミスだ。

 しかたないこちらのを出すか。

 バールを使ってこじ開け……こりゃ困った。

 ビクともしない。


「修理できない!」


「わかりました! 棄権します! ご助力感謝します!」


 いい子である。


「こちらイザーク学生。機体操縦不能。棄権します……はあ、残ったのは西条さんだけですが……」


 なにか言われたようだ。

 イザークくんがこちらを向く。


「あの西条さん、運営本部が」


 なんだろうか?

 運営本部と通信する。


「西条蒼空! 優勝おめでとう!」


「はい?」


 あのウキキという謎の声は、キレて外に出てカトリ先生と殴り合いしてたレオさんの声だったようだ。

 二人は失格。

 ローザリア軍を蹴散らすという快挙をなしながらも失格という伝説を作った。

 そして何一つしてない私が最後に残り優勝してしまったわけである。

 何一つ納得してない私の表情を見たピゲットさんが肩を叩く。


「軍人というものは……納得できない出来事を飲み込む日もあるだろう……強く生きろ」


 ピゲットさんも納得してないようだ。

 私もだ。


「クロノス王陛下からメダルが授与されます!」


 レオさんがやってきた。

 包帯ぐるぐる巻きのミイラ状態だ。


「お、おめでとう……」


「そこまで無理しなくても……」


「オレ……オウサマ……シゴト……スル……」


「誰か陛下を止めてー!」


 同じく包帯ぐるぐる巻きのカトリ先生からも賞状をもらった。


「オレ……センセイ……シゴト……ガンバル……」


「先生も限界だからー!」


 二人とも担架で運ばれて行く。

 最後にヴェロニカ陛下がやって来た。


「西条……」


 ドバッと皇帝陛下の目から涙が流れる。


「お前がいてくれて本当によかった……どいつもこいつも変態とバカばかりなのじゃ……」


「あー、はい」


 あの状態でも戦い続けるバーサーカー二人に、暴走する超能力者。

 カレーが原因で裏切る幹部に、それをそそのかし対レオ・カミシロ・クロノス包囲網を築いた銀河帝国皇帝陛下の弟子。

 そしてそんなカオスに巻き込まれたかわいそうなローザリア帝国……。

 カオスすぎる……。

 皇帝陛下……おいたわしや……。


「宇宙最強は西条蒼空に決定じゃ」


 あ、あれ……?

 宇宙最強?

 なぜか鬼神国人の目がギラッと光った。

 次狙われるの……私ぃ!?

 その後、ユリちゃんとデートした。

 ユリちゃんも結婚に前向き。

 宇宙最強の座にはユリちゃんのご両親もニコニコ顔だった。

 もちろんうちの両親も。

 妹なんか「お、お兄ちゃん……女の人と……結婚しちゃうの……?」と言ってた。

 失礼な!

 こうして結婚はとんとん拍子に決まっていった。

 とりあえずシステム上籍を入れた。

 私の収入はかなりいい。

 ユリちゃんもだ。

 給料だけでも生活は困らない。

 領地は二人の実家にまかせている。

 本家を名乗るほどの経験はない。

 我々は堅実に生きるのだ。

 包帯まみれになるまで殴り合うバーサーカーのマネは出来ない。

 結婚式はお預け。

 銀河帝国の公式行事になるようだ。

 次は中島さんの番だろう。

 男子は次々結婚も決まってる。

 そろそろ不満も出るだろう。

 さて、私たちにはローザリアまで参加しての内輪のパーティーを開いてくれた。

 結婚パーティーなのか優勝記念なのかはわからない。

 正直なんでもいいのだろう。

 ミイラ男がDJしてる。

 レオさんだ。


「あんた大人しく寝てろ!」


「これ終わったらネル……オレ……仲間……だいじ……」


「今すぐ寝ろ!」


 なにやってんのあんた!

 こうしてこの西条蒼空。

 宇宙最強になりました……。納得できない。

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― 新着の感想 ―
つまり西条くんはミスターサタンだった…?(多分違う)
イザーク君準優勝なので学生として箔付きましたね。レオくん親衛隊とか
戦場は強い者ではなく生き残った者こそが最強 それも宇宙怪獣カワゴンとその眷族達がいる戦場でだ 故に君は確かに宇宙最強だぞ、西条くんw
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