32 シェリー先生と内緒話
そして、放課後になった。私は、シェリー先生と一緒に今は、誰も人が来なそうな森に来ていた。
そろそろ、結構森の深くまできたしここでいいかな。
「シェリー先生、一応周りに聞かれると嫌なので結界をはってください。」
「わかったわ。」
そう言い、シェリー先生は先程と同じように指をパチンと鳴らして氷の結界をはってくれた。
その後のシェリー先生の顔はいつになく真剣な顔つきにかわった。
「それで、あなたの秘密って何かしら。ここまで、私を連れてきたんだから納得できない理由なら報告するわよ。」
心無しか、後半の言葉には重みがかかっているように感じられた。あ、これ一種の魔法だわ。無属性の、たしか上級魔法だった気がする。
私は、内心少し焦りながらも笑顔を作った。
「シェリー先生。顔怖いですよ。そんな顔しなくてもはなしますよ。」
「ちっ!それで?」
え?今舌打ちした。怖いし、一瞬声男性みたいだったよ。前も思ったけど、ほんとに男性だったりして…
「そんなに焦らないでくださいよ。」
いや、まあ私の方が焦ってそうだけどね。まあ、これで学院長とか、親にバレたら色々とあとがめんどくさいからね。ちょっとした一部の事実なら問題ないと思うんだ。
「では、話しますね。私の秘密は、入学前から魔法が使えたということです。」
「………。」
あれ?反応がない。私は、不思議に思いシェリー先生の前でブンブン手を降ってみた。
「……は?」
あら、シェリー先生、今になって反応した?結構な時間差だわ。
「え?ちょっと待って。魔法は基本的には水晶にかざすことで使えるようになるのよ。それをどうして、入学前に使えたの?」
あら、そうだったっけ?そういえば、お父様にそんなことを言われたような気がしなくもないけど。
「んーとですね。はじめからできました。」
「…。」
またフリーズしちゃった。この場合、私はどうすればいいんだろう。そう思っていると、シェリー先生は、頭に手を当て何かを考え込んでいる。
「フゥー。とりあえず、理解はできたわ。それではなぜそれを両親に言わなかったの?」
そう聞かれ、私は胸を張って答えた。
「平凡に人生を歩みたいからです。」
シェリー先生は、それを聞きすごく驚いた表情をした。
「平凡に?」
「そうです。私は自由に生きたい。誰かと出会い、結婚し子供を産んで幸せに暮らす。それだけです。」
そう言いながら、私は、花に止まってる蝶を眺めていた。
「でも、リーンさん。あなたは、殿下の婚約者ですよね。そうでなくても公爵令嬢なんだから自由になんて…」
私は、シェリー先生を正面から真っ直ぐ見て言った。
「だからこそです。理由は、深くは話せませんが自分の運命を変えるために平凡でいることは必要なことなんです。」
シェリー先生の顔には動揺が見られた。よし、あと一押しかな。
「シェリー先生。頼れるのは先生だけなんです。協力してください。」
「協力?」
「そうです。私に魔法を教えて欲しいんです。そして、どうしたら平凡になれるのかを。」
「…。」
無言。やっぱり無理なお願いでダメだったかな。
でも、私の目標達成のためには必要な事だもの。
「いいわよ。」
やっぱりダメだよね。でもここで引き下がる私ではないのよ!
「わかってます。そう簡単には、納得してくれませんよね。」
「だから、別に個別で魔法教えてもいいわよ。」
…。あれ?今いいって言った。気のせいじゃないよね?
「ほんとにいいんですか?」
そう聞くと、シェリー先生はニコリと笑った。
「うん、いいわ。それに、リーン。あなたとっても面白そうだもの。」
ヤッター!上手くいった!しかも、リーンって呼んでくれた。なんか、嬉しいわ。
これで、さらなる平凡への道が切り開かれた。
「シェリー先生。ありがとうございます。」
「いえいえ。それに、魔法のことも私のところで止めておいてあげるわ。頑張る女の子を応援するのも教師の役目だもの。」
そう言い、可愛くウインクされた。あぁ、シェリー先生かっこいい!私が男だったら惚れていたかもしれない。
その後は、シェリー先生に結界を解いてもらい、森を歩いて寮まで送ってもらった。
途中、茂みでガサゴソ音がしたのが気がしたのは気のせいだったのだろうか。




