捕まる四人達
今日も私達は旅芸人のふりをする。
結構大繁盛しているので、お金はだいぶたまった。
そんな時だった。人間から見て、ショートの頭に耳が生えたのは。
「何あれ、犬の耳が生えた少年がいるわ」
この言葉で、ようやく事態を理解した私達。
まあ、私はいつも見えてるから……。
「あ、ボク今日薬飲み忘れたっ」
慌ててショートを後ろに隠す私達。
しかし、すでに町は大騒ぎ。
「今獣人が見えたぞ」
「旅芸人の小さい子が獣人になってた」
「もしかして他も化けてるだけで獣人なんじゃないか?」
(まずいよ……)
『わたしの上に乗ってこの街を逃げろ』
(そんなの目立ちすぎるよ)
『じゃあどうする』
確かにそれしか方法はない。
仕方がないのでその事実を皆に告げて、リルに大きくなってもらう。
周りがとたんさらにざわつく。
「何だあれ、でかい狼の化け物?」
「それよりお城に早く伝えないと」
「誰か捕まえて!」
リルが走る、走る。フェンリルを簡単にはとらえれるはずはない。
気が付けば私達は森の中にいた。
そして冷静になって気が付く。
「薬は全部宿だわ……」
「オレ達も獣人に戻っちゃうわけね……やばくない?」
「これはもう時間の問題だな……明日にはもうクリスも黒い目になるだろう」
「どうしようブルーノ」
「僕には何もできない」
ブルーノがお手上げならもう私達にはもう何もできない。
「転送魔法で帰れないの?」
「僕の能力ではそんな遠くには行けない」
「……そんな」
「賢者様を呼ぶ方法は?」
「手紙ぐらいか。それも、誰がどこに頼みに行く?」
「それは……」
「今や僕達はお尋ね者だ。街に顔を出せばそれで終わる」
「だよね」
はあ、とため息をつく私。
食料だって、何もない。
キノコや木の実でしのぐしかないだろう。
「困ったなあ」
そう呟いた時だった。
「見つけたぞ! 獣人達!」
その声と同時に、誰かに私達は捕らえられた。
網の中に入って暴れる私達。
「お城に送るぞ!」
「助けて!」
「はん、無駄だ、お前らなんか誰が助けるか」
そう言ったのは、ごつい男だった。
きっと町の人々に頼まれて私達を捕獲しに来たのだろう。
ショートはすでに泣いていた。
「うわああん、助けてえ」
「ショート君落ち着いて」
「ひっくひっく」
こうして、私達はお城に運ばれていった……。
**********
大きな白いお城がそこに立っていた。
ロマンヌ国よりも立派なお城だ。外には大きな花々や木々、鳥のさえずりも聞こえる。ぱっと見はすごくのどかで平和な感じ。
街人はみんな私達を横目で見て笑う。うー、嫌な感じ。
私達は腕を縛られたまま歩かされる。
きっとこの状況では、チェリーだけなら逃げられるのかもしれない。
けれど彼は、ひとり抜け駆けするようなことはしなかった。
多分私達が気がかりなのだろう。
「中に入れ」
そう言われて、地下通路を歩く。
牢獄が見えてきた。私達はそこに入るのだろうか。
不安で涙目になりながら、前に進む。
「逃げようとは思うなよ」
護衛の人らしき人がつぶやいた。
『……黙って従うしかないな』
(そうみたいね)
ここでリルとまで引き離されれば終わる。
私達は無言を貫いた。
そして、牢獄に入れられる。
鍵が閉まる音は、絶望を感じさせた。
中には、簡易トイレがあるだけだ。水を飲むことは、魔法でどうにかなるだけ、ましだろう。ブルーノと私が魔法を使えてよかった。
「怖いよお」
「ショート」
終始泣きっぱなしのショートはもう疲れ果てていた。
ぐったりしてチェリーの上に乗っかっている。
「さすがに、王国に報告が行くだろう。きっと僕達の親が反応する、おちつけ」
「ブルーノの言う通りだよ、きっと迎えが来る」
「……平穏には終わらないだろうけれどね、オレが思うに」
「戦争の始まりだ」
ブルーノの言葉にひっという声をあげるショート。
私は一生懸命対策を考える。
そこで一つ、私にいい案が浮かんだ。
「私に任せて」
「クリスちゃん?」
「……王族に会ったら、私が皆を助けてあげるから」
「何する気?」
「平和になる方法よ、チェリー」
これなら、いけるだろう。だって私は選ばれし少女なのだから。
「おい、何話してるんだ」
護衛の人たちが飛んできた。
慌ててなんでもないと答える。
この部屋は岩でできているから、声がよく響く。
気を付けないと……。
「飯だ」
そう言われ、出てきたのは薄い水のようなスープと干からびた堅いパンだった。
ないよりはましだと、私達はしぶしぶそれを口にする。
特にショートは、泣きそうな顔をしてそれを食べていた。
「おいしくない……ボク、こんなにまずいご飯は生まれて初めてだよ」
「大丈夫。明日には待遇が変わるから」
「クリスおねーちゃんは自信満々だね」
「だって、自信あるもん」
「その方法は?」
「ここで言ったらつまらないじゃない」
「えー」
ショートがふてくされる。
チェリーのお腹が鳴った。やっぱり物足りないらしい。
「ご飯もきっと豪華になるよ」
『クリス、もしかして……』
(そう、リルは気が付いてるみたいね)
私の考えを。




