37 2人の賭け
更新少し遅くなり、すみません。
できる限り、早く更新していきたいと思います。
あれから、私は最高神官様の計らいにより、お父様の隣に座らされた。…いや、どうしてこうなった。
この元凶を作り出した張本人は、ニコニコと耐えず笑顔を振りまいている。少し、楽しそうに笑っているのがなんともしゃくにさわる。
「それじゃあ。まず、僕の息子の紹介からしておくよ。初対面だろうからね。ロンド、挨拶をしなさい。」
いや〜!しなくていいよ。
望んでないよ。
私、逃げてもいいかな。
と、思ってはいるもののこの場で席を外したりするのはマナー以前に礼儀に反する。
そんなことをしたら、またお母様に怒られる。
私は、ふたつを天秤にかけ、大人しくここに留まることにした。
「私は、ロンド・セルラントと申します。以後、お見知り置きを、美しいお嬢様。」
ロンドは、妖艶の笑みを浮かべて私に挨拶をした。ウゲー。やっぱり、1番苦手なタイプだわ。
「リーン・アスガルドです。よろしくお願い致します。」
と、いやいやだが名前を名乗られては返事をしない訳にはいかないので、返しておいた。
「うん。うん。これで顔合わせも済んだね。」
と、これまた朗らかに最高神官は微笑む。
うん、この親にしてこの子ありという言葉は本物だったんだなぁ。
「それでね。話っていうのは、花の祭りのことなんだよ。そこで、リーン嬢に巫女様をやってもらいたくってね。」
花の祭り?後、巫女って言った?
確か、あれは14歳以上の社交界デビューを果たした男女のうちの何人かが主役となり、これからのこの国の発展をお祈りする行事だ。王家と神殿はたまた隣国との交流の場ともなる1年で1番大きなお祭りでまた、別名(恋の祭り)といわれこの日に結ばれた恋人たちは一生幸せになれると言われている。
「あのー。私は、まだ12歳ですので巫女はやれないのでは?」
と、1番初めに思った疑問をぶつけてみた。
「あぁ。それなら大丈夫。あんなのただの風習なだけで、僕がいえばなんとでもなるから。」
いやいやダメでしょ。この国でも有数のしかも最高神官のお言葉がそれで、この国は本当に大丈夫なのかしら。
「話はわかったが、なぜうちの娘なんだ。別にほかの令嬢でも構わないのではないか?」
いい質問だわ。さすがお父様。
「あぁ。それはねー、ロンドが答えてくれるよ。」
なんでそっちに話をふるの。私はできるだけ、話したくないんだよ!
しかも何故かロンドが私の方に近づいてくる。
え、何この状況。私蹴り入れてもいいかな。いや、さすがにダメか。
なんてことを考えるうちにどんどん近づき私にひざまづいた。
「リーン嬢。花の祭りの日に私のパートナーになって貰えませんか?」
……………………………
「は?」
私は、思わず素で話してしまった。すると何故かロンドは目をキラキラさせて、本気で喜んでいるような笑みを浮かべた。そして、私の手をずっと握っている。一体何がしたいのだろう。
「あのー。全く意味がわからないのですが。」
と、困った表情を浮かべると今度は最高神官様が答えてくれた。
「すまないね。今年は私の息子が社交界デビューの年で男巫の長を務めるんだよ。だから、この国で1番美しい人をパートナーの巫女にするって聞かなくてね。もう時間が無くて僕も焦ってたんだよ。だから、僕が知っている中で美しいと思う令嬢を当たって来たんだけどね。どうも、ロンドが気に入らないらしくって困っていたところなんだよ。」
美しいって言われるのは嬉しいんだけど、だったら、私のことも気に入らない可能性が高いんじゃないの?
ということを考えていたら何故か掴まれている手をもっと強く握り返された。
「リーン嬢。君こそが美しい僕のパートナーにふさわしい。何より君の魔力は、一緒にいて心地がいい。だから、私のお願いを聞いてくれないだろうか。」
と、色気のある声で話しかけてきた。
なんだか、体がゾワゾワする。これこそ、魔性の魅力を持っているからこそできる技だろうか。
「お断りします。私は、殿下の婚約者です。殿下以外のパートナーになる気はありません。」
そう、キッパリ断るとポカーンとした顔で、2人とも固まっている。お父様はと言うと何故か隣で大爆笑をしている。
「ワッハッハ。それでこそ私の娘だ。
ほら言ったろ、ティヤ。うちの娘は他とは違うんだ。」
「はぁ〜。参ったね。これは僕の負けかな。やっぱ強いなサイは。」
と、これはしてやられたという顔をしている最高神官様。
そして、ロンドはと言うとこちらも先程とは打って変わって大爆笑をしている。
え?状況飲み込めてないの私だけ?
何、この疎外感。全く分からない。
「ごめんね、リーン嬢。僕はただ父上と公爵の遊びに乗っかっただけなんだ。」
「あそ…び?」
イマイチ、状況が呑み込めない。
「そうそう。ごめんね。僕がサイと、リーン嬢はうちの息子に落ちるか落ちないかで賭けをしたんだよ。ちなみに、ちゃんとロンドの相手役の子はいるから安心していいよ。」
「リーンが帰ってきているのは報告を受けていたからな。その間にお前がちゃんと次期王太子妃としての自覚があるかテストしようって話になったんだ。」
え?それだけのためにあんなことを言ったの?
はぁ〜。無駄に頭使っちゃったじゃん。
つまりは、この2人の道楽に付き合わされたということだわ。
「お父様!」
「ごめん。ごめん。今度、新しいドレスを買ってきてあげるから。」
「いえ、お父様。それより、お菓子でお願いします。」
「相変わらず、服や宝石よりお菓子が好きか。まだまだ子供だな。」
なんか、バカにされているような気がするが私は、色気より食い気である。まあ、花より団子な性格をしているのは否定できない。
「プッ。君なら本当に私の巫女になってもらっても構わないんだけど。」
「それは、お断りします。」
と、それはもう光の速さのごとく、私は返事をした。
「いいや、ほんと面白いね。」
「いや、何も面白いことしてないのでとっとと帰ってください。」
「冷たいなー。僕にこんな冷たい女の子初めてだ。なんだか、新鮮。」
「もう、わかったので帰ってください。」
なんて、話していると何故かニコニコと笑う最高神官様が目に入った。
「最高神官様も早くお帰りください。」
「つれないねー。これは、殿下が苦労するわけだ。」
最後の言葉はちょっと気になったがようやく部屋の外に出すことに成功した。
そのまま帰るのかと思いきや、何故かロンドがこちらに近づいた。
「リーン嬢。これつけておいて。」
そう言い、素早く私の後ろに周り、何かをつけられた。なんだか、くすぐったい。
「もういいよ。」
そう言われて、胸元を見るとリングの入ったチェーンのネックレスがあった。中にはハートの形をしたダイヤモンドが煌めいており、とても可愛かった。
「あの、こんなに高いもの受け取れないんですけど。」
「いいの。いいの。別にはした金だし。それつけておけば自分にピンチが迫った時に赤く光るから、そしたら僕が飛んで来てあげるね。」
なるほど。防災グッズみたいなものなのかな。
「あのー。でも私そこそこ強いのでいらないと思うんですけど。」
「いいから。それじゃあ、またね。」
そう言い、今度こそ最高神官様と行ってしまった。
その後、私は美味しいご飯をたらふく食べた。やっぱりなんだかんだ我が家のご飯が1番美味しい気がする。




