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Pandora(改稿版)  作者: あすか@お休み中
第3章:鋼鬼狩りの俺は最強剣士……かな
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鋼鬼うろつく駐屯地

 痩せこけた男たちが働く田畑と、そこを統治する小太りの男がいる元々庁舎だったと思われる建物。その建物の中にいたのは、痩せこけてはおらず、目つき鋭く、体格のいい男たちだった。

 福原は言った。


「あの者たちは、他国の兵が民間人に偽装しているのだ。

 それだけに、本性を表さない限り、民間人相手では私たちも手出しできない」と。


 だが、それだけではなく、こうも付け加えた。


「痩せこけて労務に服する男たち。

 占領されるとはああ言うものだが、この国はまだ占領された訳じゃない。

 有吉さんたちを、あんな風にさせる訳にはいかない」と。


 そんな福原はコロニーを土居に任せ、上本と沢井、武本を連れて、コロニーを出た。

 向かう先は、そのコロニーから少し離れた位置にある軍の駐屯地。

 そこから兵を派遣し、コロニーを管理してもらおうと言う事だ。


 そのコロニーは俗にいう地方都市から少し離れた場所にあった。道路に沿って設けられた金網の向こう側がその敷地だが、木々が邪魔していて、その内部の様子はうかがい知れない。道路上はと言うと、地方都市の外れだと言うのに、結構な数の鋼鬼たちが彷徨っている。


「もうすぐ正門です」


 上本がそう言いながら、減速を始めた。

 近づく正門には、鉄製と思える大きなスライド式の門扉が設けられているのが、見て取れた。門扉は敷地の内部が見て取れた。その門扉はよくあるいくつもの金属の柱状のもので構成されたもので、敷地内部を見て取れる構造だった。

 正門からまっすぐに敷地内に伸びる道路と、正門入ってすぐの所に立つ小さな建物は守衛所のようなものだろうか。そして、いくつかの建物。


「これは」


 正門近くに止めた車の中で、福原が呻くように言った。

 敷地内をうろつくいくつかの人影は、ここの隊員ではなく、赤銅色の肌をした鋼鬼だ。


「門を開けますので、援護をお願いします」

「沢井さんは内部から、荒木君は周囲の鋼鬼を駆除してくれないか」


 上本の依頼に対し、福原が素早く応えた。

 ドアを開き、一斉に俺たちは飛び出した。

 みんなの動きは素早く、俺がレーザーソードを構えた頃には、上本は門扉を飛び越えようと、門扉に飛びついており、超人の沢井に至っては、敷地の中で正門近くの鋼鬼を倒し始めていた。


 俺も負けられない。

 この世界を元に戻すため。

 愚かだった俺の贖罪として。


「うぉぉぉぉ」


 雄たけびを上げて向かってくる鋼鬼に向けて、レーザーソードを振り下ろし、その肉体を真っ二つにする。

 鋼鬼が野獣と違うところが、もう一つあった。

 恐怖心と言うものを持たないのか、仲間があっさりとやられるのを目の前にしても、怖気づくこともなく、向かってくる。

 そんな別の鋼鬼の胴体を薙ぎ払い、上下真っ二つにする。

 俺が近くにいる鋼鬼たちを駆逐するよりも前に、正門が開き始めた。


「入るぞ」


 いつの間にか、運転席に座っていた福原はそう言うと、車を駐屯地の中に向けて、動かし始めた。辺りに注意を払いながら、福原が乗る車に続いて、駐屯地に入ると、上本が今度は正門を閉じ始めた。

 敷地内の正門近辺は沢井の手にかかり、うろつく鋼鬼の姿は無くなっていた。


「本部隊舎に向かう」


 福原はそう言いながら、敷地の右手の方に建つ建物を指さした。


 敷地内にいる鋼鬼たちが身につけているのは、隊員の服装とはかけ離れた一般人の服である。この敷地内を我が物顔でうろついているのは、外部から入って来た鋼鬼らしい。

 フェンスを乗り越える知能など無い事を考えると、どこかに穴が開いているのだろうなんて、考えながら、沢井と鋼鬼を駆逐しながら、福原が指さした本部隊舎前までやって来た。


「内部にもいるかも知れない。

 注意しろ」


 そう言って、本部隊舎のドアを福原が押し開いた。

 薄暗い廊下の中は静まり返っていて、鋼鬼がうろつく気配も感じれない。


「どこに行くんですか?」

「ここに生存者がいたら、シェルターに避難している可能性がある」


 福原の言葉からして、どこかにシェルターが設けられているらしかった。

 沢井が偵察を兼ねて、進路の先を様子をうかがいながら進み、俺は福原の警護のため、その直前を固め、上本と武本は福原の脇を固めて進む。

 上本はともかく、武本は戦力にならんだろうと言う気がするが、その事には触れない。


 福原はある部屋に入った。


「ここですか?」


 その部屋もそうだが、幸いな事に、鋼鬼は今のところ会っていない。


「そうだ」

「よくご存じですね」

「幹部は二年に一度、異動となるからね。

 ここにはかつていた事があるんだ」


 そう言いながら、部屋の片隅の床を足で、ドンドンとリズムをつけて踏みつけて、しばらくすると床がぱかりと開いて、男が姿を現した。


「貴官は?」


 福原の服装から、同じ軍人と認識したらしい男が、福原にたずねた。


「第43普通科連隊の福原です」


 そこから二人の話は始まり、ここの状況が分かった。

 鋼鬼が現れたあの日、鋼鬼退治に部隊は出動したらしいが、結局増殖する新たな鋼鬼の前に敗退し、反撃の策を練るため駐屯地に閉じ籠った。

 国内全てが鋼鬼に覆われ、各地でコロニー化が進むと共に、政府の統治能力が弱まると共に、ライフラインが停止し、各駐屯地との連携も取れなくなり、反撃どころではなくなってしまったところに、突然大量の鋼鬼たちが侵入して来たとの事だった。

 そして、生き残った隊員たちはシェルターに避難するのがやっとだったらしい。

 福原は、そんな隊員たちに有吉を連れて行ったコロニーに進駐する要請を行い、快諾を得た。

 重武装の兵力を前に、謎の男たちは一般の外国からの観光旅行客を決め込み、痩せこけたこの国の人たちの状況改善に成功した。


 そして、俺たちは再び首都を目指し始めた。

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