40 ラティフォーナ侯爵家に来ました②
その後、30分ぐらいの間待つとようやくメリー様が非常に慌てた様子でやってきた。
「遅くなりましたわリーン様。すみません、レッスンが思っていたよりも長引いてしまって。私がリーン様を招待したのに。」
そう言い、落ち込んでいるメリー様を見て、私が1番に思うことそれは、天使レベルの可愛さをありがとうということだ。ああ、なんか子犬の耳みたいなのまで見えてきた。
ここまで、申し訳なさそうにされるとなんとも言えない気持ちになるわ。
「大丈夫ですよ。そんなに待ってもないですし、それに私が話を聞きたいって頼んだんですもの。」
そう言うと、あからさまに瞳を輝かせ喜んでくれた。
「良かったですわ。許してもらえて」
「当たり前のことですから、気にしないでくださいね。」
「わかりましたわ。」
「どこで話をしますか?」
そう聞くと、メリー様は少し考えた後、先程見た見渡す限り薔薇が咲いている庭園まで案内をしてくれた。
そこで、私たちは執事さんに飲み物や軽く食べられるお菓子だけ、用意してもらいお茶会のような状態になった。
「それにしても、本当綺麗なバラですね。バラの香りでもなんだか和みます。」
「ありがとうございます!」
あれ、なんかメリー様の顔が暗くなってきちゃった。バラの話ってもしかしてタブーだったりしたのかな?
でも、こんな綺麗なバラなんだもん、褒めたくもなるよ!
「あの、どうかしましたか?」
そう、私が聞くと慌てたようにメリー様は返事をした。
「いえ、なんでもありません。ただ、バラは私にとって憧れでもあり、また辛い存在でもあるのです。」
憧れなのに、辛い?
んー、全然分からないな。
「憧れてるのに、辛くなる理由でもあるんですか?」
「…ええ。私には、決して似合わない花ですから。」
「何言ってるんですか!こんな、美しくて可愛らしい天使のようなメリーに似合わないわけないじゃない!もはや、メリーのために育てられたような花ですよ!」
と、テンションが上がった結果マシンガンのごとく言葉を発してしまった。
まあ、ここにはラーナもいないし、お母様もいないからおしとやかでは無かったけど、言いたいことを言えたことには、後悔はしてない。
ただ、メリーにとっては、想定外だったのか、大きく目が見開かれている。
「…。」
「あ、ごめんなさい。気分を悪くしちゃったかしら?私が急に馴れ馴れしくメリーなんて呼んだから。」
そう聞くと、メリーは今度はブンブンと左右に顔をふった。とりあえず、呼びすてはセーフだったっぽいので良かったわ。
「むしろそう呼んで欲しいですわ!」
「え?いいの?ありがとう!!」
「…。あはは。やっぱり、リーン様は私の憧れで目指すべき最高の人だわ!」
と、今まで見てきた中で最高の笑顔で本当に嬉しそうに笑ってくれた。
私もなんだか嬉しくなり、お互いに大声で笑いあった。
「リーン様!私の話を聞いてくれますか?」
「もちろんよ!でも、その前に様は平等じゃないでしょ。リーンでいいよ!」
「え、でも!私は、侯爵家の令嬢ですので、身分が…」
「そんなこと気にしないよ!」
「でしたら、そう呼びます。」
その後、私はメリーから一通り話を聞いた。
………
「そんなことがあったのね。」
「はい。」
今のメリーからは想像できないけど、昔の私みたいに大変な目にあってきたということは、すごくよくわかった。
それと同時に私的に侯爵にガツンと言ってやりたい気分にもなった。
「シン様とは、どうして仲が良くないんですか?」
「…。どうしても、お兄様と話すと昔の内気な私に戻ってしまうんです。あの、無関心そうな瞳で見つめられるといたたまれなくて。」
「今でも、仲良くする気はありませんか?」
「仲良くはなりたいですけど、お兄様も、私のような妹がいることが嫌になってるんだと思いますわ。私は、お兄様に比べればただの役立たずですもの。」
誤解が二人の間で生じてしまっている気がする。このままだとなんだか、私も落ち着かし、こうなったら強硬手段だわ!
「お話はわかりました。メリーちょっと、待っててね!私が解決してあげる」
そう言い、ウインクをし、シン様を探しに出かけた。
…
いない!どうしよう!
このままだと私の思いついた作戦が、出来ないわ!
こうなったら、あれをやるしかない。
「大地に眠りし、氷の精霊よ。我が探し人までの道のりをさし示せ。アイスロード。」
そう、詠唱すると吹雪のあとのように氷で固まった道が一直線に伸びていった。
で、できた?
最近、上級魔法をクリアし、自分で超級魔法に挑戦しているけれど、全く出来なかったのに!闇魔法以外でも探索がようやく使えるようになったわ。
あ、そんなことより、今はシン様を探すことだわ。
…
氷の道は再びバラの庭園の方へ向かってできていた。後を追うと、どうやらさっきお茶を飲んでいた方に向かっている。
あ、居たわ。
どうやら、シン様はバラに隠れてメリー様の様子を観察しているようだった。
「何やってるんですか?」
「ちょ、わっ!」
「え?お兄…さま?」
どうやら、メリーにも見つかってしまったらしい。シン様はというと、アタフタしている。
私はそんなシン様の手を掴んで、メリー様の前まで引っ張っていった。
「ちょっ、リーン嬢、力が強いよ。……、痛いから。」
「あ、ごめんなさい。」
そう言い、手を離した。ここでまさか、私の握力がいきてしまうとは!
成長したわ!
いやいや、今はそんなことよりこっちだ。
「お二人とも少しずつでいいのでお互いのことを話し合ってみて下さい。」
「え、ちょっと、リーン嬢それは…」
「そうですよ。いくらリーンに言われても…」
そう言い、2人とも悲しそうな顔をする。もうー!
もどかしいんだから!
「あのね!2人とも、兄弟っていうのは対話してなんぼなのよ。話さないと、相手が何を考えているのかなんて分からないし、伝わらない。それで、お互いがお互いを誤解することだってあるんだから。」
「でも、リーン嬢はご兄弟はいないじゃないか!」
と、苦しそうな顔でシン様に反論された。
「確かに、私には兄弟がいません。」
「だったら、…」
「でも、対話の大切さは誰よりも知ってる!だって、私も12年間お母様のことを誤解してきたんだから。それがようやくついこの間お互いに本気でぶつかりあって話したことでようやく誤解が解けたんだから。」
「「…。」」
と、リアルな話をすると2人とも黙ってしまった。よしよし、上手くいってるね。
「わかりましたか?1度ゆっくりでいいのでお互い話してみてください。」
そう言うと、2人はゆっくりとこっくりうなずいた。
じゃあ、ホントは、メリーだけにあげようと思ってたけど、2人にあげよう。
「じゃあ、私はそんな2人にプレゼントです。」
そう言い、指をパチンとならした。
「「わぁー!」」
私がプレゼントしたのは、前世で言うところのスノードームだ。中には公爵家の庭からとった花を入れた。
氷魔法を応用させているので、溶けないし冷たくないお手製なのだ。
「中に入っているこの花の花言葉は、笑顔です!やっぱり生きてるなら笑わなきゃ。」
そう言い、私自身もにっこりと笑顔を作った。
私は、最後にメリーに話しかけた。
「もう、大丈夫だよね?」
「はい。ありがとうございます!」
その言葉を聞いて、私はできるだけかっこよく去るよう心がけた。ただ、馬車に乗り込む時にちょっと転びそうになったのが悔しかった。
あとちょっと、だったのに!
まあ、でも今日はいい日だったなぁ。




