30 とある日の食堂
あれから数日がたち、わかった事としては、授業は基本的には午前中が座学、午後が実技の授業だということだ。
私的に本当につまらないのが座学の授業だ。既に小さい頃からやっている内容の復習ばかりで新たに学ぶことがない。
そこで、私がここ数日で悩みに悩んだ結果、授業中には前世でもよくやっていた内職をすることにした。私は、内職のプロだったので先生に一度もバレたことがない。
と、いうことで私は現在内職として本を読んでいる。教科書と同じ色の本ならばそうそうバレない。
ちなみに、今私が読んでいるのは隣国の古語で書かれたLoveストーリーだ。訳さなければならないので時間がかかるが、宝物を発掘しているみたいで面白い。
キーンコーンカーンコーン
「はい。今日の授業は終わり。よく復習しておいて下さい。」
そう言い、先生は行ってしまった。
「リーン様!早くお昼を食べに行きましょう。今日は、初の属性魔法の授業ですので、急がないと行けませんわ。」
「あ、そうでした。行きましょう。」
いつもよりかなりテンションの上がったメリー様の反応を見て、本当に楽しみにしてるんだなぁと思った。
私たちは、ココ最近食堂の2階に座ることにしている。
理由としては、食堂の2階は、高位貴族のみ使用が認められているからだ。まあ、私がいれば顔パスなのだ。
食堂の執事達に食事を運んで貰い、いつも通り食べ出した。そういえば、執事もメイドもいる生活にすっかり慣れてきたなぁ。
「リーン様!話聞いてますか?」
え?今話してたの?全く聞いてなかった。
「ごめんなさい。ぼぅーとしてました。」
「ふふ。大丈夫ですわ。話してませんもの。上の空だったので質問してみました。」
「びっくりしたわ。」
まさか、冗談を言うとは思っていなかった。まあ、それだけ仲良くなったということだ。て、私最初は仲良くなる気がなかったんですけどね。
今となっては唯一の女友達なので、仲良くなったことに後悔はない。
「あら、お食事中に大声でお話なんてはしたないわ。」
「ホントですわ。あれでは、皇太子妃などとても務まらないわ。」
「そうですわ。ジュリエット様の方がふさわしいです。」
はぁー。毎日飽きもせずよく来るこの人達は、ジュリエット・ロースチェント公爵令嬢とその取り巻きだ。いや、ご友人なのだろうか。ロースチェント家は、この国に2つしかないもうひとつの公爵家だ。
そこのご令嬢である、ジュリエット様こそ本物の悪役令嬢みたいだ。髪はよくある縦巻きロールだ。
てか、これ私関係ある? そんなにうるさい声で話していたわけじゃない。それに別になりたくて婚約者なったわけじゃないんだし。
ちなみに、この元凶であるジンは少し離れたところでニヤニヤしながら観察している。ホントなんなのだろう。
ふと、時計を見たらもう昼休みが終わりそうな時間帯だ。私は、メリー様に目配せをして、席を立った。
「ちょっと!無視する気?」
「そうよ。ジュリエット様の話を聞きなさい。」
と、言われたがこういうのは、無視に限る。いちいち相手にしていたら、キリがない。
「はぁー?逃げるのね。とんだ弱腰だわ。」
と、聞こえたのは少しイラッとしたがそんなことで動く私ではない。
「ジン様もどうしてあんな子を選んだのかしら。」
「どうせ、対した教養もないご両親の元に生まれてただけですのに。」
んー?さすがに両親のことを悪く言われるのが気分が悪い。そこで、私は1度歩くのをやめてジュリエット様にちかづいた。
「な、なによ。」
私は、できるだけ妖艶な微笑みを浮かべて耳元に顔を近づけあることを話した。
「な、何故それを!」
と、負け犬の遠吠えのごとくいいその場で沈みこんだ。ふぅー。これで一安心だろう。
私は、メリー様を連れて急ぎ足で食堂を出た。
………………………
その様子を見ていた俺はついに耐えきれなくなり、笑いだした。
「おい、ジン。何笑ってるんだよ。」
「…何かあった?」
レオンとミルに言われたが答えることが出来ない。いや、こいつら逆にあんな面白いことがあって気づかなかったのか。
「お前ら見てなかったの?」
そう聞くと、2人は顔を見合わせ何言ってるの?みたいな顔をしている。あ、そうか。こいつら食事に夢中になると周りが一切見えなくなるんだったわ。
「ごめん。なんでもない。」
そう言い、顔を逸らした。
「へんなの。」
「…。」
いや、さっきのは傑作だった。いつも俺にすがりより猫なで声で甘えてくるジュリエット嬢の対応は、虫酸が走っていたのだ。それに、あのくらい対応できないようでは王太子妃なんて務まらない。リーンだからこそできる対応だ。
それに、不謹慎だがジュリエット嬢のこの世の終わりみたいな顔は見ていてスッキリした。リーンに感謝だな。
それにしても、くくっ。本当に面白かった。
「ねぇー。なんであんなにジンは笑顔なんだろう?」
「…分からない。」
「リーン嬢関係な気がするけどな。」
「…そうかもね。」
なんて、隣で会話をされていたが特に気にならなかった。




