表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/58

第参歌<急>

 蛭子(えびす)の圧倒的な渦潮攻撃により、一行はバラバラに吹き飛ばされ、全身が砕かれそうになっていた。

 魔人の強力な妖術。

 それは人間では遥か及ばない力であった。


 それでも、流徹(るてつ)は立ち上がる。

 つられて他の者も武器を構えた。


 それぞれが攻撃を仕掛ける。

 その中でも、介郎(すけろう)は果敢に攻撃に出た。

 同じ槍使いとしてか、負けるわけにはいかないのだろう。


 高速で薙ぎ払う三連撃を繰り出す。


「神速三段」


 水中でも火花が散るほどの激しい激闘であった。

 荒伐(あればつ)も続く。

 荒伐は大きく跳躍し、上方から叩き割ろうと斧を振るう。


「薪割り大団円」


 流徹、トゲイ、お(まち)菊三十兵衛(きくさんじゅうべえ)も次々攻撃を繰り出す。

 無傷ではあっても、何度も攻撃を浴びせるほかないと、流徹は攻撃を続ける。

 その時、介郎がある事に気づく。


「……わずかに傷はついているでござる! だが……」


 攻撃の後に蛭子に傷がついている事を伝える。

 その傷はすぐに再生し、元の状態へと瞬時に戻っている。


「では……」


 介郎は槍を再び構え直し、大きく跳躍する。

 そして、龍の如く突進した。


「降竜」


 菊三十兵衛が止める。


「無茶だ! おっさん!」


 強力だが隙だらけの攻撃であった。

 蛭子は笑みを浮かべる。

 狙い通り、と。


 蛭子の持つ大槍が介郎の胸を貫いた。


「おっさん……」


 だが、介郎は首なしの黒馬を槍で切り裂いた。


三国黒(みくにぐろ)二世……」


 蛭子の纏う覇気が変質した。

 怒りを増長させたようなそれは、沈没船を圧のみで木っ端みじんに砕く。


 球磨はようやくその正体を口にする。


「その不死身、三国黒(みくにぐろ)二世、鹿角脇立兜しかづのわきだてかぶと黒糸縅胴丸具足くろいとおどしどうまるぐそく蜻蛉切(とんぼきり)……やはり、本多(ほんだ)忠勝(ただかつ)なのだな」


 介郎は近くにいた菊三十兵衛に言葉を紡ぐ。


「菊三十兵衛……」

「おい、まだ死ぬって決まったわけじゃねえだろ!」

「いいや、死ぬでござるよ。人はいつか死ぬのでござるよ。だからこそ、こうして戦っておるではないか」


 介郎の言葉に、菊三十兵衛は悲しみを表情に出す。


「おい、おっさん!」


 その時、介郎は何かを手渡す。


「菊三十兵衛……これを」


 拳を開くと、そこには緑色に輝く勾玉が。


「勾玉はお主を選んだでござる。強くなったでござるな、菊三十兵衛」


 菊三十兵衛は涙を呑んでそれを受け取った。

 その瞬間、未練はすべて消えたと言わんばかりに、介郎は息を引き取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ