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18 開演

 14時01分

 シンハラージャ宮殿

 中央ホール



 来客でいっぱいの会場に、中二階から黄色に白で美しい刺繍《ししゅう》のテクスチャが入ったきらびやかなドレス姿のプリヤンカー・シンハラージャ王女が現れると、彼女の周りに現れた弦楽カルテットが演奏を始めた。滑《なめ》らかなバイオリンの音色がホール全体に響き渡る。

 少し余韻《よいん》を残しつつゆっくりと演奏が終了し、真っ赤なバラで装飾されたマイクで王女がスピーチを始めた。


「本日はお集まりいただきありがとう。毎年のことだけど、やっぱりここで私、本(・)当(・)の(・)年齢を言わなきゃいけないのかしら?」

 王女がいたずらっぽくそう言うと、会場はドッと笑い声と拍手で溢《あふ》れた。


 静かになったところで、彼女はわざとらしく「エッヘン!」と咳払《せきばら》いをして続けた。

「去年もだったかしら? え? 一昨年も? そんな前から私の年齢をここで言ってないんだったら、これはもう国家機密よね? そう思わなーい? でもまあ、そこやかしこに『レディの年齢』を、あんなにでっかく張り出すなんて、もはや国家レベルの公然わ(・)い(・)せ(・)つ(・)よね? あらやだ……今のはスベったかしら」

 彼女の朗《ほが》らかな人柄と、リズム感あふれるジョークで、ホール中が多くの笑い声に包まれた。


「さてと、冗談はこのくらいにして。私たち王族がこうして存続できるのは、ドームシティ国民の皆様の愛と忍耐と理解があってこそだと思います。まずはそのことに深く感謝いたします。王族の名から付けられたこのシンハ・ドームシティは、これまでも数々の困難を乗り越えてきました。

 そしてまだまだ山積《さんせき》した問題も有り、完璧とは程遠い状態です。だからこそ、一緒に前進しましょう。我々シンハラージャは、民とともに喜び、民とともに悲しみ、民とともに生き、なにより民に仕える王族となるように、懸命に努力を尽くすことをここに誓います!」

 そう言ってプリヤンカー王女は深くお辞儀《じぎ》をした。


 これらの様子は各所でライブ中継されており、シンハラージャ宮殿だけでなく、シンハ・ドームシティ全体が揺れ動くほどの大きな歓声が響き渡った。




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