22 入学準備
今、私は朝の訓練を終え、今日も魔法の訓練に励んでいる。あれから、ツクヨミ様に貰ったブレスレットは毎日つけている。なぜだか、つけていると暖かい気持ちにもなるのだ。
よし、まずは水魔法からやろう。既に初級の魔法はあらかた使えるようになったので中級の魔法を今日からやろうと思う。
えーと、中級魔法。あった。
魔法を使えるようになり、1年以上経ったものが行うコースです。まず初めに体を綺麗にする魔法を行ってみましょう。あなたがひとつの巨大な泡の中にいることをイメージしてください。そして、全てが綺麗になることをイメージしてください。
この本ちょっと、嘘ついてない?私1年も初級魔法やってないよ。まあ、いいや。とりあえずやってみよう。
そう思い、実際にやってみた。クッ、さすが初級魔法に比べて自分の魔力が消費されているのがわかる。
私は、何とかその魔法を成功させられた。
成功させた後にわかったことだが、髪の毛の潤いから肌ツヤまで完璧にお手入れができていた。
最高すぎる!!だって、全然時間かかってないんだもん。
まさに女の子なら誰だって使いたい魔法だ。
次に氷魔法をやろう。氷魔法は、水魔法に比べると謎に威力が増すのが不思議だ。どちらかと言うと、水魔法より学び始めたのが遅いのに適正があるのだ。
3日くらいで、初級魔法を全てできるようになってしまった。だから、既に中級魔法の練習にとりかかっている。
今、私が練習しているのは、氷での防御魔法だ。
出来るだけ分厚い氷を自分の周りにつくり、敵から身を守る魔法なのだ。一応、それなりには分厚くはなるのだがその維持できる時間がまだ短いので、今後も練習あるのみだ。
次に闇魔法、これが一番難しい。なかなか扱いにくい魔法で苦労している。負の感情をもった時に行うとやりやすい魔法なのだが、基本的にポジティブ思考の私だ。そうそう負の感情に飲み込まれることがないので、イメージがしにくいのだ。
とりあえず今は、初級魔法に取り組んでいる。闇のオーラを飛ばして、相手の影を縛ったりすることで相手を動けなくさせることが出来るのだが、練習する相手もいないので、棚の影を掴んだりするなど、固定物に対して今は練習している。
と、そんな感じで私は今日も、取り組んでいた。
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あれ?今何時?そう思い、私はふと時計を探した。
時計の針は16時をさしていた。
また、やりすぎた。最近の悩み、それは集中しすぎるとすっかり魔法以外のことを考えられなくなり、やりすぎてしまうのだ。
今日は、本当は、15時30分からお母様によるダンスの講習があったのだ。何せ、もう来週には王立魔法学院中等部の入学式があるのだ。そこでは、必ずダンスパーティが開催される。つまり、私はジンと踊らなければならないのだ。
まずい。これはお母様カンカンだ。私は、全速力で、公爵邸に戻ったが、時すでに遅し。
ご察しのとおり、私はその後、鬼とかしたお母様による2時間のお説教を受け、ダンスの練習をした。
基本的に体を動かすことは得意だったので何事もなく踊れる。けれど、お母様には、
「もっと、感情を込めて踊るのよ!」
と怒られる。感情っていっても、今私の相手をしてくれているのは執事のオスカーさん60歳。つまり、私からすればおじいちゃんだ。そんな人に感情込めるってどうすればいいのだ。どちらかといえば、激しく踊って腰を痛めたらどうするんだ。という心配ばかりしてしまう。
その日は結局上手くいかなかった。私は久しぶりにベランダに出て星空を見た。はぁ〜。私才能ないのかな。と少し落ち込んでいると、突然またも奴が出現した。
「よぉ!元気だったか?オーイ!聞いてる?」
私は、ビックリしすぎて声がでなかったがすぐ正気に戻った。
「あんたに言われなくても元気よ。それよりなんの用?」
「ひどいな。せっかく婚約者様が来てやったってのに。」
「ぜんぜん会いに来なかったじゃん。」
「え?何?もしかして寂しかった?ごめんな。ちょっと公務が忙しかったんだ。」
そう言って、私の頬を掴んで横に引っ張る。
「ひょんなこと、ひゃいし。ジンひゃんて、こにゃくても、もんだいにゃひし。」
「プッ。言えてねぇし。」
おい、誰のせいだと思ってるんだ。このやろう。
「そんな、眉間にしわ寄せんなって。それより、ちょっとダンスの練習してくれ。」
「ダンス?なんで急に?」
「来週入学パーティがあるだろ。そこで、リーンと完璧なダンスを踊るためだ。俺と一緒に踊って失敗とかありえないからな。」
「えーと、ダンスね。」
そう私が答えると少し考え込んでニヤリとした顔をした。
「もしかして、リーン。ダンス苦手か?」
ギクッ。いや、まだバレてないはず。平常心よ。
「別に、苦手じゃないわよ。」
ジンは、本当に楽しそうに笑った。
「よし。じゃあやるぞ。」
そう言い、静かな夜に私とジンはダンスの練習をした。
最初は今日のダンスの授業が頭から離れず、上手く踊ることが出来なかった。
「おい、リーン。何考えてる。俺の事を見ろよ。」
そう言い、顔を近づけて来たので、思わず顔を逸らしてしまった。
「別に。何も考えてないよ。」
「その割には、集中できてないみたいだけど?」
そう言い、意地悪そうに笑う。
「やっぱり、ジンはそうやっていつも笑った方がいいよ。嘘くさい笑いは気持ち悪いし。」
そう言うと、ジンは少し驚いた顔をしながら、
「…気持ち悪いってなんだ。俺の顔はいつもカッコイイだろう。」
「うわぁー!自意識過剰だ!」
「いいや、事実だ。」
…………
「「プッ、あははは。」」
そう、2人で笑いあった。
そんな何気ないことだけど、わたしの心はずいぶん軽くなった。その後もダンスの練習をし、なんとなくだが、今日言われたことの感覚を掴めた。
「じゃあ、俺は帰るわ。」
「待って。」
そう言って、私はジンの袖を引っ張った。いちおう、感謝した時にお礼を言うのが日本人の基本だ。ただ、ちょっと恥ずかしかったので、そっぽを向いて
「ありがとう。」
と言った。ジンはなぜか、私の髪をぐしゃぐしゃやった。
「やめてよ。」
「お前が悪い。……可愛すぎるだろう。」
最後、何を言っているか聞こえなかったが、ちょっと、私なんにもしてないから悪くは無いでしょうが。何を言ってるんだこのお子様は。
「まあ、いい。それじゃあ、また1週間後。」
そうぶっきらぼうに言い、今度こそ行ってしまった。
次の日お母様と、オスカーさんに褒められたことは、私の秘密にしておこう。
これにて1章終了です。
次からは、魔法学院中等部でのお話になります。引き続き楽しんでいただけたらと思います。こらからもよろしくお願いいたします。




