第肆歌<破>
相模沖に流れ着いた一行は町の人に助けられ、三日三晩看病されていた。
「また助けられてしまったか……」
流徹は飛び起きた。
「あっ、まだ安静にしていないといけませぬ!」
傍に立つ女性に心配されてしまう。
「忝い」
その晩、彼はその家を抜け出し、町を歩く。
ふと、目の前に球磨が立っていた。
「ようやく目が覚めたか」
「皆は!?」
流徹は慌てて聞く。
「安心せい。皆、無事だ」
そして、流徹は近くの長屋へと案内される。
そこには、子供と遊んでいるトゲイとお町がいた。
「相も変わらず元気だな」
流徹は端的に言った。
「子供は明朗であってこそだ」
「うむ」
二人の姿がない。
「あやつらは?」
「おそらく町長の所だ。町長は流徹に用があるとも言っていたな」
流徹は町長の所へと向かう。
「それでよ~。流徹の奴がさ」
「がっはっはっはっは、その通りだ! もっと言ってやれい!」
荒伐と共に酒を煽る菊三十兵衛の姿であった。
「……」
流徹は頭を抱える。
「お、流徹じゃねえか!」
「……」
「これ、荒伐、菊三十兵衛。こんなことをしている場合ではないだろう」
球磨が叱責すると、二人はふらふらと立ち上がる。
「して、町長は何処か」
流徹が聞く。
「私が町長です」
禿げあがった頭の初老男性が言う。
「御用とは何か尋ねたい」
すると、町長はゆっくりと話し始める。
「そなたの活躍ぶりはこちらにも届いておる」
「少し前に幕府から連絡があってな……なんでも、江戸は大騒動らしいのう」
「そこで一人、優秀な剣士を呼び出したのだ」
黒い着物の武骨な印象の男が現れた。
「幕府から任命された火付盗賊改方……居合の鬼、平蔵……否、長谷川宣以だ」
「よろしく頼む」
丁寧な挨拶であった。
流徹は複雑な表情。
「だが……此度の戦はただものではないぞ」
それは今までの魔人の強さ故の不安であった。
すると、宣以は智と刻まれた勾玉を取り出す。
「ところで町長。話が変わるが何故二人に酒を」
しかし、宣以がそれに返答した。
「二人に酒をやったのは私だ。こういう時くらい羽を伸ばすというのも大事であろう」




