第百十四話「届いている」
三度目の夢は、以前より鮮明だった。
光の中に存在がいて、今回は言葉がより明確に届いた。言語としての言葉ではなく、意味が直接届くという感覚は変わらなかったが、その輪郭がはっきりしていた。
「お前の言葉は聞こえている」と存在は言った。
「夢の外でも練習しています」と蒼は答えた。
「知っている。届いている」
「いつから聞こえていましたか」
「お前が最初に補助炉に接続したときから、少し聞こえるようになった。声ではなく、気持ちとして届いている」
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「一つ聞かせてください」と蒼は言った。「あなたが次に進む、というのは、どういうことですか。ただ消えるということですか」
少し間があった。
「消えることと次に進むことは違う。形が変わるということだ。今は封印の下にあって、この形しかない。次に進んだとき、もっと自由な形になれる」
「それは良いことですか」
「良いことだ。ただしそれには、自分が作ったものが続いているという安心が必要だった。心配しながらは進めない」
「それを俺が伝えに行きます」
「わかっている。だから待っている」
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目が覚めた。窓の外に星が見えた。
夢の内容を書き留めてから、センに連絡を送った。夢の内容と補助炉との接続が深まっていることの関係を共有するためだ。
翌朝、センから返信が来た。「観測データと一致しています。接続が深まるにつれて、封印から外に出る信号が増えています。良い方向です」
チームに話すと、全員が少し安心した顔をした。
「あと何年かかりますか」とリーナが聞いた。
「センの観測では、早ければ一年を切るかもしれない」
「そうですか」
「もうすぐ終わるかもしれません」
その言葉が部屋に落ちた。もうすぐ終わる。炉の問題の始まりから、長い道のりがあった。一年以内に、その終わりが来るかもしれない。




