第弐歌<破>
広がる海原、霧がかった空。
一行は積石数三百石程の大型木造帆船で移動する。
今にも何か悪霊が飛び出しそうな気配の一面に息を呑む。
「海は怖いか?」
荒伐が豪快に笑いながら訪ねる。
「……怖い怖くないで歩みを止める程我々の旅は軟弱なものではない」
流徹の返答に、荒伐が頷く。
「……この一帯はもやは魔物の巣よ!」
「覚悟はできているか!」
荒伐は手斧を取り出す。
島のような妖怪、赤えいが口から無数の龍魚を吐く。
流徹ら目掛けて、龍魚の群れが襲い掛かる。
お町が苦無を投げ、流徹が刀を横に振るい、介郎が槍で連撃を放つ。
菊三十兵衛とトゲイが華麗な連携を決め、球磨が妖怪たちの攻撃を惹きつけ、弾く。
霧がより強くなる。
骸骨妖怪が足元から出現する。
「蜃だ! 幻影に惑わされるな!」
荒伐が叫ぶ。
周囲の骸骨妖怪は恐らく全て幻だ。
だが、意識をしていても幻と現の区別は出来ない。
霧の中、流徹は無数の骸骨に囲まれる。
流徹は目を瞑る。
なまじ視覚に頼るがゆえに迷う、見失う。
そして、気配のままに刀を振るう。
それは巨大な蛤を捉えて両断した。
水面下から問いかけを投げてくる蟹坊主、身体を大きく広げて跳びかかってくる衣蛸。
その妖怪たちを次々斬り伏せていく流徹たち。
妖怪を斬り伏せていくうちに、海面に大きな波が生じた。
船体を大きく揺らすその波。
波を生じさせた正体は浮き上がった島……否、妖怪。
山のような大きさの巨大な海坊主であった。




