47話 コリーズ一家
コリーズ一家は、隣町のニューウェーブに行く途中だった。
そして、コリーズ夫妻には、息子2人に娘3人の子供が一緒だった。
一様な草原で車を走らせていると、突然激しいスコールに突入することになった。そして、10分後に通り抜けたと思ったところは深い森の中で、世界が一変したのだ。
神崎歴1634年5月10日。サクヤ19歳の夏。
ここは、魔女の保護区にある漁村のカカチ村であり、2番目の神殿がある。
もちろん、一番目は、魔女の家の北側にある。
コリーズ一家は夫のビル、妻のケーシー、長女のアン、次女のケイト、3女のカナ、長男のサム、次男のアムルで、構成される。
ビルは、目の前の海原と足元の草原を見た。
50M先に横長に200Mぐらいの堀があり、その向こうにも堀が5つほどある。その先は土塁が高さ3Mぐらいで築かれている。
「ここは、どこだ!」
土塁の中央から、人が数人出てきて、テーブルや椅子を並べた。
女の子が居て、こちらに来いというのか、手招きをしている。
前回のウサギ族の転移事件から、1か月が経った今も忙しい。
「Hallow!」
おっ、英語ですわ。アメリカの田舎から来たような雰囲気ですわね。
と、アイリスがつぶやく。
「Please sit down」
7人がそれぞれ、用意した椅子に座った。
こんな転移者なら、楽でいいんだけどな。
「俺はサクヤ、このゲートからの転移者を導くものだ。
右から、この星の管理者である、魔女の代理人のアイリス、フローラ、ダニス、ジジ、ドラコ、シンである。」
「私はビル、妻のケーシー、長女のアン、次女のケイト、3女のカナ、長男のサム、次男のアムルです。」
礼儀正しいな。でもこちらの話は信用していないようだ、まあ子供ばかりだし、”びっくりカメラ”かなんかと思っているようだ。
「ところで、どこの国からきたのかな?」と俺が尋ねる。
「ブバルディア国のミズキ町から。」とケーシーが応えた。
「ねえねえ。どこの放送局? オンエアされるの? 」と次女のケイトがまくしたてる。
「そんなわけねだろう! だまれ!」と次男のアムル。
わいわいがやがやと やかましい!
「ところで、我々の車が見当たらないのですが?」とビル。
「ここは、文明レベル3です。産業革命前ですので、原動機はありません。よって没収しました。」とアイリス。
「えーぇ。あれが無いと、ローンも残っているし。 返してくださーい。」とケーシー。
どうも、話がかみ合わない。 自分たちが、今までとは異なった世界に来たとは思っていないようだ。
3女のカナは、なんとなく、そうではないかと思っているようだが、末っ子の話など耳を傾けようとしない。
ショック療法をやってみようか。
「ドラコちゃん。 ドラゴン形態になってみてくれる。 」とフローラ。
「了解!」とともに、ドラコちゃんがドラゴンに変身した。
背丈は5M 翼を広げて立ち上がった姿に、コリーズ一家は固まった。
「ほら、だから言ったじゃない。ここはお伽の国よ。 私はハーミーになるの。」とカナ。
こりゃ、終わらないわ。
ということで、一家を連れてカカチ村の村長の家に来た。
「村長のイルバでございます。」
「この者たちの世話を頼む。」と俺。
「ビルさん。こちらの世話になってください。習慣の違いがありますが、無理を言わないように。」とハナ。
「いろいろ質問があるかと思いますので、こちらのドラコちゃんを置いてゆきます。 彼女を怒らせないように注意してくださいね。」とハナが釘を刺す。
6人とも顔面蒼白で大きくうなづいた。
末っ子のカナちゃんは、ドラコちゃんの手を握ってにこにこしていた。
今回は比較的楽な件だった。後で様子を見にこよう。
「カナは、ハーミーになるの!」と5歳のカナが叫ぶ。
「ぱっぱっと、呪文を唱えると、ケーキもバーガーも出てくるの!。ピーマンは出てこないの!」
「カナは元気で良いね。 パパとママは村長にこれからの生活について相談してくるよ。」
農家で作物を作っていたと村長にはなし、今すぐ7人が食べて行ける方法が無いか相談した。
「そうですね。 衣食住の支援は3年間サクヤ様からあります。追々やってゆきましょう。 そうそう、必要なものをおっしゃていただければ、サクヤ様に連絡します。」
「私も手伝うから、頼りにしてね。」と横からドラコが声をかけた。
でも、皆の目は怖がっていた。
「5歳から12歳の子供達には、プチダンジョンというものがあります。結構お土産が出てきますので、一度、この辺の子供たちと一緒に遊びに行かれたらどうですか?」とドラコがケーシーに進めた。
ちょっと村から離れている空き家を、村長のイルバから譲り受けた。 コナーズ一家はそこを拠点にすることにした。また、早速、翌日の朝から他の農地の様子や、分けてもらった農地を見て回った。
良い土だ。今からだと夏野菜が何とかできそうだ。村長に相談したら、種や苗を分けてもらえた。
しかし、ブバルディア国のミズキ町ではトラクターを駆使した大規模農業をやっていたビルには、大いに勝手が違う。 鍬と水桶で自力で耕作するのは、骨が折れる。
「いやー。まいった。 見よう見まねでやれるかと思ったが、これは大変だ。」とビルがこぼした。
「そうね。明日からは子供たちも耕作に出るようにしましょう。 」とケーシー。
子供たちはそれぞれに主張するが、ここは農家の子供。翌朝には、元気よく整列してビルの指示を待っていた。
まあ、これなら打ち解けて行けそうだな。大丈夫とドラコの見立てで、サクヤに報告した。




