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「まぁとりあえず言えることは、人間ではない、という事ですね」
俺がそう告げると、ギルドマスターは目を細め、バルドさんは目を見開く。
「………それで種族は?」
あぁ、種族も言わなきゃいけないのか。少し探ってみようかな。
「それを知ってどうする気ですか?」
「なに、ただの興味だよ。この街に害をなさないならそれで構わないが、この街に滞在するなら把握しておきたいだろう?」
だから早く言いなさい。
なんか目がそう言ってる。こわい。
バルドさんが気の毒そうな目でこちらを見ている。
しょうがないか。
「………竜帝。旅の目的は八皇竜を目覚めさせること」
そう言って初めて、ギルドマスターは表情を変えた。
バルドさんなんて、口も大きく開けている。
「………ほう、目覚めていたのですか。竜帝は」
「マジかよ………」
「………随分あっさりと信じるんですね」
普通疑うでしょう普通。
「いやまだ半分は疑っているけどね。…………君の本来の姿が見たいね」
「………ここでですか?」
「おや見せてくれるのかい?」
「そうでもしないと、貴方は納得してくれなさそうですからね」
それに、断ったら何が起こるか。
それに、アイちゃんに頼んでもこの人のステータスは、名前しか見えなかった。
なんでこんな人が最南端の街のギルドマスターなんてやっているんだろう。
そうして場所を移しました。先程の試験をしたでっかい空間です。
「結界張りましたから、どうぞ」
笑顔で催促するギルドマスターに、バルドさんは心なしか目をキラキラさせている気がする。
『強力な結界が構築されています。破壊と結界内の視認不能です』
ファッ!?!!
なにそれつよい。
俺は人化を解いて、ドラゴンの姿に戻った。
「………ふむ、本物だね」
「見分けがつく何かが、あるんですか?」
「おや知らないのかい。……竜帝は額に紋章があるんだよ。そして、光を反射して七色に光る翼。それらは全て竜帝だけが持つものなんだよ」
そうだったのか。
「………詳しいですね」
「昔は竜族について調べていたからね。冒険者として、竜帝について調べることは最早常識なんだよ」
は?常識?なんで?
「それに竜帝の加護を得たものは必ず英雄になるからね。今から千年前に竜帝が眠りについてから、魔獣は活発化するし、今や各国に一人しか英雄はいないからね。英雄になりたければ竜帝に認められてなること。それは冒険者の夢でもあるんだよ」
今の英雄は王が選んだ力ある者だからね。
そう述べて俺の姿をまじまじと眺めるギルドマスターに、触ってみますか?と訊いたら目を輝かせた。
輝かせた!?!
「………触れていいのかい?」
「別に構いませんよ。減るもんじゃないですしね」
触れるくらいなら構いませんよ。
ギルドマスターは恐る恐る近付いて、そっと手を伸ばす。
「…………これが竜帝の鱗。薄く表面に魔力の膜が張ってある。竜帝の鱗は魔法を弾き、傷一つ付かないという。そんな鱗で防具を作ればそれは無敵の防具になるはず。いや、鱗を武器にするのもいいかもしれない。削って薬に混ぜれば妙薬になるかもしれない。………研究したい………」
ちょ、待て怖い。え、怖い。
研究したい?研究したいって言った?
「………ギルドマスターは研究者なんだ。そして竜帝……総じて竜族を調べる学者でもある」
ぼそっとバルドさんが、俺に教えてくれた。
まじか。じゃあここは借りを少し押し付けてやろう。
俺は器用に牙でひっかけて、鱗を1枚外す。それを、ギルドマスターへと咥えたまま向ける。
「………え?まさか」
咥えているから話せないんですよ。だから、身体を近付けて鱗をギルドマスターの身体に押し付けた。
恐る恐る受け取ったギルドマスターに、人の姿に戻って、
「別に鱗の一枚くらい差し上げますよ。どうせ時間が経ったら再生するみたいですし」
アイちゃん情報です。
よくあるバックラーみたいな大きさの鱗を見て、ギルドマスターが動かなくなった。
………いや、よく見ると口元は動いてる。小さいけど何か言ってる。
見なかったことにしよう。
俺はバルドさんと顔を見合わせた。
「ああなると当分は戻ってこないだろ」
「………じゃあ魔法の練習しててもいいですか?」
「お、いいぜー見ててもいいか?」
「いいですよ。………最近目覚めたばかりなのですごくないですよ?」
「別に構わねぇよそんなの。見ていたいだけだ」
おお、かっこいいぜ。
じゃあ何かあったら助言を乞おうかね。
俺達はギルドマスターから距離を取って魔法の練習をする事にした。




