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38 13歳になりました!

あれから時が過ぎるのは早いものでもうそろそろ夏休みも終わりそうな時期に差し掛かっていた。


その間特に何も困ったことも無くただの平和を謳歌していた。大変だったのは、この間、久しぶりにミリアム師匠にしごかれて泣きそうになったことぐらいだろうか。


宿題というものは、前世とは違いパッパッと終わらせることに成功した。

魔法の課題も難なくクリアすることができ、順風満帆だった。


だから、すっかり平和ボケしてしまっていた。


今日も朝からの訓練を終え、いつも通りゆっくりしようとしていたら、ラーナを含めた、公爵家のメイドによりあれよあれよと風呂に入れられ、マッサージをされ、何やなんやら分からない状況だ。


なぜ、私は今こんなことになってるんだっけ?


「ねぇ。ラーナ、今日ってどこか出かけるんだっけ?」


そう、私が聞くといつも以上に呆れた顔をされた。

ほかのメイド達も驚きを隠せないような顔だ。


え?一体何があったんだっけ?


もしや、何かまずいことを忘れてる?


「お嬢様。ご自身の誕生日もお忘れですか?」


「あ、誕生日。」


そういえば、もう8月の下旬。リーンと前世の私の誕生日は奇跡的にも全く同じ日だったのを思い出した。


「忘れてたわ。」


「お嬢様はいつからそんなにバカになられたのですか?」


ラーナ、いつにもましての辛辣な言葉だわ。ちょっと、言い返さないと。


「ムッ。バカとは何よ。私は、バカではなく平凡なのよ!」


そう、胸を張って答えると


「お嬢様は、ご自身をもう少し認識し直した方がよろしいかと。」


「ちょっと、どういうことよ!私は、平凡中の平凡でしょ!」


そう言い返すと、何故かみんな揃って大きなため息をついた。


「な、なによ。」


と言っても、もうお嬢様はダメだみたいな顔をされ、無視された。


え?ちょっと無視は酷いよ。誕生日なのに!


「ちょっと、無視しないでよ!」


「ハイハイ。お嬢様。準備するので口を閉じてください。」


そう一掃されてしまった。んー、もう!何が言いたいのか全く分からないわ。


その後はもう、あっという間に準備させられた。

今日の私は、普段はあまり着ないピンク色のドレスで統一されている。フリルがなんとも女の子らしい。


ちなみにこのドレスは、お父様とお母様によるバトルがくりひろげられた結果、お母様が選んだものらしい。


やはり、母は強しなのだろうか。


胸には、この間貰ったネックレスをしている。て、言うか正確に言うと、あれからこのネックレスをいくら外そうとしても外れなくて困っているのだ。


どうやら、特殊な魔法がかかっているらしい。

やはり、ロンドの魔法は相当優秀なようだ。だって、全く外せないんだもの。


まあ、護衛の役割も果たしてるって言うんだからこのままつけといても別に困らないかと開き直っている。


準備が終わる頃には夕方になっていた。いや、もう疲れた。コルセットがきつい。

もう、今すぐ脱ぎたい。


と、思ってはいたがお父様に呼ばれたため会場に移動した。既にかなりの人が集まっており、私が実際に把握しきれていない人もいた。


その後は、ひたすら笑顔を崩さずに挨拶をこなす。

あぁー。なんか平和から一気に現実に引き戻されたサラリーマンの気分だ。まあ、私は働いたことないけどね。


すると、突然聞き覚えのある声とともに歓声が聞こえた。


「リーン嬢。誕生日おめでとうございます。」


振り返るとそこにはジンがいた。久しぶりにみたが、髪が少し長くなりちょっと見ない間に身長も大きくなっていた。そして、これまたカッコイイ。

なるほど、ジンが来たからあの歓声か。


「ありがとうございます。」


そういうと、何故か耳元まで顔が近づいてきた。

周囲からは、分かりやすくキャーといった歓声があちこちから聞こえる。


「ちょっと、バルコニーまで移動しよう。話がある。」


「わかりましたわ。」


そう、答えて私たちは誰も来ないであろう バルコニーまで移動した。


「ちょっと、ジン。人前で耳元で話しかけないでよ。女の子の視線が痛くてそのうち私が殺されそうよ!」


「そうでもしないと、話ができないだろ。」


う、たしかに。その通りだ。あんなうるさい中だと話しにくい状況以外の何物でもない。


「そうね。それで話って何?」


そう言うと、少し目線を逸らし、何やらモジモジしている。いつもと様子が違う。


「ジン、どうしたの?」


「…。」


少しの間、お互い無言のままでいると、意を決したかのように話し出した。


「ちょっと、目閉じて。」


「え?なんで目閉じるの?」


「いいから、閉じろよ。」


「え?やだよ。絶対なにかイタズラするでしょ。」


「しねーよ。」


んー、怪しい。ジンならしかねない。だって、いつも私の事面白がってるんだもの。


「いいから、とじろよ。」


何やら真剣そうだったので、諦めて目を閉じた。

何やら、近くにジンの気配があるが何をしているかはよく分からない。


「ん。もういいぞ。」


そう言われ、目を開けた。ん、何も変わってなくない?


そう思っていると、下からよく夏に見た事のある大きな大輪の花が咲いた。


は、花火。


まさか、こっちに来て、見れるとは思わなかった。


「きれい!!花火だー!」


「リーン。知ってるのか。これは近頃火の魔法を応用して隣国が作ったものであまり知られてはいないはずだが。」


「あ、それは、お父様に聞いたことがあって。」


そう言い、咄嗟に嘘をついた。危ない、危ない。

相変わらず勘がいい。


「そういうことか。」


「そうそう。ジン本当にありがとう。」


そう言い、笑顔でお礼を言った。


「ツッ。どういたしまして。後、リーンにもうひとつ話がある。」


「ん、何?改まって。」


またもや、真剣な顔つきに変わった。


「俺は、リーンのことが」


「あ、いましたわ。リーン様!!!お誕生日おめでとうございます!」


ジンの話を遮り、メリー様が私に抱きついてきた。


その後を、レオン様、ミルが後を追って来た。


「リーン嬢。おめでとうございます。」


「…リーンおめでとう。」


「みんなー、ありがとう。」


「ちっ。邪魔しやがって。」


なんだか、ジンはご機嫌斜めだ。それとは、打って変わってメリー様は実に楽しそうにニヤニヤ笑っている。


しばらく、談笑していると、突然またもやだれかがやってきた。


「リーン嬢。お誕生日おめでとうございます。」


「あ、ありがとうございます。」


いきなり登場してきたので私は驚きが隠せなかった。気配には常に気をつけているはずなのに、急に現れるなんてびっくりだわ。まるで、暗殺者みたい。


あれ?でも、この人。目がメリー様そっくりだし、髪の色黄緑色ってことは、まさかこの人が


「シン・ラティフォーナ様で、ございますか?」


そう聞くと、少し驚いた顔をされ可愛らしい笑顔で微笑んだ。

か、かわいい。え、なんだろう。うさ耳が後ろに見える。


「リーン嬢すみません。ご挨拶が遅れました。

ラティフォーナ公爵家、長男シン・ラティフォーナでございます。」


「ご丁寧にありがとうございます。リーン・アスガルドです。メリー嬢とは仲良くさせてもらってます。」


メリー様の名前を出すと、少し空気が重くなったように感じられた。


「ああ。良かったね、メリー。これからもうちの妹をよろしくお願いします。」


「はい。こちらこそよろしくお願いします。」


「すまないね。私は、今日この後用事があるので先に失礼するよ。メリーは、ゆっくりしてきていいよ。」


そう言い、行ってしまった。ああ、可愛かったな。

本当にひとつ上なのだろうか。まるで年下の子供みたいだったな。


あれ?メリー様の顔がいつもに比べて無表情に変わっている。大丈夫かな?


「メリー。もしかして、まだあのことが忘れられないのか?」


「うん。ごめん、まさか来るとは思わなくて。油断してた。」


あのこと?それにしても、メリー様の顔色がどんどん悪くなってる。


「ツッ。すみません。リーン嬢、私とメリーは先に失礼します。」


そう言い、メリー様はレオン様によりかかりながらいなくなってしまった。


んー、なんだか空気が重い気がする。


「とりあえず、そろそろ中入る?」


「…そうだね。ジンも戻ろう。」


「あぁ。」


そう言い、私達は戻った。とりあえず、その後はお客様の相手したり、ジンと踊ったりしたが何となく空気が重かった。そんなこんなで私の13歳の誕生日は終了した。

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