おまけ おっさん、泥水から飲み水を作る
どうやらこの世界のこの地方は、風土病があって死亡率が高いようだ。
感染源は水。
泥水みたいな水を飲んでいるからだ。
近くの湖も川も濁って泥水。
井戸を掘れればいいのだが、そんな技術もなさそうだ。
「助手、来いアルマ、エリナ、モニカ」
「はいな。なんや、病気の人が多そうやね」
「来たわよ。ええ、吐いたり下したりして。誰も掃除しないのね。これではさらに病気になる」
「闇の濃い場所と見受けた。不本意だが光をもたらそう」
状況を説明。
「村をどうにかするのは、まず掃除や」
「石灰を撒いたらどうかしら」
「光をもたらすには、浄化スキル」
石灰は安いから、試練としては簡単なので問題ない。
浄化や殺菌のスキルはちょっと試練としては難しいものとなるだろう。
まず、水をなんとかしないと。
ろ過するのは、桶と砂利と砂と活性炭と布で作れる。
桶と砂利と砂と布は現地の物を使えるとして、問題は活性炭だな。
活性炭は炭で代用できる。
炭ぐらいは現地で作って欲しいがまあいいか。
安いからザコのドロップ品で出せる。
いちおう、桶と砂と布もドロップ品に加えた。
ろ過器の作り方を教えたが、現地人はドロップ品を単体で使っている。
布とか機械で作れば安いが、手作りでは高くつくから高級品だ。
ダンジョンが流行るのは良い事だが、ろ過機を作れと言いたい。
石灰をゲロや汚物の処理に使う文化はできた。
そんなに手間ではないからな。
この世界の人にとって、白は特別な意味を持つ。
浄化とかそういう意味だ。
だから白い石灰を汚物に掛けるのは、忌避感がない。
汚物に石灰を掛けてから掃除するようになった。
死亡率も幾分下がったが、水を何とかしろよと言いたい。
泥水に水に細菌がいるんだよと言っても、知識のない現地人には無理だろうな。
ただ、炭がドロップ品で出るので、泥水を沸かして飲むのが流行り始めた。
死亡率がさらに下がった。
ろ過機はたしかに細菌は除去できない。
だけど、綺麗な水の方が良いだろう。
ろ過する速度が遅いのも難点だ。
コップ1杯の綺麗な水を作るのに何時間も掛かったらやっていけないのは分かる。
大樽で、巨大ろ過機を建設するべきか。
泥水を何年もに渡って飲んでいるので、泥水に忌避感がないのが問題だな。
ドロップ品に天然水を出すのはなぜか負けた気がするので最終手段にしよう。
さて、どうしようか。
「綺麗な水の美味さを教えたらどない」
アルマの意見は一理あるが。
「ドロップ品で出すと負けたような気がするからなしだ」
「売ったら良いと思うわ」
エリナの意見が妥当か。
俺はゴザを敷いて、500ミリペットボトルの水を売り始めた。
「その容器は良いな。容器だけ売ってくれ」
「そういうのはなしだ」
「まあ、しょうがないか」
綺麗な水よりペットボトルの方が大人気。
なかなか上手く行かないな。
だが、何人かは綺麗な水の虜になった。
もう綺麗な水しか飲まないと言っている。
ろ過機の作り方がダンジョンの入口にあると教えてやった。
ろ過機に慣れたら、こうやって広まっていくのだろう。
ペットボトルの水は病気にならない水としてはやり始めた。
ろ過機を作った奴は、それを沸騰させて、ペットボトルに詰めて持ち歩いたりしている。
病気にならないのが経験で分かるようになって、ろ過機と煮沸の合わせ技がもてはやされるようになった。
やっとか。
ボスのドロップ品として、飲み水衛生剤を出した。
これは1リットルに対して、数滴入れるだけで殺菌するという、塩素系の薬だ。
役立ててほしい。
殺菌のスキルは細菌に対する知識がないと威力が半減なんだよな。
スキルを使うのはイメージが大切だからだ。
だから、あえてドロップ品に入れなかった。
携帯用のろ過機はボスのドロップ品に入れたけどもね。
死亡率はゼロにはならないから、改善できただけでよしとしておこう。
文明が進めば、色々な発明がされて、劇的に改善するさ。
平均寿命が延びることは、こういう発明とかを助けるはずだ。
とりあえず、これで何十年か放っておこう。
また問題が起こったら、その時に対処するさ。




