出立前夜 王宮にて ディロンとアルシーア
この作品は『ノベルアップ+』にも掲載しています。
◇
「いい機会だから、君達の住んでいる区域について何か言いたい事があれば言ってくれないかな?善処するよ?」
「うわ!出た『善処する』!それって都合イイ言葉だよなー」
「まあまあ、シアシアっ。せっかく王様がこう仰ってるコトだし言わせてもらおうよ!アタシ達が住んでる区域ってボロ家が多くって、しょっちゅう外壁のレンガとか盗まれるんですよねー。アレなんとかして欲しいかなっ、て思います!」
「盗られたら盗り返す!ってのがルールみたいなもんなんだけど、あたしらみたいなか弱い女の子が立ち向かえる相手ばかりじゃ無いからさー」
――か弱いっ!?自分で言っちゃったっ!
とシルスは思うが、もちろん口にはしない。
「なるほど。善処しよう」
「王様、それ本気で言ってるー?なーんか王様の返事には中身が無い!」
――それをシアさんが言うんデスカっ?
ともシルスは思うが、それももちろん口にはしない。
「庶民の苦情はちゃんと僕の耳にも届いてるけど、即日全てに即対応ってなかなか出来ないものなんだよねー」
「それをやるのがお役人にとってはアタリマエだろー?アタリマエの事をアタリマエに!整理整頓清潔に!って教わらなかった?」
――なんか話がズレてるし、シアさんが整理整頓って言っても説得力に欠けますよっ?
とも、もちろん口にはしないシルス。
口にはしない、とは言うものの実際には口の中にはフルーツが詰め込まれていて喋れない。
というのがシルスの現状である。
◇
食事を終え、食後のティータイム。
ヴェンデルヴァイツが手元の鈴を鳴らすと楽器を持った三人の奏者が入ってきた。
弦楽器、打楽器、管楽器。リズムとベースとメロディがあれば、それはもう『小さな音楽隊』と呼んでも良いだろう。
その内の一人が。
「あれっ!?オジサマじゃないですかあ!わあー、スゴーい!偶然ですねえ!」
「やあ、ポニテリカちゃん!また会えて嬉しいなあ」
打楽器路上パフォーマー、ブロンとのまさかの再会にルーフェリカは少々大袈裟に驚いてみせた。
「せっかく『熾炫』の皆が揃ってるんだから、ちょっとだけ踊って欲しいなって思ってさ!モチロン、タダとは言わないよ?」
「まーた金のハナシかっ?金なら要らないよっ。今晩のメシ代って思えば安いもんだっ。あとな、あたしらは『熾炫弐式』って改名したから!」
「え、いつの間に?何が変わったの?」
と、ヴェンデルヴァイツが問う。
「新メンバーが加わったんですよ、ヴァイツ様っ!そこで美味しそうにお口をもぐもぐしてるシルスちゃんです!」
「ほえっ?」
シルスは食後のデザートとして出てきたカップケーキを吟味中。小柄な身体の割にはよく食べる娘である。
「おおー、新メンバー!いいねえ。常に新しいコトにチャレンジしていくその心意気や良しだよ、ポニテリカちゃん!」
と、ヴェンデルヴァイツも大袈裟に両手を広げてみせた。
「満たされたお腹では激しい踊りは無理だよねえ?とは言え!食後の軽い運動は、代謝を良くしてくれて寝付きも良くなるそうだから是非是非!皆で踊らないかい?」
「いーですねえ!アタシは賛成ですよー!みんなはどうっ?」
ルーフェリカは『踊り』と聞いてパッと表情が明るくなった。地味に静かに食事をするのはルーフェリカ達にとって肌に合わないし退屈だ。
もうオヒラキでいいんじゃないですかと思っていた所に、この余興である。
ルーフェリカをじわりと襲う睡魔も『踊り』の一言で吹き飛んでしまった。
「僕だって少しは踊りを学んでるからねえ。こんな機会はそうそうあるものでも無いし、ここは是非とも」
柔らかな微笑みを浮かべながらヴェンデルヴァイツが席を立ち、ルーフェリカの元に歩み寄る。
「お嬢様。僕と踊って頂けませんか?」
片方の膝を付いて右手を差し伸べるヴェンデルヴァイツ。
「えー!王様、アタシと踊って頂けるんですかっ?光栄です!」
並みの女性なら一瞬でとろけてしまうようなヴェンデルヴァイツの台詞と仕草。しかし、ルーフェリカは少しも動じる事無く明るく応える。
15歳のルーフェリカから見るヴェンデルヴァイツは『ちょっとカッコいいオジサン』ではあるが、胸がドキドキするような恋愛対象にはならないようだ。
しかも。
ヴェンデルヴァイツの服装は、襟無しシャツに短パン、サンダルといったふざけた格好である。女性を踊りに誘うには失礼千万の無作法者に他ならない。
それでもそんな事は気にせず、ルーフェリカはヴェンデルヴァイツに踊りに誘われた事を素直に喜んでいた。
「足踏んじゃうかもしれないけど、痛いって言わないでくださいねっ」
「モチロンだよ、ポニテリカちゃん!」
「あれっ?さっきはお嬢様って呼んでくれませんでした?」
「一応の礼儀だからねっ!ヘイカノジョ、オレと踊らなーい?とは言えないでしょ?」
「ヴァイツ様ならそっちの方がいいかも!あっははー!」
「ポニテリカちゃんは素直だねえ。はははー」
ヴェンデルヴァイツが指をパチッと鳴らすと、打楽器の緩やかなテンポから演奏が始まった。
それに続いて、高音を押さえた管楽器がムーディーなメロディを奏でる。
弦楽器は柔らかい音と固い音の両方を出せる12弦のものだ。
たった三種類の楽器による演奏だったが、その場にいる誰もが三人の息の合った演奏に耳を傾けていた。
「王様の前で演奏できるなんてスゴいコトだよねえ。あのオジサン、ただの路上演奏者じゃなかったんだねえ」
と、ルーフェルメがシルスにこそっと耳打ちする。
ボヨンと突き出たお腹。無造作に撫で付けられた髪。きちんとした服装に身を包み、路上で見かけた時より幾らかはマシにはなっているが『くたびれたオジサン』感は拭いきれない。
それでもヴェンデルヴァイツの前で演奏を許されるほどの腕前なのだから、人は見かけによらないものだとシルスは思う。
流れる曲は即興だが奏者三人の意思疎通はしっかりと取れ、リズムもテンポも乱れる事無く、奏でられる音が心地良く身体の中を流れていく。
――たった三人なのにスゴいなあ……
三人の演奏を聴いていると身体が自然と左右に揺れる。
そのシルスの隣にはルーフェルメがピタリと寄り添い、シルスと同じように身体を揺らし三人の奏でる音を楽しんでいた。
◇
「演奏に聞き惚れるのもイイけど、せっかくだから踊らないとね。では、失礼しますよ、ポニテリカちゃん♪」
と、軽い感じでルーフェリカの腰に手を回すヴェンデルヴァイツ。ルーフェリカもヴェンデルヴァイツの腰骨辺りに手を添えて緩やかにステップを刻む。
「王様、お上手ですねえ!さすがですね!」
「ポニテリカちゃん達の様にはいかないけどねえ。僕はポニテリカちゃんに合わせてるだけだし」
「ただ合わせるのだってけっこう難しいんですよー?」
ルーフェリカはお世辞では無く、素直に感じた事を口にしていた。無論、ヴェンデルヴァイツが社交的な踊りを踊れない筈はない。
派手なターンも激しいステップも無い、演奏に合わせて身体を揺らすだけの簡単なダンスだったが、ルーフェリカはとても楽しそうだ。
「ほらほら、ディロンとラズラットもさ!ステキなお嬢様をほったらかしにしておく気かい?」
ヴェンデルヴァイツがそう二人に催促すると、ディロンとラズラットは顔を見合わせて少々困惑の表情を浮かべていた。
「なんだよ、踊らねーの?騎士のクセして怖じ気づいてんじゃねーっつーの」
アルシーアが騎士二人を嘲るように挑発的な態度を見せるとディロンがスッと席を立ち、ふんぞり返るアルシーアの元に歩み寄って行った。
「おっ?ナニナニ?あたしと踊りたいってのー?」
「ええ。私と踊って頂けませんか?お嬢様」
――うわー。今日もイケボだなー、ディロンさん。
ナルミがふにゃふにゃになるほどの低く腹に響くディロンの声には魔力がある、と思うシルスだがアルシーアには全く通用しないようだった。
「しょうがねーなっ!踊ってやらんコトもないよっ!デロンデロンさんよ!」
弾けるように席を立つとディロンの手を取って、ルーフェリカとヴェンデルヴァイツの隣に引き連れていくアルシーア。
どちらがエスコート役か判らない自由な振る舞いである。
「おおー!美男美女って絵になるねえ!ほら!ラズラットもこっち来なって!」
ヴェンデルヴァイツに催促され、ディロンの後に続くようにラズラットも席を立ちルーフェルメとシルスの元に歩み寄り。
「僕と踊って頂けませんか?お嬢様」
爽やかな笑顔と共にラズラットが手を差し伸べたのは、ルーフェルメだ。
「わお。騎士様に誘われちゃったよう。行ってもイイかなあ?シルスちゃん?」
「えー?全然イイですよっ?わたしみたいなコドモが踊るような雰囲気じゃナイですし!」
「ルメちゃんはシルスちゃんと踊りたかったなあ……」
差し伸べた手を放置され、ラズラットはこの手をどうしたものかと思案する。
「ほら、ラズラットさん固まっちゃってますよ、ルーフェルメさん!」
「じゃあ、行ってくるね、シルスちゃん……」
「お手柔らかにお願いしますね、お嬢様」
ラズラットはやるせない。
女の子を踊りに誘って渋々と手を取られるのはこんなにも精神的ダメージがあるものなのか、と初めて学んだラズラットであった。
◇
ディロンとアルシーアは静かにステップを刻んでいた。
初対面で肩に担がれ尻を叩かれた事が嘘のような展開だが、これはこれで面白い体験だとアルシーアは思っていた。
――黙ってりゃイイ男なんだけどなー。余計なコト言ってオンナを怒らせるタイプだよなっ。
アルシーアがそんな事を考えていた時に、ディロンが独り言のように語り出した。
「……私には一つ歳下の妹がいた。妹も君と同じように髪を長く伸ばしていたよ」
「妹がいた、ってコトは……」
「……病で死んだ。原因不明のタチの悪いものだった。全身の体毛が抜け落ち、痩せこけ、皮膚もボロボロになり最期には妹の面影さえ残っていなかった」
「……」
突然何を喋り出すのかとアルシーアは困惑したが、黙ってディロンの話に耳を傾けてみる事にした。
「髪は女の命と言うが……少しずつそれを失っていくのがどれほど辛い事だったのか、当時の私には解らなかった。いや……今でも解っていないのかもしれない」
「……」
「次第に痩せこけ弱っていく妹の姿を見て、ある時、私は酷い事を言ってしまった」
ディロンはその言葉を口にする事を一瞬だけ躊躇い、苦いものを喉から絞り出すようにして呟いた。
「バケモノ、と」
アルシーアは黙ってディロンの話に耳を傾けていた。
だがその表情は決して明るくは無い。
明日からの竜退治に向けての壮行会というのならば、気分を高めるような話題を振るべきである。
にも関わらずディロンが語り出したのは、亡き妹への懺悔。何を言いたいのか、アルシーアには話の真意が掴めずに戸惑うばかりだ。
「妹は泣いていた。流す涙など、枯れ果ててしまっていた筈なのに」
静かに語るディロンに表情の変化は無い。
一瞬だけ躊躇ったその後は、ただ淡々と物語を聞かせるように他人事のように話し続けていた。
「妹の亡き骸を前に私は誓った。私は騎士になる。騎士となって弱き者達を救いたい、と。愚直でも清廉潔白な騎士でありたい、と」
「……妹さんの事は気の毒だったと思う。でも、それをあたしに聞かせてどうするっての?」
少々語気荒くディロンを睨むアルシーア。
「別にどうもしやしないさ、アルシーア」
「オンナを口説く気なら、もっとイロケのある口説き文句ってものがあるんじゃねーの?」
「年端もいかないジャジャ馬の小娘を口説くつもりなど無いよ、アルシーア」
「ああん!?」
突然のアルシーアの大きな声に演奏が一瞬途切れるが、すぐにリズムを取り戻し再び演奏が始まった。
「嫌われついでに言っておこう。君の言葉遣いはお世辞にも美しいとは言えない。それが君の良さだと言う者もいるのかも知れないが私はそうは思わない。辟易していると言ってもいい」
「は!?ナニが言いたいんだよっ!」
「ナルミ殿のような淑女を目指すのであれば、まず日頃の行い、自分の言動を深く省みる事を奨めるよ、アルシーア」
「シュクジョなんか目指してねーし。さっきからオンナを踊りに誘っておいてなんだよっ!フザけた説教される身にもなってみろ!」
「オンナ?目上の者への言葉遣いを知らない、跳ねっ返りのジャジャ馬をオンナとは呼べないよ」
「あたしはウマじゃねえっ!あー胸くそ悪っ!もういーやっ!なんなんだよっ!」
ディロンの手を振りほどき、大股でその場から離れるアルシーア。
振り返りもせずに足早に部屋を出て行く。
足早に立ち去るアルシーアのその背を追わず、ディロンもスッと踵を返した。
シルスは何が起こったのか検討もつかず、事の成り行きを見ているしか出来なかった。
――えっ?ケンカしちゃったっ?急にどうしたのかなっ?はた目には仲良く踊ってるように見えたのに……
「シアシアっ!待ってっ!ラズラット様っ、ごめんなさいっ失礼しますっ」
ただならぬ状況にいち早く反応したのはルーフェルメだった。イブニングドレスの裾をたくしあげ、アルシーアの後を追いかけて部屋を出て行った。
「あっ、アタシもっ!ヴァイツ様っ、ごめんなさいっ!」
ルーフェリカも二人の後を追いかけて行く。
踊る者がいない、演奏だけが続く部屋。
若く美しい華を一瞬にして三つも失ってしまうと、途端に部屋の雰囲気が変わってしまった。
華、と呼ぶにはまだまだ幼いシルスは、この重い空気に耐え切れない。
「あのっ!わたしもシアさん心配だからっ!失礼シマスっ!あのっ!明日からの竜退治、頑張りましょうねっ!ディロンさん!ラズラットさん!」
追い立てられるように早口でそう言うと、シルスもその場から逃げるようにして部屋を出て行った。
ヴェンデルヴァイツが片手を挙げ演奏を止めると、殊更に華を失った部屋の空気が重くなる。
「あーあ、行っちゃった……」
ルーフェリカにフラれたような形になり、ポツンと取り残されたヴェンデルヴァイツがぽそっと呟き、ディロンに向き直り。
「女の子を怒らせちゃいけないよー、ディロン」
「……はっ、申し訳ございません」
と、ヴェンデルヴァイツに頭を下げるディロンだったが。
「僕に謝ってもなんにもならないよ。アルシーア君は、今は気が立ってるだろうからそっとしておいた方がいいだろうねえ。明日、ちゃんと謝っておくコト。イイね?」
「……はっ。了解いたしました」
アタマの固い返事だねとヴェンデルヴァイツは思ったが、ここは黙っておく事にした。
「こんなカタチになっちゃってすまなかったね、みんな。今日はここまでだ」
演奏者三人も不完全燃焼な表情である。特に、ルーフェリカをもっと見ていたかった打楽器奏者ブロンは、至極残念そうであった。
◇
「あー、くそっ!腹立つヤロウだなっ!」
ふてくされ、イブニングドレスのままベッドに潜り込むアルシーア。
踊りの場で小娘扱いされた事、口調を咎められた事が腹立たしくて仕方がなかった。
笑って許せるほど大人では無いし、嫌みの一つでも言ってオホホと高笑い出来るほどの図々しさも持ち合わせていない。
亡くなった妹への懺悔が騎士を目指すきっかけになったと聞かされた所で、それはアルシーアの心には響いて来なかった。
――何が言いたかったのか、わかんねーやっ。
結果その場から逃げ出しベッドに潜り込む、という子供のような行為しか出来ない自分自身にも腹を立てているアルシーアであった。
潜り込んだベッドに誰かが近付いて来る足音がする。
きゅっ、と小さな音を立ててベッドが軋む。
背中越しにでも感じる柔らかなこの気配。
アルシーアは誰がベッドに腰掛けたのかがすぐに判った。
「……そういうトコ、リカと全然違うよな。双子なのにな」
「んー?どういうトコぉ?」
――放っておけば勝手に立ち直るのに、そうやって側にいてくれるトコロがさ。
そう言いそうになるのを留めて、アルシーアはベッドの中から一言だけルーフェルメに告げた。
ありがと。
「んー?シアシアなんか言ったぁ?」
「……なんも言ってねーよっ」
「久し振りに一緒に寝ようかあ?ウフフ♪」
「ルメが言うとなーんかやらしいんだよなあ。でも、そーだなっ。一緒に寝るかっ!ふかふかベッドなんて滅多に寝られるモンじゃないからなっ」
「えっ、シアシアったら積極的だなあ♡」
「ヘンなコトしたら蹴落とすからなっ」
「えー?ヘンなコトってえ?保証は出来ないなあ♪」
「あっ!二人してイチャイチャしてるー!ルメったら、ズルいぞう!うりゃあっ!」
「わあっ!リカっ!?」
ルーフェリカがベッドに潜り込むアルシーアの上に覆い被さるようにダイブすると、中にいたアルシーアが驚きの声をあげ即座にベッドから飛び出してきた。
「やったなー?よっしゃ反撃ぃ!」
「わあっ!やだっシアシアっ!ヘンなトコに手ぇ入れちゃダメっ!」
「ルメちゃんも参戦っ!手加減しないよう?」
ルーフェルメが両手の指をイヤらしくうねうねと蠢かせる。
「あー!2対1はヒキョーだぞっ!」
「「いくよー!それぇ!」」
見事にハモる『茶髪の双子』がアルシーアに襲いかかる。
堪らずベッドに仰向けに押し倒されるが、そこは『流転空』の使い手。簡単には上を取らせない。
「ルメのおっぱいいただきぃ!」
「あっ!やだあっ!」
「シアさんダイジョブですかー……って、みんなでナニしてるんですかっ」
寝室に入ったシルスが目にしたのは、イブイングドレスをはだけ、あられもない姿でくんずほぐれつじゃれ合う三人の姿。
アルシーアがうつ伏せになっているルーファリカに馬乗りになり、さらにルーフェルメの大きな胸を背後から鷲掴みにするという乱戦模様だ。
「シルスちゃんも来なよっ!楽しいよー!あっははー!」
「また三人はもうっ!なんでそうなっちゃうんですかあっ?」
「つべこべ言ってないでほらっ!シルスもっ!」
「えっ!?また巻き込まれるんですかっ?わあっ!」
アルシーアに腕を取られふかふかのベッドに引きずり込まれるシルス。
「いつでも何処でもわちゃわちゃになっちゃうんデスネっ!」
「それがアタシ達だよ、シルスちゃん!あっははー!」
仲良き事は美しきかなとは言うものの、ものには限度がありますよ、と言いたくても、ベッドに押さえつけられ、ふがふがとしか言えないシルスであった。
◇
明日から始まる竜退治という名の竜調査。
遊び疲れた四人がイブニングドレスを脱ぎ各々のベッドに身体を休ませる頃には、日付が変わる時間になっていた。
――この四日の内に何とかしてデロンデロンのヤロウをギャフンて言わす!見とけよー!
――これもいい人生経験!どんな小さなコトでも踊りに繋がる何かがあるハズ!頑張ろう!
――シルスちゃんとの冒険!みんなでお揃いの防具!ウフフぅ楽しみぃ♪
――竜退治かあ。ちょっと楽しみ!竜の乙女のコトがちょっと気になるけど、それはわたし達とは関係ないよね、きっとね!
四人の少女がそれぞれの思惑を胸に眠りに付く。
待ち受けるのは試練か、楽しい旅行か。
次話『再び出会った相手とは』
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