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EP 2

ターゲットは成金! ゴルド商会会長・オロチ

アルニア領の商業区、その一等地にそびえ立つ悪趣味な黄金のビル――『ゴルド商会』本社。

最上階の社長室では、分厚い葉巻の煙が紫色の雲を作っていた。

「ガハハハハ! ええぞええぞ、アルニア領の景気は最高や! ワシの懐にも金貨がザックザクやでぇ!」

純金無垢のデスクに足を投げ出し、下品な笑い声を上げている男。

彼こそがゴルド商会会長、蛇目族のオロチ(50歳)である。

派手な柄シャツに、首にはジャラジャラと重たそうな純金のネックレス。腕には純金の腕時計をギラつかせ、見た目は完全に「昭和のパチンコ屋の社長(成金全開)」そのものだった。

金と権力こそが世界のすべて。それがこの男の信念だ。

「しかし、最近のテレビはつまらんなぁ。ワシがスポンサーになっとるアルニアTVも、もっとパンチの効いた番組を作らんかい……ん?」

オロチが葉巻の灰を落としたその時。

厳重なはずの社長室のドアが、スパーン! と勢いよく開かれた。

「失礼しますの! オロチ社長!!」

そこに立っていたのは、くたびれた芋ジャージに健康サンダルという、およそこの場に似つかわしくない格好の人魚――リーザだった。

公園の野良犬と廃棄弁当を巡って培った『野生のステルス能力』で、見事に警備員をかいくぐってきたのだ。

「なんやワレ! どっから入ってきた! 乞食に恵む金なんか……」

「社長、今日は素晴らしい『ビジネスの提案』と、極上の『手土産』をお持ちしましたの♡」

怒鳴りつけようとしたオロチの鼻腔を、暴力的なまでの香りが殴りつけた。

――焦がし醤油と、極上のバターの香り。

リーザの手には、黄金に光り輝く一本のとうもろこしが握られていた。

「な、なんやその美味そうなトウモロコシは……ッ! ワシの蛇の嗅覚が、これ以上ない極上の品やと告げとる……!」

「ルナミス帝国でも手に入らない、超特級品の『ロコシ』ですの。社長、半分いかがですか?」

リーザはニッコリと微笑むと、その『ずっ友ロコシ』をパキッと半分に折り、片方をオロチに差し出した。

「ほ、ほう。そこまで言うなら、一口だけ……」

オロチは警戒しつつも、食欲の魔力に抗いきれず、その黄金の粒にかじりついた。

リーザも同時に、残りの半分を口に放り込む。

その瞬間――。

ピシャアアアアアンッ!!!(謎のファンファーレ)

二人の脳内に、謎の電撃が走った。

視界がキラキラとしたピンク色のフィルターに包まれ、互いの背中に『ズブズブの共犯関係』という文字が浮かび上がる(幻覚)。

「あ、あれ……? なんや、急に目の前の小娘が、ワシの人生のかけがえのないパートナーに思えてきよったで……!?」

「オロチ社長……いいえ、オロチおじ様♡ 私、ずぅっと貴方のことが大好きで尊敬しておりましたの!」

倫理観、常識、身分差、そして出会ってからわずか3分という時間。

その全てが、禁断の魔植物『ずっ友ロコシ』の力によって完全消滅した。

「おお……おお! リーザちゃん! ワシの可愛いズットモのリーザちゃんやないか!!」

「オロチおじ様ぁ! 私、どうしても叶えたい夢があるんですの! テレビの、地上波のトップアイドルになって、世界中からスパチャ(愛)を巻き上げたいんですの!」

リーザが芋ジャージの袖で涙を拭うフリをして上目遣いをすると、完全に洗脳ズブズブ状態のオロチは、葉巻をふかしながらドンッと胸を叩いた。

「ガハハハハ! そんなもん、ワシの力にかかれば一瞬や! アルニアTVの偉いさんには、ワシからたっぷり『袖の下』が行っとるからな!」

「本当ですか!? でも、どの番組に出れば……」

「そうやな……アルニアTVで一番視聴率を持っとるのは、日曜朝の子供向け歌番組『ポロロロン♪』や! よし、リーザちゃん! この番組のメインゲスト枠、ワシのコネと権力で今すぐねじ込んだるわ!!」

「流石は私のずっ友! オロチ社長ゥ♡ 最高のスポンサーですの!!」

成金の権力者と、強欲なポイ活人魚。

アルニア領の放送史に残る、最悪の癒着がここに成立した。

「さぁ、行くでリーザちゃん! テレビ局の連中に、ワシらの力を見せつけたるわ!!」

「はいっ! 伝説のスパチャアイドルの幕開けですのーっ!!」

この数日後、アルニア領全土の子供たちを恐怖のどん底に陥れる大放送事故が起きることを、二人はまだ知らない――。

お読みいただきありがとうございます!

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