13 リーンの休息
あれから、お母様との仲はあっという間に良くなった。
最初は、気恥しい思いもあり、なかなか2人で素直になれないところもあったが、そういう時はお父様がクッションとして間に入ってくれた。
今では、一緒にお茶を飲んだり、庭園を散歩したり、刺繍をしたりと、毎日楽しく過ごしている。
一緒に過ごすと、とてもよくわかるのだが、お母様は本当に心配になるぐらい優しい人なのだ。
ちょっと、走って転んだだけで青ざめた形相されちゃうんだから、私もお母様の前ではあまり走らないようになった。
そうそう、なんと、リーンのあの地獄のお稽古も徐々に数が減って自由時間が生まれるようになったのだ!
ヒャッホーイ!!
まあ、それもテストという形で合格したらの話だが。
数学や歴史、地理などの前世の知識とリーンの知識が使える教科、マナーのレッスンは問題なく合格出来た。
だが、問題はミリアム師匠の試験がなかなか合格できないところだ。だって、言い訳になるかもしれないけど、ミリアム師匠教えるのには向いてないと思うもの。
「そこは、もっとこう、ズバッと避けて相手の急所にズドンと入れるんだ。」
みたいな感じで、擬音が多い。もっと、わかりやすく教えてもらいたい。まあ、でも基礎の練習のおかげで着々と土台は出来上がって来ているのでこれからもう少し励めば、春までには合格できるだろう。
そう言えば、最近ジンを見てない気がする。忙しいのだろうか。まあ、一国の王子がそうやすやすと暇なわけないか。
んー!最近平和すぎてなんか忘れてる気がする。まあ、平和ってことはいいことだよねー。
はぁー、なんか眠くなってきた。なんか、お日様と原っぱって最高の組み合わせだと思うんだよね。ちょっと、寝ちゃおう。
…………………
「なつー?起きなよ!お昼だよ。」
んー、なんかあゆちゃんの声がする。
「なつー!なつのお弁当のタコさんウインナー食べちゃうよ!」
「それはダメ!」
そう言って私は目覚めた。目の前にはあゆちゃんとひなちゃん。あれ?私たしか事故で死んで、異世界行ったんじゃなかったっけ?あ、あれゆめだったのか!なんだ、良かった。
「ほーら。屋上行くよ。」
そう言って、引っ張られいつもの屋上でご飯を食べ始めた。なんか、ずっと忘れてた気がする、この感じ。
ひと通り食べ終わった頃、
「あ、ごめん。あゆ!なつ!私、お昼に先生に呼び出されてるんだった。」
「えー!大変じゃん。早く行きな。片付けしといたげる。」
「なつ〜!サンキュー!任せたよ♡」
「ほーい!」
そう言ってひなゃんはすごいスピードで行ってしまった。私は、ひなちゃんのお弁当箱を片付けていると、
「ねぇ、なつ。私なんだか、よく分からないんだけど、なつに【まほ恋】の話をしなきゃ行けない気がするのよね。いい?これから話すこと忘れちゃダメだからね。」
「うん!急にどうしたの?」
なんか、あゆちゃんがいつになく、真剣な顔つきだ。
むしろ、知っているはずのあゆちゃんじゃないみたいだ。
「前に一通り話したと思ったけど、言ってなかったことがあるの。主人公は、実は王様の火遊びで出来た子供で、王族なのよ。その証拠に本来の瞳が青色なのよ!後、もうひとつ、手首のところにほくろがあるんだけど、そのほくろには気をつけて。」
「気をつけてってどういう事?」
「後、隠しキャラは、黒の瞳に髪型が茶色のイケメンだよ!でも絶対に関わっちゃダメよ!いい?絶対だからね?」
「さっきから、何言ってるの?あゆちゃんおかしいよ?」
「私もなんでだか分からないだけど、伝えないといけないと思って。ちょっと抱きしめてもいい?」
「いや、もう抱きしめてるし、あゆちゃんよ、窒息する!ギブ!ギブ!いや、ほんと首しまってるてば!」
「あーごめんごめん。」
キーンコーンカーンコーン。キーンコーンカーンコーン。
あ、そろそろ予鈴だ。そう思ったら、急に足元がグラグラして崩壊して行った。え?なにこれ?ヤバくない?
しかも、私の周りだけだ。
「なつー!」
「あゆちゃーん!」
私は、直感した。もう2人には会えないことを。
「今まで本当にありがとう。ひなちゃんにもよろしく伝えといてー!」
「なつー!!!わかったー!私も今までほんとにありがとう。」
そう言って、私は暗闇に飲み込まれてしまった。
…………………………………
さっきまでのこと本当に夢だったんだろうか。めちゃくちゃ鮮明に覚えてる。でも、最後にお別れの挨拶ができて本当に良かった。ひなちゃんがいなかったのは残念だったけどね。
んー、誰か私の髪撫でてる? そう思っていたら、チュッというリップ音が聞こえた。額にはなんか、暖かい温もりがある。
私は驚いて急いで起き上がったが、当たりを見回しても誰もいなかった。気のせいかな。確かになにか、当たった気がしたんだけどな。ところが、何もなかったはずの場所に1輪の青いバラが置いてあった。
確か、青いバラって王室でしか、栽培できなかった気がする。私が、ある考えにたどり着くとボンッと私の顔は真っ赤になった。
「リーン!ティータイムにしましょう。あら、青いバラ?それにリーン顔が真っ赤よ!」
「もう、ちょっとだけほっといて。」
「わかったわ。早く来るのよ!」
そう、お母様は、ニマニマ笑って行ってしまった。ジンのやつ〜!許すまじ。今度あったら、絶対仕返ししてやる。
そう思い、しばらくたった後、お母様と一緒にティータイムを過ごした。




