表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/58

第肆歌<破>

 相模(さがみ)沖に流れ着いた一行は町の人に助けられ、三日三晩看病されていた。


「また助けられてしまったか……」


 流徹(るてつ)は飛び起きた。


「あっ、まだ安静にしていないといけませぬ!」


 傍に立つ女性に心配されてしまう。


(かたじけな)い」



 その晩、彼はその家を抜け出し、町を歩く。

 ふと、目の前に球磨(くま)が立っていた。


「ようやく目が覚めたか」

「皆は!?」


 流徹は慌てて聞く。


「安心せい。皆、無事だ」


 そして、流徹は近くの長屋へと案内される。

 そこには、子供と遊んでいるトゲイとお(まち)がいた。


「相も変わらず元気だな」


 流徹は端的に言った。


「子供は明朗であってこそだ」

「うむ」


 二人の姿がない。


「あやつらは?」

「おそらく町長の所だ。町長は流徹に用があるとも言っていたな」


 流徹は町長の所へと向かう。



「それでよ~。流徹の奴がさ」

「がっはっはっはっは、その通りだ! もっと言ってやれい!」


 荒伐(あればつ)と共に酒を煽る菊三十兵衛(きくさんじゅうべえ)の姿であった。


「……」


 流徹は頭を抱える。


「お、流徹じゃねえか!」

「……」

「これ、荒伐、菊三十兵衛。こんなことをしている場合ではないだろう」


 球磨が叱責すると、二人はふらふらと立ち上がる。


「して、町長は何処(いずこ)か」


 流徹が聞く。


「私が町長です」


 禿げあがった頭の初老男性が言う。


「御用とは何か尋ねたい」


 すると、町長はゆっくりと話し始める。


「そなたの活躍ぶりはこちらにも届いておる」

「少し前に幕府から連絡があってな……なんでも、江戸は大騒動らしいのう」

「そこで一人、優秀な剣士を呼び出したのだ」


 黒い着物の武骨な印象の男が現れた。


「幕府から任命された火付盗賊改方ひつけとうぞくあらためかた……居合の鬼、平蔵(へいぞう)……否、長谷川(はせがわ)宣以(のぶため)だ」

「よろしく頼む」


 丁寧な挨拶であった。

 流徹は複雑な表情。


「だが……此度の(いくさ)はただものではないぞ」


 それは今までの魔人の強さ故の不安であった。

 すると、宣以は()と刻まれた勾玉を取り出す。


「ところで町長。話が変わるが何故二人に酒を」


 しかし、宣以がそれに返答した。


「二人に酒をやったのは私だ。こういう時くらい羽を伸ばすというのも大事であろう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ