35 復活しました!
「んー!よく寝た!」
なんだか、すごくよく寝た気がする。えーと、なにがあったんだっけ。
確か、体調が悪くなってジンにお姫様抱っこされたような気がする。あわわ、急に思い出したら恥ずかしくなってきちゃった。また、助けられちゃったな。
「お、お嬢様、お目覚めになったんですね。ほんとうに心配させないでください。」
しばらく、考え込んでいるとラーナが部屋に入ってきた。いつも、冷静、沈着、無表情のラーナが珍しく本当に安心したかのような表情をしている。
「そんなに心配してたの?ただの風邪だけだったでしょ。」
「心配しましたよ!だって、あの元気なお嬢様が3日も寝込んでたんですよ。」
いやいやー、流石にそんなには寝てない気がするんだけどなぁ。そう、思いラーナの顔を見るが至って真面目な顔で話しているのでこれはリアルの話だと悟った。
「そんなに寝てたのね。どうりでお腹が空くわけだわ。」
「はい。すぐにご用意しますよ。」
そう言い、部屋を出ていこうとするラーナが何か思い出したのか、立ち止まった。
「伝え忘れておりました。殿下から伝言を受け取っております。『風邪が治り、万全の状態になったら俺の学院内にある屋敷に来い。話がある。』とのことです。ここ3日かなり、お嬢様のことを心配して毎日お見舞いにもきていたのでしっかりとお礼を言ってくださいね。ご友人の方々も来ていましたよ。」
「わかったわ。」
「それと、念のためもう一度医者を手配致しましたので見てもらってください。」
「はーい。」
そう言い残して部屋から出て行ってしまった。それにしても、毎日お見舞いに来ていたのは、意外だなぁ。
それにしても3日は寝過ぎたなぁ。なんか、まあ体が自分のものじゃないみたいに痛いし、寝過ぎっていうのも良くないね。
少し経つと医者が来てくれた。いつも見てくれているひとじゃなかった。誰なんだろう。ふとネームプレートの名前を見ると王立専門医師のジャックさんという方らしい。
なんとも、お茶が似合いそうなおじいちゃん医師だ。
あー、お茶。飲みたいなぁ。この国にもあるかな?
なんて、ことを考えていると診察が終わった。
「はい。もう完治してますね。ストレスを溜めすぎないように気をつけてください。」
「ありがとうございました。」
そう言い、ベットの上からだが軽く会釈をした。
「いえいえ。お嬢さん。これからも殿下のことをよろしくお願いします。」
えーと、なんでいきなりジンの話が出てくるんだろう。
て、ちょっと待って。よく考えたら王立専門医師ってことは、確実にジンとかの王族の病気を見るような位の高い医師ってことじゃない。
なんでわざわざ公爵令嬢なんかの診察に来てるのよ!
おかしくない?
「ほっほっほ。お嬢さん面白いな。わしはただ殿下に呼ばれただけじゃぞ。」
「そ、そうなのですね。」
あ、動揺して噛んじゃった。そんなわたしのことを何故か目を細めて観察しているような感じで見てくるジャックさん。なんだか、読めないようで怖いな。
「ふむ。これは、面白い子じゃな。大切にされているのが良くわかる。」
「はい?」
「ほっほっほ。お嬢さんも大変だと思うが頑張りなさい。」
そう言い今度こそ部屋から出て行ってしまった。一体なんだったのだろう。
‥‥‥‥‥‥‥‥
ご飯を食べ終えた後、ラーナに着替えさせてもらいジンの学院内にある屋敷まで案内してもらった。
‥‥。うん、軽々予想を裏切る大きさだ。
そういえば、私こっちの世界に来てから建物の大きさに驚かないことってほとんどないな。
玄関まで行くと何だかカッコいい執事さんがいた。珍しく日本人のような黒の瞳だ。
でも、なんだかなにを考えているのかわからないタイプだ。なんだろうね。悪寒がする感じだ。
「お待ちしておりました。リーン・アスガルド公爵令嬢でございますね。」
「はい。そうです。」
「執務室までご案内します。ただいま、殿下は、席を外していますので少々お待ちください。」
そう言い、私たちを案内した後、部屋を出て行ってしまった。私は、出された紅茶を飲みながらジンが来るのを待った。
30分くらい待つとようやくジンが来た。なにやら、かなり疲れていそうなご様子だ。
「あぁ。リーン呼んで悪かったな。よく来た。」
「まあ、呼ばれたから来ただけ。それで何のよう?」
「あぁ。この間リーンが倒れた時、誰かに見られてるって言ってただろう。」
「私、そんなことまで話したっけ?まあ、いいや。事実だし。その件に関してはこれから自分で対処するつもりだから大丈夫よ。」
「そういうと思った。だが、遅かったな。俺が先に対処した。」
「ウソーー!!」
おっと、思わず叫んでしまった。
ラーナにギロリと睨まれました。いけない。いけない。
それにしても、ま、まじすっか。この王子ほんと完璧に何でもこなすよね。しかも、たった3日のうちに処理しちゃってるよ。この人。
「嘘じゃねぇよ。だから、もう気にしなくていいってことを伝えようと思ったんだよ。」
「え?そうなの?ありがとう。」
「おう。」
「そういえば、お見舞い来てくれたんだよね。ありがとう。」
「べ、別に俺だけじゃないから。メリー嬢とかミルとかも一緒だからな。」
「もしかして、照れてる?」
「べ、べつに。」
「ふーん。」
最近すっかり大人っぽくなったかと思ったけど、まだまだガキだわ。可愛く思えちゃうもの。
「とにかく、色々とありがとう。」
「おう。」
そして、私はその日は寮に帰ってきた。一応、ぶり返しがあっても困るので大人しく過ごした。




