第六百六十三話
まずは徒手大会。
よかったエキシビションだけで許された。
「お前が参加すると大会にならない」
いみわかんにゃい。
対戦相手は……マスクドイソノ。
……お前か。
ルールはプロレスだな。
俺は「俺はやるぜ!」とシベリアンハスキーみたいな顔になった。
大会ごと壊してくれる。
まずはイソノ野郎とマイクパフォーマンス。
「てめえコラ! パパになるぞコラァ!」
「おめでとうだぞコラァ!」
「ありがとうだぞコラ!」
「嫁さん大事にしろコラ!」
「てめえも皇帝陛下大事にしろコラ!」
とやってたら二人とも後ろから中島にゴングで殴られた。
「仲良しかテメエら!」
完全に不意を突かれた。痛い。
これがゴング代わりだった。
ぐあんぐあんする頭で、あえてヘッドバッド!
「てめえコラ!」
「あんだコラ!」
ヘッドバット返し。
ヘッドバットやらなきゃよかった。
「おめでとうだコラ!」
今度はチョップ。
「ありがとうだコラ!」
地獄突き。
げふり。
ロックアップで組み合う。
「やるぞてめえ!」
「来いコラ!」
グーパンチを交互に繰り出す。
「親父の根性見せろコラ!」
「てめえもはやく親父になれコラ!」
何十回もお互いに殴り合っただろうか。
腰の入ったパンチじゃないからノックアウトしないんだけど、ひたすら痛い。
骨が軋む。
健康に悪い殴り合いである。
お互い限界が来たので今度こそ組み合う。
「オラてめえ! 喰らえコラァ!」
俺が叫んだらイソノが一瞬ぐらっとした。
あ、やべ。
あわてて張り手びたんこ!
起こしてやる。
そしたら後方に投げ飛ばす。
ベリートゥベリーだ。
イソノは受け身を取った。
よし、これで起きただろう。
「て、てめ、体の芯に響いたぞコラァ!」
「てめえ落ちてんじゃねえぞコラァ!」
やはりプロレスは体力の消費が激しい。
休みたい……。
イソノがセコンドからチェーンを渡される。
ふひー助かった。
「てめえコラ!」
チェーンを巻いた手でパンチされた。
喰らった瞬間、自分から倒れる。
はい休憩。
「起きろオラァ!」
息を整えたところにイソノがチェーンで首を絞める。
イソノも息を整えてっと。
「オラァ!」
イソノの腹にボディーブロー!
イソノも喰らう寸前に倒れる。
つかれたにゃー。
「オラコラ! 死ねコラ!」
俺はイソノにパワーボム。
ここが! 一番重要だ!
「てめえが死ねコラ!」
持ち上げた次の瞬間、イソノが俺の頭を足で挟んでフランケンシュタイナー!
俺がマットに突き刺さった。
そのままサリーカウントで終了。
つかれたにゃー。
アマチュアじゃこんなもんだよね。
プロって凄い……。
「テメエらコラ! 人型戦闘機大会がんばれコラ!」
「ありがとうだコラ!」
ということで顔がボコボコになったのでそのままケビンのところに送られる。
超能力で治そうと思ったけど「人型戦闘機大会まで力を温存しろ」だってさ。
「きみは本当にバカだな~」
「ケビンが厳しい……」
「はいお尻出して!」
「なぜにお尻!?」
「痛み止めが強い薬はお尻なの!」
看護婦さんにズボン下ろされた。
「ら、らめ! らめえええええええええええ!」
ぷすっとな。
「あん♪」
「変な声を出すな!」
ケビンにお尻に注射された。
あたい……もうお嫁にいけないわ……。
というわけでお疲れさんの俺は貴賓席に戻ろうとしたら眠気が襲ってくる。
うーん眠い。
俺の近衛騎士団が心配そうに見る。
「くそ眠い……ちょっと意識途切れそうだから人呼んで」
「へ、陛下が倒れた!」
そうじゃなくて眠いのよ。疲れて。
邪魔にならないようにその辺の部屋に入って眠る。
すぴー。
起きると知らない部屋にいた。
いやコンテナの中にいた。
ほう……。
「妖精さん。なにがあったの?」
「あ、レオくん! いまどこにいるんですか!?」
「えーっとコンテナの中? おかしいな邪魔にならないように部屋に入って寝たんだけど……」
「……もしかしてシャワー室近くの左の部屋入りました?」
「わかんない」
「ゴミ置き場です。そこ」
「ほう……」
「ゴミと一緒に国王陛下が運ばれちゃったんです!」
はっはっは。困ったね。
「近衛騎士は?」
「追ってます! それなのに位置情報が取得できないんです」
はて?
端末を確認。
「オンだよ」
「あー、もう! 地図は? いまどこにいるんですか!?」
「えーっと。あれぇ?」
「なんですか?」
「一直線で宇宙港目指してるけど?」
「……拉致だったらどうするんですかああああああああ!」
「たぶん違うと思う。事故じゃね?」
直感死んでるけど。
でもさー、思うのよ。
俺を拉致してもいいことなにもないよ。
俺いなくてもクロノスの行政まわるようにしたし。
エースパイロット一人いなくても困ることないだろうし。
もーねー。
ただクロノスがバチギレするだけだと思うのよ。
「妖精さんこれ止められる?」
「了解。近衛騎士団と西条くんにも教えときますね」
「なして西条くん?」
「剣術大会でレオくんへの挑戦権を得たんです!」
「へえエディに勝ったんだ。すげえ」
「違います~。普通にやると対戦相手エディくんに固定なんでクジにしたんです。それで西条くんが勝ったんです」
「西条くんってそこまでバトル野郎だったっけ?」
「そりゃ剣術組はレオくんから一本取るのを目標にしてますから」
「エディでいいじゃん! だいたい同じくらい強いんだから!」
「レオくんはボス扱いなんです! あ、ハッキング終わりました! 停めますね」
「はーい」
ゴミを移動してた、おそらく陸上ドローンが停車した。
「うーん、どうしようかな。どこかでレンタルサイクルでも借りて駅まで行こうかな?」
「迎えを寄こすんで大人しくしてください」
「はーい」
運転席に人はいない。
いまは明確にクロノスと敵対してる勢力もいないしな。
事故だろ事故。
ウンコ座りして休憩。
その辺の小枝拾ってカワゴンの絵を描く。
いもいも~♪
すると車両が見えた。
おっと、迎えかな。
むかえ……。
戦車が来たね。
「レオくん逃げてください」
「クロノス軍?」
「いえ、パーシオン軍の演習車両です」
うわーお、露骨。
つまり。パーシオンに罪をなすり付けたい勢力がいるのね。
ほーん……。




